第11話 恐怖の瞬間

ある日の夜。


私は帰ってすぐに疲れていた為、自分の部屋に行きベッドに横になって眠っていた。


ふと目を覚ますと、物音が聞こえる。



「…誰か…いる…?」



私は恐る恐る開け、歩み寄って行く。



ビクッ

1つの人影がある。



「…誰…?」


振り返る人影。


目出し帽を被っている。



「ど、ど、泥……棒…?」



私は警察に連絡をしようと携帯に手を掛けた時。



グイッと腕を掴まれ、押さえつけられた。



ビクッ



「や、やだ…離…」



私は力を振り絞り、股関を無意識に蹴っては相手を押し退け外に飛び出す。



ドンドンドン…


悠斗の部屋に行き、ドアを叩く。



「悠斗っ!悠斗っ!いるなら開け…」


ガチャ

ドアが開く。


「どうし…」


「ど、泥棒っ!わ、私の部屋…ま、まだ…け、け、警察に連絡出来てなくてっ!」



悠斗が言い終える前に言葉を遮る。


すると既に走り逃げ去る泥棒の姿。


悠斗は、大声で叫びマンションの住人に助けを求める。


すぐにいくつかのドアが開いた。




「藍里は、鍵かけて俺の部屋にじっとしてな!」



そう言いながら、私を部屋に入れた。



「良い?」



私は頷きドアを閉められ言われた通りに鍵をかける。


私はドアに寄りかかりズルズルと座り込むと身体が震え出す。


そして。


「藍里」



ビクッ


私は座り込んだまま、鍵に手を伸ばし、何とか鍵を開ける。



「藍里…大丈夫…?立てる?」



立ち上がろうとするも、足に力が入らない。


悠斗は、私の腕を掴む。



ビクッ

身体が強張る。



「大丈夫。何もしないから。ゆっくりで良いから立とう。支えるから」



震えるもう片方の手を伸ばし、私の手を掴み、ゆっくりと立たせると、私を抱きしめた。



ビクッ

身体が強張る。



「大丈夫、何もしないから。抱きしめるだけだから」


私は、震えながらも悠斗の洋服や体をぎゅうっと抱きしめ返し私は次々に涙が溢れた。


その後、泣き疲れて、私は眠っていた。



朝、目を覚ます。


今日が土日だったのが運の尽きだ。



「…あれ…?…ここ…」



起き上がろうとすると、私の手を誰かが優しく握っている事に気付く。



「…えっ…?悠…斗…」



目を覚ます悠斗。



ドキッ



「あっ…!おはよう。藍里」

「…悠斗…ごめん…私…」



スッと優しく片頬に触れる。



ビクッ



「大丈夫…何もしないから」



優しい眼差しに瞳の奥からのぞく心配そうな悠斗。


ドキドキと胸が加速していく。


あんな事あった次の日なのに、私の胸は正直に反応している。


彼なら大丈夫!


何処かそんな安心感があったのだろう。



「…うん…」


「とは言ったものの、まだ恐怖感があるような不安そんな顔してるな」


「…悠斗…私…」



フワリと抱きしめられた。


ビクッ

身体が強張る。



「…大丈夫…。ゆっくりで良いから…俺の事抱きしめてみな」



私はゆっくりと手を伸ばし悠斗の背中に手を回した。



「良く出来ました」



私は更にぎゅうっと抱きしめる。


悠斗もそれに応える。




「藍里…あんな事あった後で申し訳ないと思うけど…付き合って欲しい…」




ドキッ



「えっ…?」


離れようとする私をグッと更に抱きしめる。


「…悠…斗…」


「俺、お前と向き合うから。恐怖感はあるかもしれないけど…ゆっくりで良いから、俺にもっと歩み寄って欲しい」


「…私の事…ずっと傍で見守ってくれるの…?たくさん迷惑かけるかもしれないんだよ…?それでも…」


「全て受け入れるから。結婚前提でゆっくり付き合っていこう。藍里」


「えっ…?け、結婚…前提…!?」




私は押し退けるように離れる。



「だって…その方が藍里も安心感があるっしょ?俺、藍里の事まだまだ知らない事、沢山あるし、藍里も俺の知らない部分あるだろうし…まあ、俺に飽きてきたら新しい恋出来そうならしてもらっても構わないけど。藍里の人生だから」


「…そんなの…」


「分からない…そう思うなら、取り敢えず…俺との距離縮めよう♪」



「………………」



私は悠斗に抱きつく。



「…俺…藍里の支えに全部なってあげたいから…」



体を離す私。


至近距離で視線がぶつかる。



ドキッ



そして、無意識に悠斗の両頬を優しく包み込むように私は触れる。



「………………」



私は何故か恥ずかしくなり、手を離し始める。



「…ご…ごめん…えっと…」



グイッと悠斗は私の後頭部を押し、キスをした。


至近距離。



「あんな顔されたらキスしたくなるでしょ?」



かああああ〜っとなる私に再びキスをした。


優しく長いキスをされ、私は恥ずかしさから抱きつく。



「藍里ちゃ〜ん、可愛い過ぎだから」


「悠斗…これからも私の傍にいて…」


「…反則…また…キスしたくなるでしょ?」



私は体を離し、自らキスをし私達は抱きしめ合う。



「ああ…俺の傍にずっといな。藍里」



私は頷いた。


私達の関係はこれからだよね♪







〜 E N D 〜
























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真面目な彼だけど… ハル @haru4649

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