ろくにんめ……



「……ねぇ知ってる? ヘンな列車の話」

「えっ、何、怖い話? やめてよ夜に。私、怖いの超イヤなんだから」

「いいじゃん、私らバス通学で電車乗らないし。ここだってバスだし。バスの中で列車の話なら怖くないでしょ? それでね──」

「やめてったらっ!」

「夜の電車に乗ってて、ちょっと寝ちゃったり、スマホに気ぃとられたりするじゃん?」

「やめてよバカっ!」

「で、ふっと顔を上げるとね、外が真っ暗なんだって」

「……真っ暗って?」

「町の明かりも風景も見えなくて……ってちゃんと聞いてるじゃん! で、ここの路線にはこんな駅なかったでしょ、って所に停まるの」

「え……ワープ?」

「違うの。そこ、その人に関係のある駅なんだって。でもドアが開いても外は真っ暗で、何にもないんだって。

 それでうわぁ怖い~って思ってると、暗闇の中からね、小さく、ささやくような、死んだ人の声が──」

「──ねぇ、待って。待って」

「ちょっ、話の途中なんだけど。何?」

「ねぇ…………なんでバスの外、こんなに真っ暗なの?」










  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

彼岸列車 ドント in カクヨム @dontbetrue-kkym

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