近い未来。人々の行き過ぎた正義感とモラルが、あらゆる物事を叩く題材にし、炎上するようになる。正義感はやがてぶつかり合い、戦争待ったなし。
そうして過敏になる世の中に頭を抱えた国連。話し合いの末、決められた“平和的解決方法”こそ、古より日本に伝わる遊戯——叩いてかぶってジャンケンポン——通称、「タタカブ」だった。
三人称で綴られる物語。まず、世界観からしてクスリとさせられます。何事もタタカブで解決しようとする社会。シュールな世界観で繰り広げられる熾烈なタタカブ。
本人たちは至って真剣なのですが、コミカルさが抜けきらない。それでいて、ただのタタカブなのに、まるでバトルのような胸熱展開…。
物語が会話文を中心として進んでいくことも相まって、全体を通して非常に読みやすくなっています。
ギャグのような設定ですが、ジャンルはあくまで現代ドラマ。
物語の根底にあるのは「正義とは?」という問いかけであるように思います。読み進めると、たびたび登場し、ぶつかる人々の正義、主張、自由、ひいては権利。
言いがかりのような理不尽な主張すらも、タタカブに勝ちさえすれば正義として認められてしまう。
平和的な解決を求めた結果、人は自由と権利を奪われる危機に晒される。
果たしてそれは戦争とどんな違いがあるのか?
一見ギャグのような世界に、皮肉にも似たテーマが見えるような作品になっています。
そんな世の中で主人公たちが、私達に近い正義感と価値観を持ち、熱いタタカブで理不尽を打ち砕く…。
その爽快感が間違いなくこの作品の魅力の1つ。
もちろん彼女たちが持つ“正義感”にも危うさがあって、それが想いを貫く障害となる。
まだ物語が序盤(8(9)話)ということもあってそこは主人公が軽く触れた程度ですが、今後、間違いなく大きな壁となって立ちはだかることになるでしょう。
その時、果たして主人公は、あるいは友人は、どのような成長を見せてくれるのかでしょうか。今後の見どころになっていくのだと思います。
私としては最新話(8話)で初登場する幼女も気になるところですね。
しっかりとしたテーマ性が感じられながらも、シュールでギャグみたいな世界観と軽快なやり取り、バトルのようなタタカブ描写のおかげで、ただひたすらに読みやすい。
間違いなく独創的と言い切ることのできる本作の今後に期待せざるを得ません。