第26話 体育祭当日
いよいよ体育祭本番、当日の朝を迎えた。オレの家族は親だけじゃなく祖父母も見にきてくれることになっている。お弁当もいつも以上に腕を振るって作ってくれるようだ。特に父さんは、応援の熱量がすごい。まあ親バカだな。
今日は体操服での登下校が認められている。朝はそこそこ肌寒いので、ジャージも着て行ったほうがいいだろう。水分をいつもより多めに用意して、荷物を準備した。忘れ物がないことを確認して、オレは家を出た。
外に出ると、気持ちの良い青空が広がっていた。太陽が明るく輝いていた。小鳥のさえずりが聞こえるし、とても気持ちの良い朝だ。体がウズウズして、思わず駆け出した。
学校へ着くと、みんなもう来ていた。ワクワクして早くに着いてしまったらしい。やる気が顔に滲み出ていた。もちろん優勝することしか考えていない。常に全力で頑張るだけだ。
朝のSHRで、先生から激励の言葉があった。これまでのオレたちの努力と真剣さを見ていれば、きっと大丈夫だと言ってくれた。先生たちだって大切なクラスの仲間なのだ。時折、ひな壇に来て一緒に応援してくれるらしい。オレたちの団結力をしっかりと見せつけてやりたいところだ。
SHRが終わった後は、グラウンドへ移動する。ひな壇横のテントに水分やタオルなどの荷物を置いて、入場行進の集合場所へ向かう。すでに保護者もかなり来ているようだ。少し時間があるので、家族のところへ行くことにした。賢斗や侑衣の家族とまとまった場所にいるようだ。
祖父母に会うのはお盆以来だが、元気そうで安心した。家族ぐるみで付き合いがあるので、今日も一緒の場所に座っているのだ。家族を会話した後は、集合場所に急いだ。
行進の時から、優勝をかけた戦いが始まっているのだ。これまで練習してきた成果を、十二分に発揮したいと思う。注意すべきはみんなの動きが揃っていること、手を前後に振る角度や真っ直ぐに伸びているかなどだ。
いよいよ行進の時間になった。待ちに待った体育祭の始まりだ。順番は事前にくじ引きで決められている。最初は紅錬からで、その後に蒼龍と緑苑が続く。オレたちの若虎は、最後に入場する。
他の団を見ていると、すごくいい姿勢で歩いている。凛々しい姿だ。もちろん負けてはいられない。みんなの気持ちを一つにして前へ進んでいく。一人一人が気をつけるべきことを意識して歩く。
無事に行進を終えて、開会式の隊形になった。賢斗の選手宣誓もしっかりと務めることができたようだ。今までに見たことないくらいに、かっこよく見えた。友の成長を感じることができた。
体操を終えた後はひな壇へ移動した。自分たちの出番がない時はもちろん応援をする。オレは侑衣と一緒にひな壇の上の方に居る。高さがある分、見晴らしがいい。まず最初の競技は徒競走だ。その後には障害物競走がある。
みんなで声を出して応援する。コースの邪魔にならない場所に立って旗を振っている先輩もいる。応援合戦の時に使うポンポンを活用している人もいる。自分たちで工夫して応援を頑張っているのだ。
次の競技は女子のタイヤ奪いだ。気合いのこもった表情で入場してきた。侑衣の頑張る姿を見ることができるだろう。3年生から順番に競技をするので、1年生は一番最後になる。
先輩たちは経験があるからなのだろう、かなり手慣れているようだ。3年生は最後の体育祭ということもあって、気迫がものすごいのだ。女子って怖いなと思いつつも、しっかりと応援していた。
そしていよいよ1年生、侑衣の出番となった。団体競技の場合はコースの内側なので、ラインギリギリまで出て応援することができる。オレもそこまで前に出ていた。少しでも近くで侑衣の姿を見たいからだ。
みんな必死になってタイヤに食らいついている。侑衣も真剣な表情で力を込めて引っ張っている。やる気に満ち溢れた、かっこいい姿だ。必死に頑張ったおかげで1位を取ることができたようだ。
ひな壇に戻ってくると、みんなで喜びを分かち合っていた。オレは侑衣に労いの言葉をかけて、抱きしめていた。
Eternal Love ソウト @soto0116
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。Eternal Loveの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます