色のある音楽
バブみ道日丿宮組
お題:昼の音楽 制限時間:15分
色のある音楽
唯一残った宝物と言われたのは僕だ。
なんでそんなに大切にされるのかはわからない。
歌声が綺麗だから、宝石のように輝いてるから。
音楽の授業でそんなことを言われた。孤児院にいる子どもたちにも歌をせがまれる。
そんなことのために家族が殺されたって今も信じられない。
「相変わらず警備の人いなくならないね?」
「そうだね、見えるところでわざわざ守ってるアピールしても僕にはそんな価値はないよ」
実際誘拐されたって事実はあるけど、歌に奇跡も財宝もない。
あるとしたら、癒やしと楽しい気分を与えるだけ。犯罪に利用できるものがあるとは思えない。
「わたしもそう思うな。今日の検査終わった後、一緒に孤児院ついてっていい?」
「いいけど、検査見てるのすごく暇だよ? 何の波長を調べてるのかわからないけど、全身に機材つけられてセクハラものだよ」
イヤラシイ手つきで関係ないところをいつも触られるから蹴り飛ばしたくなる。でも、耐えないと孤児院の警備や、物資が絶えると考えると宝物としていじられることを望まなきゃいけない。
「訴えられればいいのだけどね、国レベルって考えるとそうもいかないのかもね」
困り顔で腕を組んで、何かを友人は考える。
「女性の研究者に変えてもらえば?」
「そうしてもらおうかな。それならまだ耐えられる」
でも、女性相手でもそういうことをしたがるって、孤児院のお姉さんが言ってたな。
「僕は歌を歌うのは嫌いじゃないけど、僕のせいで不幸になったお母さんたちに何を返せばいいんだろうって歌う時にいつも考える」
「うん……たまに聞こえる歌は悲しさが含まれてるから知ってるよ」
暖かい手のぬくもりを感じた。
「わたしは一生友だちでいて、一生あなたについてくから頑張ろう」
そういって友人は僕の座る車椅子を動かしはじめた。
「僕に構うのはいいけど、ラブレターの返事に答えたらどうなの?」
「今はそんな気分じゃないわよ。親友の傷が癒えないどころか国が何かしようとしてるじゃない。わたしだけは味方であり続けたいの」
誘拐された時に刑事と一緒に現場に駆け込んできたのは友人だ。
連れ去られた工場で逃げれないように足を砕かれて、僕は歌だけ歌えればいいと誘拐犯に存在意義を定義された時、僕はもう意識は機械のように命じられるままになってた。
あとから聞いたらそれは特殊な薬のせいだったみたい。
「そっか、ありがとう。僕も一緒にいてくれると嬉しい」
僕の意識は友人に抱きしめられた時現実に戻ってこられた。
だから、きっと友人の側が僕の音楽が優しくなれる場所なんだ。
色のある音楽 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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