ちょっとだけ帰ってきたクレイジーマッド映画ジャーニー
団子おもち
「スパイダーマン(2002)」~「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021)」
諸君……。
私は「スパイダーマン」が大好きだ。
諸君、私は「スパイダーマン」が大好きだ。
「ライミ版」も大好きだ。
「アメイジング」も大好きだ。
「アベンジャーズシリーズ」も大好きだ。
アニメ映画の「スパイダー:スパイダーバース」も大好きだ。続編まだか?
2002年。ライミ版第1作目が劇場で公開された時、中学生だった私は「スパイダーマンwwwどうせ、蜘蛛男が悪い奴と戦うだけの映画だろ、ぷぎゃーwwww」とほざいていた。
そして、観終わった後、
「なんて……、なんて、切ないヒーロー映画なんだ……」
と泣きながら劇場から出た。
2004年公開の「スパイダーマン2」では泣き過ぎて、しばらく劇場から出れなかった。
そして、今月の7日に公開された最新作「ノー・ウェイ・ホーム」に至っては、
「ああ、そうか……。俺は、この映画観るために、生まれてきたんだ……」
と、悟りの境地に至った。
帰り道。ホビーショップで作中に出てきたスパイダーマンの新スーツ、「インテグレーテッドスーツ」のフィギュアもちゃんと買った。
諸君……。
私はくどいくらい「スパイダーマン」が好きだ。
だからこそ、今回、2002年に公開されたサム・ライミ監督の「スパイダーマン」から、最新作「ノー・ウェイ・ホーム」までの実写スパイダーマン映画の紹介をしたいと思う。
私の願いは、「とにかくスパイダーマンを観てもらいたい」。
それだけに尽きます。
このレビューをキッカケに、「スパイダーマン」に興味を持っていただけたら幸いに思います。
その前に「スパイダーマン」について解説。
1962年。マーベルコミック社が発行したコミック誌で初登場。原作者はスタン・リー(1922~ 2018)。
名前の通り、蜘蛛がモチーフのヒーローです。
基本的な設定として、ピーター・パーカーという冴えない青年がある日、蜘蛛に噛まれたことで、超人的な能力を手に入れてしまいます。
壁にはりついて自由自在に移動したり、自分に危機が迫ると即座に反応したり(ピータームズムズと呼ばれている)。また、手から伸縮自在の柔らかくて丈夫な謎の糸を放ち、それを使ってビルとビルの間を縫うようにして移動することが出来ます。
まあ、作品によって細かい部分や能力は違いますが、基本的な能力が「壁や天井にはりつく」、「危機が迫ると反応できる」、「手から糸を出す」です。
これだけわかれば、あなたも、もうスパイディ(スパイダーマンの愛称)ファンの仲間入りです。
さあ、それでは早速、映画スパイダーマンシリーズを紹介。
なお、現在公開中の「ノー・ウェイ・ホーム」以外はネタバレが含まれています。
既に観た方はおさらい程度にお読みください。
これから全シリーズを観る予定の方は、もうここで閉じて下さい。ネタバレOKだぜ!な方はこのままお読みください。
【サム・ライミ版シリーズ】
「スパイダーマン 」(2002年 アメリカ 121分)
監督 サム・ライミ
脚本 デヴィッド・コープ
出演 トビー・マグワイア、ウィレム・デフォー、キルスティン・ダンスト、ジェームズ・フランコ
スパイダーマンは長い歴史のある人気のアメコミヒーロー。
1970年代に、何度か実写映画にはなったものの、コミックのように壁や天井を自由自在に動いたり、ビルとビルの間を糸で移動する姿を実写で映像化するのは難しかった。
ちなみに1978年に、仮面ライダーシリーズ、戦隊シリーズでお馴染みの東映が制作した実写スパイダーマン(通称:東映版スパイダーマン)があります。
完成度は高かったものの、原作にはないマシンに乗ったり、巨大ロボ・レオパルドンが出てきたりと、ちょっとなにかが違っていました。
