第7話 火力
前回はオーブントースターの温度を190度としたが、今回は220度で予熱しそのままの温度で25分焼いた。
これで火力が弱かったことのカバーが出来たのではないか……と思いながら、出来上がるのを待つ。
そして、25分後。
――チンッ!
出来上がりの合図が鳴る。
オーブントースターの扉を開けると、ふわっと香ばしい香りがする。しかし、どこかイースト独特の変な香りがもやっとした。バターを使っていないため、カモフラージュが出来ていない感じだ。これはもしかすると、今回も生焼けかもしれない……とすでに「失敗」を予想する。
いやいや。まだ食べていないのだから、なんとも言えないではないか。香りだけで判断してはいけない。
そう思いつつ、ホウロウの容器を取り出し、表面の状態を確認する。焼き色は綺麗についていた。きつね色だ。見た目はおいしそうである。
私はホウロウからパンを取り出し、熱々の生地を千切ってみる。余談だが米粉パンを熱々の状態で切るきるときは、素手でやっている。ナイフで切ると、パンがくっつくせいだ。しかし出来立ては本当に熱い(つきたての餅を千切るときくらい熱い)ので、もしこれをみて米粉パンを作ろうかな、と思ったら、素手で千切るときは本当に注意してほしい。
さて、素手で千切ろうとした私だが、これがなかなか切れない。
パン生地に弾力がありすぎて、千切れないのである。これはパンと言うより、ナンだ。
薄くて、もちもちとした生地。ナンの数倍も弾力があって切れないが、力を入れてなんとか引き千切る(その前に火傷しそうだった)。
一口サイズのそれを口に頬張る。塩加減は前よりいい。やはり1g減らして正解だった。だが、そのあと喉が渇きやすくなったので、もう少し減らしてもよさそうである。
また、オーブントースターから取り出した際は、良い香りがしつつも、どこかイーストのにおいがしたが、やはり今回もそれが風味を邪魔している。1回目のときよりも火がまともに入ったお陰なのか、少しマシではあるが、それでも気になるものは気になる。
私の経験だが、ほんの少しでもイーストのにおいが残っていると、時間が経つにつれて食べられなくなる。
1回目に作ったミニ食パンだが、2日目に食べてみようとしたところ、イーストくさくて食べられなかった。焼いて、冷えた後のイーストのにおいもこれまた独特である。
1回目がそうであったから、2回目も翌日には同じようにイーストのにおいが発生し、くさくて食べられないだろう。
また、水分が足りなかったせいなのか、生地がどっしりと重い。
1回目のものも重く感じたが、今回は余計それを感じた。粉が密集しているというか、ぎゅっと寄せ合っているというか。腹に入れると、どっしりと重い。
弾力があるのだから当然なのだろうが、これを食べるのはなかなかキツイ。
食パンというものはふんわりと柔らかいものだったはずだ。私が今作っているのも「ミニ食パン」と名がついている。これでは「ナン」だ。しかも弾力激強ナンである……。
2回目も失敗。
やはり背の低いホウロウでは無理と言うことなのか……?
いや、それよりも原因は別の所にあるような気がする。
ということで、3回目に続く。
<お知らせ>
2回目に作成した米粉パンの発酵過程の画像を近況ノートに添付しました。
https://kakuyomu.jp/users/Pleiades_Yuri/news/16816927860297438735
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