青春は挫折と後悔の繰り返し。

青春に挫折はつきものだ、と俯瞰して考えてしまうのは自分が大人になったからだろう。膝を壊した陸上選手の絶望は僕には分からない。正確には分からなくなってしまったのだ。しかし、その挫折と後悔の気持ちは尊いものだとも思う。主人公の陸上競技に掛ける熱意が伝わってくるような文章だった。

僕はスポーツに対してそれほどまでに熱意を傾けた経験がない。だからこそ、そういった熱情が敗北したり、勝利したりすることの大切さを知っている。一歩引いたところで応援するしかできない者は意外と競技者よりも勝利や敗北に対して敏感だったりするものなのだ。主人公の痛ましさを理解できてしまうものなのだ。

大人になっても彼ら競技者への尊敬の念は消えていない。俯瞰しながらも敬意の気持ちは変わらない。さぞ、悔しかろうと思ってしまうものなのだ。そういった主人公の鬱屈とした感情が伝わってきた。