※余談ですが、今も日曜の朝に放送されている「スーパー戦隊シリーズ」に巨大ロボットが出てくるようになったのは、この東映版スパイダーマンの影響です。
そして、2000年代。最新鋭のCG技術とサム・ライミ監督によって、ついにスパイダーマンが本格的に実写化。
2002年に公開された本作「スパイダーマン」は、実写映画シリーズの記念すべき正式な第一号となった。
ピーター(スパイダーマン)役は、トビー・マグワイヤ。
冴えない高校生、ピーター・パーカーはある日、研究所で遺伝子操作された蜘蛛に噛まれ、蜘蛛と同じような能力を得る。
しかし、その力で得たことで増長したピーターは片想い中の女の子、MJに良い所を見せるために車を購入しようと思い立つ。
そして、世話になっている叔父と叔母に嘘をついて、賞金目当てでレスリングに参加。
ですが、賞金をケチった主催者に腹が立ち、金を強奪に来た強盗を無視します。
これが悲劇に始まりでした。
なんとピーターが無視した強盗は、ピーターが帰って来るのを待っていた叔父さんを殺してしまったのです。
ピーターは自分の無責任な行動で叔父を死なせてしまったと後悔。
これがキッカケとなり、ピーターは死ぬ前の叔父に言われた「大いなる力には大いなる責任が伴う」という言葉から、街の平和を守るヒーロー・スパイダーマンになります。
同じ頃。ピーターの友人・ハーリーの父であり、科学者のノーマン・オズボーンは研究結果が出せない焦りから、自らを新薬の実験台にしてしまい、グリーンゴブリンという凶悪な人格を持ってしまう。
等身大の若者が蜘蛛の力を得てしまい、街を守るためにスパイダーマンとなったエポックメイキング的な青春ヒーローアクション映画です。
スパイダーマンの基礎が詰まっているので、初心者向け。入門編となっています。
トビー・マグワイヤ演じるピーターが、冴えない若者から徐々にヒーローとして成長していく姿と、恋と友情、自分の過ちに苦悩する等身大の若者の姿を描いた名作映画です。
「スパイダーマン2」(2004年 アメリカ 127分)
監督 サム・ライミ
脚本 アルヴィン・サージェント
出演 トビー・マグワイア、キルスティン・ダンスト、ジェームズ・フラン、
アルフレッド・モリーナ
ノーマン・オズボーン(グリーン・ゴブリン)が死亡(自滅)してから、数年後。
周囲にスパイダーマンであることを隠して、ヒーローと学生の二足わらじの生活を送るピーター。
バイト中であっても、事件が起きるたびにスパイダーマンになるため、バイトはすぐクビ。家賃も払えなかった。
大学では欠席が多くなり、教授からは冷遇される。
片想い中のMJが出演する舞台も観に行けず、距離を置かれていた。
更に友人のハリーからはスパイダーマンが父(ノーマン・オズボーン/グリーンゴブリン)を殺したと誤解され続け、八つ当たりされる。
そして、トドメと言わんばかりにMJから「ジョンという男と結婚する」と言われる。
ピーターは自分がスパイダーマンでいる限り、ピーター・パーカーという自分の人生を生きれないと苦悩することに。
そして、ある日、蜘蛛の能力が使えなくなり、スパイダーマンとしてもスランプに。
同じ頃。人工太陽を作ろうとしているドクター・オットーこと、後のドクター・オクトパスは、作業用の大型アームを装備して、最後の実験を行っていたが失敗。妻を失ってしまう。
しかも、アームが体から離れなくなり、次第にそのアームに搭載された人工知能に精神を支配され、再び人工太陽を作ろうとし始める。
スパイダーマンでいることよりも、自分の人生を選んだピーター。
暴走してしまったドクター・オクトパス。
ピーターにとって、最大の試練が訪れる。
たぶん、スパイダーマン映画では、これが最高傑作ではないでしょうか。
