4畳半ワンルーム、水、僕と猫。

果実

僕の話




目覚める時間は大体昼過ぎ。

閉め切ったカーテンの隙間から光が差し込み、白のフローリングが発光してるみたいになってる。眩しい。




そのカーテンの膨らみから、気だるそうなショートヘアがのそのそと出てきた。日光浴が終わったんだろう、僕とは違うな。どうかそのまますくすく育ってほしい。



僕はといえば、ネットニュースのトップページを見ていた。人気女優を根拠もなく叩いている記事が出てきたり、はたまたよく知りもしないアナウンサーの好感度が爆上がりしてたりする。あれ、この人、1ヶ月ぐらい前に炎上してなかったっけ。いいとこを取り上げているのか、本当に鎮火したのか。僕にはどっちみち関係ないから特になんとも思わないけど。



すり寄ってこられたので、第何回目かわからないネットサーフィンは幕を閉じた。喉が乾いたから水飲みたいけど、離してくれないみたいなので諦める。

暖かくてくすぐったいけど、少しだけ心地いい。



ふと、嫌な記憶が蘇ってくる。

家族に捨てられ、友だと思っていた人に裏切られ、どこにも居場所がなくなった。

身も心もボロボロで、いっそ死んでしまおうかとも思っていた。

でも君は、僕と同じぐらいボロボロな君は、僕をじっと見て、そうして一緒にくれた。

その時なんだか、居場所と生きる意味をもらえた気がすることも、鮮明に覚えている。


急に切なくなったので、ないてみせた。

君はわかってくれるだろうか。

少しの間温もりが離れるけど、君はそこにいるから今はそこまで怖くない。


それに、君も一緒なんでしょ?

君も僕も、どうせひとりぼっちで――





「……ほれ、こぼすなよ。掃除するの俺なんだからな」




君はそう言って僕を撫でる。


使われなくなったコップに入れられた水を、僕はぺろりと舐めた。








「……俺が泣いたら、お前は慰めてくれんのかな」










ひとりぼっちの「僕」と『君』のお話。

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4畳半ワンルーム、水、僕と猫。 果実 @mimi_mi07

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