第10話 分かった事実

 レシピ通り作っても、上手く作ることができない——。


 となると、今使っているレシピ本には書いていない何かが原因になっていると思われた。そのため私は、別の米粉パンの本を複数購入。今使っているレシピ本にはないヒントがあるのではないか。そんな期待を込めて、よさそうなものを手に取ってみたのだった。

 それらを読んだとき、その内の『米粉100%のパンとレシピ』(高橋ヒロ/イカロス出版)私の失敗の原因について答えをくれた。どうやら私が失敗したのは、今まで使っていた米粉が原因のようだった。


 米粉には銘柄の他に、製菓用や製パン用などと区別されているものがある。もちろんそのこと自体は、米粉パンを作っている過程で認識はあった。


 ちょっと話はそれるが、私はパン屋さんに訪れた際には材料区分を見てきているのだが、小麦の割合が半分を占めているものが多い印象がある。それは米粉にグルテン膜を張る能力がないせいだ。

 最近では「グルテンパウダー」なるものを1~2割いれることで、米粉にないグルテン膜のカバーをしているようで、以前よりも小麦の割合を減らすことが出来ているらしい。それでもグルテンを入れなければならないというのは、あるのとないのとではおいしいパンが出来上がる成功率が違うということだろう。

 私はそれを認知していたから、3回目では強力粉入りの米粉を購入して作った。だが、結果は失敗に終わっている。


 では、私が知らなければならなかったのは何かというと、米粉にどういう種類があるのか、ということの他に、その中にある米粉が「何故、向かないのか」「何故、作れるのか」ということだった。

 まず、今まで使っていた米粉。

 これはどうやら「上新粉」に部類されるもので、レシピ以上に水を必要とした。このように沢山吸い込む米粉はパン作りには向いていないのだという。

 一方で、「製菓用」と部類される米粉は、粒子が細かく、水を吸いにくいという特徴がある。これがケーキ作りやパン作りに向いているのだそうだ。ただし製菓用のなかでも、パンが焼けるものとそうでないものがある。


 隠していたわけではないが、実を言うとパンのレシピで使われる米粉は、ほぼ100%と言っていいほど「製パン用米粉」である(商品名は書いてはいけないような気がしたので、伏せておきますが、熊本県の製粉所と検索すると出てくると思う)。米の品種そのものが、パン作りに適しているのだ。そのため、これを使ったら今までの苦労は何のことやら、という感じで簡単にパンが作れるのかもしれない。

 しかし、最寄りのスーパーには残念ながら売っていないのだ。だから、別の米粉で米粉の食パンを作ろうとしていたのに、やはりその材料が必須であったか……(ため息)。

 もちろんネット通販を使えば簡単に入手することはできる。しかし、ここには私のちょっとした意地がある。

 できれば、どこのスーパーにも置いてあるもので材料が揃えられることを目指したい。もちろん、「製パン用米粉」が手に入る人はそれを求めていい。しかし通販を頼らざるを得ないというと、なんとなく手軽に作るのが難しいと感じる。「作りたい!」と思ったときに、すぐに材料を集めて作ることができることこそが、手軽に作ることが出来る第一歩だと私は思っている。そのため出来れば近くのスーパーで、求めている材料が揃えばいいなと願うので、今はまだスーパーで手に入るもので作りたいのだ。


 私のへんてこな意地もあって、今度は「製菓用米粉」の米粉で米粉パンを作ることにした。調べてみると「製菓用米粉」は、種類によって一手間加えさえするとパンが焼けるようなのである(本当はどの米粉なのかお伝えしたいが、あんまりよくないかな……と思ってこちらも伏せておく。申し訳ない)。

 ということで、それを用いて4回目のミニ食パンづくりに取り掛かることにした。



<お知らせ>

3回目の米粉パンの写真を近況ノートに掲載しました。

https://kakuyomu.jp/users/Pleiades_Yuri/news/16816927860444614482

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