スパイダーマンで居ることで、自分の人生が生きれないと嘆くピーターはスパイダーマンを辞めてしまう。
だが、ある日、火災現場に遭遇し、子供の命を助けることは出来たが、まだ火災現場には人が残っていて助けられなかった。
ピーターは、自分がスパイダーマンを辞めたことで犠牲者が出たことを痛感。
「僕は、僕の人生を生きられないのか……」
そして、叔母さんからの言葉とMJの危機により、再びピーターはスパイダーマンに戻り、ドクター・オクトパスと電車の上で戦う。
ドクター・オクトパスは電車のブレーキを破壊。スパイダーマンは暴走した電車を全力で止めるが力尽きる。
電車の中に居た人々は、マスクを外したまま、力尽きたピーターを救う。
そして、人々はスパイダーマン、ピーターの顔を見て、驚愕する。
「まだ子供じゃないか……」
そう。ピーターは蜘蛛の能力を持ってしまっただけの普通の若者なのだ。
そんな普通の若者が自分を犠牲にして、毎日、多くの人々を守ってきたのだ。
目が覚めたピーターはマスクがないことに気づく。
だが、電車の中の人々は誰にも正体を言わないと約束する。
そして、ドクター・オクトパスが再び現れた時、電車の中に居た人々は「(スパイダーマンを捕まえるなら)俺を倒してからにしろ」と次々と立ち上がる。
このシーンで、私は泣いた。
街の人々を守ってきたスパイダーマンが、街の人々に守ってもらったのだ。
等身大の若者が、ヒーローになってしまった苦悩を徹底的に描き切った本作はスパイダーマン映画最高傑作ではないかと思う。
本作の敵であるドクター・オクトパスも、最期に意地を見せてカッコ良かった。
「怪物のままで死ねるか」
ラスト。
MJに正体がバレたピーター。自分がスパイダーマンで居る限り、誰かに危険に及ぶので、MJとの決別を選ぶ。
だが、MJは自分の結婚式から抜け出して、ピーターのもとに現れる。
MJは言う。
「ヒーローだって救われるべきよ」
孤独に戦い続けたピーターが、ようやく報われた瞬間だった。
その直後、事件が起きたのでピーターはスパイダーマンとなっては街を駆け巡る。
だが、MJの表情はやや曇っていた。
この時の彼女は、なにを思っていたのか?
「スパイダーマン3」(2007 アメリカ 139分)
監督 サム・ライミ
脚本 アルヴィン・サージェント、アイヴァン・ライミ、サム・ライミ
出演 トビー・マグワイア、キルスティン・ダンスト、ジェームズ・フランコ、トーマス・ヘイデン・チャーチ、トファー・グレイス
MJという理解者であり、恋人を得て絶好調のピーター。
だが、父を殺した犯人だと誤解したままのハリーがニュー・ゴブリンとして現れる。
そして、更にピーターは叔父を殺したのは、あの時の強盗ではなく、別に真犯人が居ることを知る。
叔父を殺した真犯人であるフリント。彼には病気の娘が居て、そのために強盗を働き、ピーターの叔父を過って殺害してしまったのだ。
フリントは逃走中、科学実験所に入ってしまい、実験の巻き添えになってしまう。
その結果、フリントは全身が砂で出来たサンドマンになってしまう。
様々な出来事が重なってしまい、MJともスレ違いが起き始め、次第にピーターの心は闇に堕ちていく。
そんな時、宇宙から飛来した謎の生物ヴェノムがピーターの身体にまとまわりつき、黒いスパイダーマンへと変貌してしまう。
黒いスパイダーマンになったピーターは暴走を始め、叔父を殺したサンドマン、MJを奪ったハリー、そして自分から離れたMJを傷つけていく。
本当なら続編も用意されていたそうだが、諸事情で打ち切りになったため、ライミ版スパイダーマンシリーズ最終作となった三作目。
公開日に観に行った私はこの内容に愕然とした。
前作までの苦悩したピーターは居なくなり、調子に乗り続け、ヴェノムのせいとはいえ、暴走し続けるピーターに当時の私はガッカリした。
あんなに苦悩していたピーターはどこに行った?
