第9話 焼き足りない?
まず、耐熱ボウルに、米粉、きび砂糖、塩を入れ、ゴムべらで混ぜる。
次にイーストを入れて混ぜ、米油、湯を加え混ぜる。しかし、やはりレシピに書いてあるお湯の量よりも多く必要だった。私は混ぜて様子を見ながら、30㎖を足した。そのため、準備した150㎖+30㎖=180㎖の湯を入れたことになる。
ゴムべらで生地を上に上げて下に落とすと、ボタボタと落ちるような具合になったところで、次に発酵の工程に移る。ちなみに生地をこれくらいの状態にしたのは、水っぽくなることを防ぐためである。
今までの発酵の仕方と同じように、ボウルにラップをし、37度程度の湯を張ったボウルにそれを入れる。今回の発酵時間は、40分にした。
これが発酵したら、上下をひっくり返すようにして混ぜ、パウンドケーキの型に生地を入れ、再び発酵を行う。都度湯を入れて調節しながら、大体40度の温度を30分キープさせた。
発酵が終わると、200度に予熱したオーブントースターに入れて25分焼く。
大体15分くらいが経過したころだろうか。パンが焼けてくる、あの良い香りがしてきた。今までの中で一番良い香りである。もしかすると期待できるかもしれない。
――チンッ!
25分後オーブントースターの扉を開けて見てみると、薄っすらと焼き色が付いていた。しかし、今までと比べると随分と白っぽい。私は「生焼けなのではないか……」ということを心配し、追加で10分焼き、それでも色が付かなかったのでさらに5分追加する。
――チンッ!
再びオーブントースターの合図が鳴った。
今度は大丈夫じゃなかろうか。
そう思って、パンを型から取り出す。表面はきれいな焼き色がついてはいるが、触ってみると、中身がゆるいことが分かる。
「これは、まだ生っぽいか……?」と思った私は、生地を再び型に入れてもう一度焼くことにした。このときも15分追加で焼いている。
――チンッ!
3度目の合図である。
今度こそ大丈夫だろうと思って、型からパンを取り出す。
だが、中身の具合は先ほどと変わっていないようだった。その代わり、表面が固く焼しめられ、パリパリになっている。こんな食パン、お店にはないのだが……。
私はとりあえず割って中身を見てみることにした。
熱々の生地を割ってみると、パンの良い香りがした。イーストを変えたからだろうか。あの独特の嫌な香りが全くしない。十分に熱が通ったというのもあるだろうが、もともと控えめなイーストのようだ。試して良かったなと思う。
ぱくりと食べてみるが、触った感じで分かっていたように、中は水っぽい。生焼け……というわけではなさそうだが、水分量が多すぎる。
ここまで失敗続きではあるが、味は今までで一番良かった。イーストの臭さもないし、香ばしい香りがする。
しかし、ここまでやっていて上手くいかないとはどういうことなのだろうか……。
もう、だめだ。
今、使っている、米粉パンのレシピだけではどうにも解決しない。
ということで、私は懐事情が許す限り、米粉パンのレシピを購入してみることにした。
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