第10話 募る想い、一歩踏み出す勇気

あれから、悠斗との距離は出来たまま、毎日を過ごす。


その後、合コンの参加も断わる事ばかりで、外出もしなくなった。


だけど、その間、悠斗に会いたさが募る。



「…悠斗…に…会いたい…」




会いたくて


話したくて


仕方がないのに…


一歩を踏み出せない




そんなある日、私の部屋を誰かがノックした。




「藍里、いる?」



ドキン

私の胸が大きく跳ねる。


悠斗だ!



私は玄関先に向かう。



「悠…斗…?」


「良かった。いた。開けなくて良いから、このまま聞いてて欲しい…」


「…うん…何…?」


「…この間は…ごめん…。怖い思いさせて。今すぐにとは言わないから、ゆっくり歩み寄って欲しい…俺、あれから、合コンに行くのは辞めたんだ」


「えっ…?…どうして…?」


「お前と向き合いたいから」




ドキン…


私の胸が大きく跳ねる。




「悠斗…」


「だから…藍里が、俺と向き合って顔を見せれるようになるまで待つから。俺と前みたいに話したり出掛けたり出来るようになりたいから」



私は、ドアを開ける。



「藍……」




私は悠斗の胸に飛び込む。




「えっ!?藍里…!?」

「抱きしめて!」

「えっ…?」


「私、悠斗とは離れたくないから!前の私に戻れるようになりたいから!…だから…私をしっかり抱きしめて!悠斗の特等席に私を戻…」




悠斗は抱きしめてくれた。


ビクッと体が強張るも



「大丈夫。何もしないから」



私は更に悠斗を抱きしめるようにした。


それに応えるように悠斗も抱きしめ返すと、肩を抱き寄せ、私の部屋中の玄関先に移動する。



私の両頬を優しく包み込むようにすると頬にキスをしてくれた。


私は、悠斗を見つめ、私達は見つめ合う。



頭をポンとする悠斗。



ドキン…



「無理せず、ゆっくりで良いから」



そう言うと、出て行き始める悠斗を背後から抱きしめる。




「…えっ…?藍里…?」

「…悠斗に…もっと触れていたい…」


「…あ、藍里…?それ…ある意味…問題発言…」


「えっ…?…いや…そんなつもりは…」




抱きしめた体を離すと同時に、悠斗が私の手を掴む。


ゆっくりと向き合う私達。



「…悠斗…私…好きになれる…かな?」

「えっ…?」

「あなたの事…私…好きになれる?」

「それは、藍里次第じゃないかな?」

「…そう…だよね…ごめん…」



私は背を向けると、部屋の中へと入ろうとすると、私の手を掴むと、悠斗は優しくキスをした。




ドキン


突然の出来事に驚くも、怖いと言うよりも、かああああ〜っと体が熱くなったのが分かった。



「………………」



「い、いきなり何すんの?」


「キスしたくなったから!藍里も満更じゃない雰囲気出す…」



私は悠斗の胸に飛び込む。



「バカ…」




そう言うと、私からもキスを返す。



「…藍…里…?」


「距離が出来て、会いたくて仕方がなくて、話したくて仕方がなくて…」


「……………」


「でも、好きとか、そういう気持ちは分からなくて…」


「…藍里…良いよ。気にするな。取り敢えず俺、自分の部屋に戻るから」


「うん…」




私達は別れ、各々の部屋に戻るのだった。


































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