そして、唯一の理解者だったMJは結婚を破棄してまでピーターを選んだのはなんだったんだ?
あと、ハリーのスパイダーマン(ピーター)への誤解が解けたのが、秘書のたった一言だったので、更にガックリした(もっと早く言え)。
しかし、時間の経過により、私もだんだんこの作品が受け入れられるようになりました……。
ライミ版シリーズの一作目はヒーロー誕生を描き、二作目はヒーローの苦悩を描いた。
そして、この三作目はヒーローの心の闇を描いたのだ。
ピーターはスパイダーマンになってから、ずっと苦悩し続けてきたが、理解者を得たことで、ほんの少しだけ苦悩から解放され、ようやく充実した日々を得た。
だから、つい調子に乗ってしまった。
更に叔父を殺したサンドマンへの怒りを露わにしたりと、前作までの等身大の若者を描く内容から、誰もが抱える心の闇を本作は描いたのだ。
そして、それは、いつかピーターがぶつかる壁であった。
強敵・ヴェノムとの戦いの末。ピーターはサンドマンを許し、自分の心の闇を乗り越えた。
だが、ようやく和解できたハリーは死亡してしまう。
心の闇と対峙し、友人を取り戻したピーターだったが、彼は最後に大きな代償を払うことになってしまった。
ラスト。
ピーターは、MJの手を取ってダンスをする。
残された大切なものを愛おしむように。
これが、ライミ版スパイダーマンの最後のシーンであった。
ライミ版スパイダーマンは、等身大の若者がヒーローになったということを描くと同時に、人の人生を描いたのかもしれない。
思い通りに行かなかったり、誤解されたり、苦悩したり、喜んだり、調子に乗ったり、時に誰かを傷つけてしまったり。
そんな普通の人間ヒーローを描いたのが、ライミ版スパイダーマンだったのかもしれない。
スパイダーマン実写映画のエポックメイキングとなったライミ版スパイダーマン三部作。
泥臭くて切ない一人の若者の人生を描いたヒーロー映画だったのかもしれない。
【アメイジングシリーズ】
「アメイジング・スパイダーマン」(2012 アメリカ 136分)
監督 マーク・ウェブ
脚本 ジェームズ・ヴァンダービルト、アルヴィン・サージェント、スティーヴ・クローヴス
出演 アンドリュー・ガーフィールド、エマ・ストーン、リス・エヴァンス、デニス・リアリー、マーティン・シーン、サリー・フィールド
監督をマーク・ウェブ。ピーター役をアンドリュー・ガーフィールドに交代して、新生したスパイダーマン映画。
突如、叔父と叔母の家に預けられ、消えた両親の謎を追うピーター。
ある日、両親と関係のあったオズコープ社へ行くが、そこで謎の蜘蛛に噛まれる。
蜘蛛に噛まれたことで、ピーターは超人的な身体能力を得る。
両親について調べていく内に、叔父と喧嘩になったピーター。
イライラしてコンビニ店員と口論。そこで強盗と出くわすも無視するのであった。
しかし、その強盗はピーターの叔父を殺害。
自分の無責任な行動で叔父が死んでしまい、ピーターは激しい後悔と復讐心に囚われる。
夜な夜な街に出ては、叔父を殺した強盗を探すピーター。街のゴロツキたちを次々と痛めつけていく。
顔を隠すためのマスクとスーツ、武器となる伸縮自在の糸を発射するウェブシューターを開発。叔父を殺した強盗を見つけるため、街のゴロツキたちを退治し続ける。
一方、腕を無くした科学者・コナーズ博士はトカゲの遺伝子を体に組み込み、リザードという怪物と化す。
失踪した両親。叔父を殺した犯人。ピーターを狙う謎の存在など、サスペンス要素が加わり、よりスタイリッシュさに磨きがかかったアメイジング・スパイダーマンシリーズ。
本作のスパイダーマンは復讐から始まった。
だが、ある日。橋から落ちそうになっている車があり、その車から子供を助けようと必死になるピーター。
マスクを外し、子供を安心させてから、なんとか救い出す。
そして、子供が父親の元へ戻った時、ピーターは思わず泣いてしまう。
「よく頑張った、えらいぞ……えらいぞ……」
子供の父親はピーターに名前を聞く。
「お前は誰だ?」
ピーターは答えた。
「……スパイダーマン」
アメイジング・スパイダーマン、誕生の瞬間だった。
サスペンス要素が加わったアメイジング・スパイダーマン。
両親失踪の謎を追いながら、人々を守るために戦うのであった。
「アメイジング・スパイダーマン2」(2014 アメリカ 142分)
監督 マーク・ウェブ
脚本 アレックス・カーツマン、ロベルト・オーチー、ジェフ・ピンクナー
出演 アンドリュー・ガーフィールド、エマ・ストーン、ジェイミー・フォックス、デイン・デハーン
前作のリザードとの戦いで、恋人グウェンの父親を死なせてしまったピーター。
その負目からか、彼女と恋人関係でありながらも、どこか心に距離があった。
一方、オズコープ社の冴えない研究員マックスは事故で、電気を操るエレクトロという怪物となった。
そして、ピーターの友人であるハリーがオズコープ社に戻ってきた。
ハリーは遺伝性の病気を患っており、それを治癒出来る可能性のあるスパイダーマンの血を欲しがっていた。
だが、蜘蛛の遺伝子が組み込まれている自分の血を他人に輸血したらどうなるかわからなかったため、ピーター(スパイダーマン)はハリーの頼みを拒否。
このことから、ピーター(スパイダーマン)はハリーから恨みを買ってしまう。
一方で、グウェンはイギリスへの留学を決意。
ピーターとは実質的に別れることに。
両親への疑惑。恋人とのスレ違い。友人の誤解で苦悩するピーター。
そんなとき、父に繋がる手掛かりを見つけるのであった。
本当なら続編も予定されていたが、興行成績が不振だった(正確には、興行成績が期待値まで届かなかった)ために、アメイジングシリーズは本作で打ち切り。
マーベルスタジオ制作の「アベンジャーズシリーズ」に新たなスパイダーマン(演:トム・ホランド)を登場させ、アベンジャーズと合流させることが決定。
これより、アメイジングスパイダーマンは二作目で完結となった。
逆恨みしたハリーがゴブリンとなり、今後、スパイダーマンへ様々な刺客たちを送り込むと思わせる形で終わってしまう。
伏線が大体回収されているので、三作目があったとしても蛇足になっていたかもしれなかったのと、だんだんアベンジャーズシリーズが成熟していたので、このまま、アメイジングシリーズを続けていても先はなかったと思うので、主演のアンドリューには申し訳ないが、アメイジングは本作の2で終わる運命だったと思う。
打ち切りエンドであることから、不遇の作品になってしまったアメイジングスパイダーマンだが、理解者であり恋人だったグウェンを死なせてしまうという衝撃のエンディングが待っている。
ラスト。
グウェンを失ったショックで、スパイダーマンであることを放棄するピーター。
だが、ハリーの刺客である巨大な装甲を身につけたライノが街で暴れていた。
以前、悪ガキ共からいじめられていたのを、スパイダーマンに助けてもらった少年がライノの前に立ち塞がる。
その時、ショックから立ち直ったスパイダーマンは、ライノと少年の前に現れた。
帰ってきたスパイダーマンは少年に言う。
「代役ありがとう。こいつは僕が引き受けるから、君はママを頼んだ」
そう言って、少年とグータッチする。
スパイダーマンは周囲を見てつぶやく。
「やっぱり、僕にはここしかないのか」
戦うしかない自分の運命に嘆いていたのか、前向きに自分の運命を受け入れたのか。
どういう思いだったのか、マスクでピーターの表情はわからなかった。
そして、スパイダーマンはライノと戦う。
こうして、アメイジング・スパイダーマンシリーズは終わった。
不遇の作品となってしまったが、一人の青年が両親の謎、恋人との関係、友人の誤解で苦悩。
そして、大切な恋人を失ってしまう。
だが、彼はそれでもヒーローとして戦い続ける道を選んだ。
ライノとの戦いから先は描かれなかったが、アメイジングスパイダーマンは未だに戦い続けている。
【アベンジャーズシリーズ/ホームシリーズ】
「スパイダーマン:ホームカミング」(2017 アメリカ 133分)
監督 ジョン・ワッツ
脚本 ジョナサン・ゴールドスタイン、ジョン・フランシス・デイリー。ジョン・ワッツ、クリストファー・フォード、クリス・マッケナ、エリック・ソマーズ
出演 トム・ホランド、マイケル・キートン、ジョン・ファヴロー、ジェイコブ・バタロン、ローラ・ハリアー、ゼンデイヤ、マリサ・トメイ、ロバート・ダウニー・Jr
「アベンジャーズシリーズ」で誕生したスパイダーマン。ピーター役はトム・ホランド。
通称、「ホームシリーズ」第一弾。
トム・ホランド演じるスパイダーマンが初登場したのが「シビルウォー/キャプテン・アメリカ(2016)」であり、本作はシビルウォーの後の話になっている。
なので、このホームカミングはこのシリーズでのスパイダーマンの始まりが描かれた話ではなく、また一部登場人物たちもアベンジャーズシリーズに登場したキャラである。
ストーリーもアベンジャーズの予備知識が必要なので、シビルウォーまでのアベンジャーズシリーズを観ておく必要がある。
ちょっと、本作までの道のりが長い。
なので、まず、スパイダーマンが初登場した「シビルウォー」について。
様々な脅威と戦うべく、企業の社長から、軍人、神、科学者など、超人的な能力を持つヒーロー達によって結成されたアベンジャーズ。
だが、彼らの戦いはだんだん過酷になり、犠牲の規模も大きくなった。
そのため、国際的な組織の管理下の元、指令が来たらアベンジャーズを出動させるという条約が出される。
つまり、命令が出るまで、アベンジャーズは動くことが出来ない。
リーダー的存在であるキャプテンアメリカは、この条約を飲んだら、敵が来た時に即座に動けなくなると反対。
しかし、もう一人のリーダー格であり、大企業の社長であり、アイアンマンでもあるトニー・スタークは、実際に犠牲者の家族に会ったことでショックを受け、この条約は飲み込むべきだと言う。
これにより、キャプテンアメリカとアイアンマン(トニー・スターク)。二人のリーダー格は対立。
同時にチーム内でも、この条約を受け入れるか、否かで、二つに分かれてしまう。
キャプテン派とアイアンマン/スターク派で、二つに分かれてしまったアベンジャーズはもはや激突寸前だった。
そんな時、スタークはある少年を発見。
彼は蜘蛛のような能力を持ち、街を暴漢から守っていた。
その少年こそが、この世界でのピーター・パーカーである。
蜘蛛に噛まれたことで超人的な能力を持ったピーターは、憧れのトニー・スタークからのスカウトを受けて、スパイダーマンという名前でシビルウォーに参加。
スターク社が作ったスパイダーマンスーツを渡される。
ここまでが、アベンジャーズに初登場したスパイダーマンである。
シビルウォーに参加後。地道に街を守ってきたピーターだったが、たまたま家に居た友人ネッドに正体がバレてしまう。
この世界のピーターは叔母と生活しており、独学でウェイブシューターを作った。
ピーターは憧れのトニー・スタークに認めてもらうため、スパイダーマンとしてヒーロー活動するも空回り。
さらに正体を隠しているため、スクールライフも上手く行かずに、クラスメイトからバカにされる日々。
一方、バルチャーと呼ばれる巨大な金属の羽を持つ鳥のような強盗が現れる。
彼らはアベンジャーズが戦った敵の残骸を利用し、武器を製造して売る「死の商人」だった。
強盗団の存在を知ったピーターは手柄を取ろうと、行動に出るが、逆に一般市民を危険に晒してしまう。
この件でピーターはスタークからの信頼を失い、スパイダーマンスーツを取り上げられる。
スタークから見捨てられたピーターはヒーローとしての活動をやめ、普通の学生として過ごすことに。
そして、念願だった憧れの女子とパーティーへ行くことになったのだが、そこで予想外の事態が。
歴代スパイダーマン(ピーター)と比べると、まだ少年っぽさが残っているホーム版スパイダーマン。
スタークから渡されたスーツにはAIが搭載されており、超高性能だったため、その機能に頼り切ってしまう。
まるで、日本一有名な青い猫型ロボットに頼る野比のび太くんのような性格のピーター。
ライミ版、アメイジングの歴代ピーターたちは独力でやってきただけに、とにかく未熟さが目立つ。
だが、スーツを取り上げられてからの彼は自分の力のみでバルチャーと戦います。
未熟な少年・ピーターが、一人前のヒーローになろうと奮闘する姿は思わず応援したくなってしまいます。
果たして、彼はトニー・スタークから認められ、アベンジャーズの仲間入りすることが出来るのか?
バルチャーとの戦いの先に、待ち受けている運命とは?
「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」(2019 アメリカ 129分)
監督 ジョン・ワッツ
脚本 クリス・マッケナ、エリック・ソマーズ
出演 トム・ホランド、サミュエル・L・ジャクソン、ゼンデイヤ、コビー・スマルダーズ、ジョン・ファヴロー、ジェイコブ・バタロン、ジェイク・ジレンホール
本作は「アベンジャーズ/インフィニティウォー(2018)」「アベンジャーズ/エンドゲーム(2019)」の続きであるため、この二作を観ておく必要があります。
この二作のネタバレになってしまいますが、簡単なあらすじとして、宇宙に散らばった願いを叶えるストーンの力を使い、巨悪サノスは地球上に存在する人間達を半分消滅させる。
それにより、ピーターも消えてしまう(ここまで、インフィニティウォー)。
それから5年後……。
アベンジャーズの活躍により、消滅した人間がすべて復活。
だが、サノスとの戦いで、アイアンマン/トニー・スタークは命が尽きてしまう(ここまでが、エンドゲーム)。
サノスとの戦いを終えたピーターだったが、指パッチン事件(サノスによる人類の半分が5年間消滅した事件の名称)で世界は変わっていた。
五年間消えた生徒はそのままで、消えずに五年間居た生徒はそのまま成長しており、下級生だったヤツが上級生に。弟が兄よりも歳上になると言う問題が起きていた。
そんな中、ピーターはヨーロッパでの修学旅行を控えていた。
MJと仲良くなるために、いろいろ計画していたピーターだったが、アベンジャーズの司令塔ニック・フューリーに捕まり、ある重要な任務を任されることになる。
それは、突然現れた謎のヒーロー・ミステリオの星を滅ぼしたモンスター達を駆除することだった。
修学旅行をエンジョイするはずが、アベンジャーズとしての活動をしなければならなくなったピーター。
MJの気を引きたいという気持ちで居たからか、旅先で様々なミスを犯してしまい、ついにフューリーから見限られるピーター。
落ち込むピーターはミステリオこそが、真のヒーローにふさわしいと思い、スタークの遺品である人工知能が搭載された眼鏡をミステリオに渡してしまう……。
だが、これこそが、ミステリオが仕掛けていた罠だった。
ミステリオはただの人間であり、スターク社の元社員。ホログラム映像の技術者だった。
ミステリオというヒーローの姿も、現れたモンスターもすべてがホログラム映像。多数のドローンと自分の仲間達を使い、映像なのに本当に実体があるように工作していたのだ。
ホログラム映像技術とドローンによる破壊から、ミステリオはモンスターと戦う正義のヒーローになりすまし、周囲を欺いていた。
そして、この自作自演の芝居でピーターとフューリーを騙し、ミステリオはスターク社の技術を奪うことに成功するのであった。
だが、あるキッカケで、ミステリオがペテン師だと知ったピーターは最終計画に入ったミステリオを止めに動くのだが、果たして彼はミステリオを止められるのか?
本作は、インフィニティウォー、エンドゲームというアベンジャーズシリーズ集大成の後だったので、ファン的には祭りの後、燃え尽きた後だったのです……。
だからか、正直、物足りなさを感じてしまう内容……だったのだが、ラストでとんでもない大どんでん返しが。
ミステリオが仕掛けていた真の罠が映画のラストに発動してしまい、ピーターは一気に地獄送りに。
本作は次回作、「ノー・ウェイ・ホーム」への序章だったのだ。
なにをやっても、ドジをしてしまうピーター。
しかも、憧れのスタークを失い、頼れる者が誰もいなくなった。
そんな彼が本当の意味で自立するまでの戦いを描いたストーリーだったが、自立する前にとんでもない罠にかかってしまう。
果たして、ピーターの運命はどうなってしまうのか?
「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」(2021 アメリカ 148分)
監督 ジョン・ワッツ
脚本 クリス・マッケナ、エリック・ソマーズ
主演 トム・ホランド
ミステリオの罠にかかってしまい、正体がバレたピーター。
その影響は自分だけではなく、身近な人々にまで及んでしまう。
アベンジャーズとして共に戦ったDr.ストレンジ(魔術師)に頼み、人々から自分がスパイダーマンであることを魔術で忘れてもらうように頼むのだが、魔術の最中に余計なことを言ってしまい、ストレンジの魔術は失敗。
しかも、「マルチバース」と呼ばれるパラレルワールドの扉が開いてしまい、グリーンゴブリン、ドクター・オクトパス、サンドマン、リザード、エレクトロと「スパイダーマン/ピーター・パーカーを知る敵」を呼び出してしまう。
軽薄な行動で、彼らを呼んでしまったピーターはこの責任をどう取るべきか苦悩する……。
衝撃のスパイダーマン実写映画シリーズ完結編。
……あえて、ノー・ウェイ・ホームについては、ここまでしか語りません。
ただ、一言。最高の映画だったとしか言えません。
本当に、僕はこの映画を観るために生まれてきたのかもしれません。
そんなわけでライミ版1作目からノー・ウェイ・ホームまでを紹介して行きました。
現在公開中の「ノー・ウェイ・ホーム」までの道のりは、アベンジャーズシリーズも含めると、かなり長いのですが、その先にあるものは紛れもない感動でした。
スパイダーマンはヒーロー映画であり、同時に青春映画でもあります。
ライミ版は一人の青年がヒーローであり続ける苦悩を描いた。
アメイジングは運命に翻弄される青年の姿を描いた。
ホーム(アベンジャーズ)版は、一人の少年がスパイダーマンというヒーローになって行く姿を描いた。
本当に、スパイダーマンは青春映画だと思います。
まだまだ書き足りないのですが、いずれかの機会に。
この拙い文章で、現在公開中の「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」や、歴代スパイダーマン映画を観て頂けたら、嬉しく思います。
長くなりましたが、本レビューを読んで頂き、ありがとうございました。
ちょっとだけ帰ってきたクレイジーマッド映画ジャーニー 団子おもち @yaitaomodhi78
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