約束
バブみ道日丿宮組
お題:純粋な男の子 制限時間:15分
約束
小さい頃の約束ーーそれは少女にとっては一生に一度あるかないかの大事な、大事な思い出。
少年と泣き別れた車の中で、必死に少年から最後にもらったぬいぐるみを抱きしめる。
いつかまた会える日がくると、再会できた日には彼女にしてくれるという願いを心に秘めて。
そんなに遠くない記憶だというのに少年はその思い出を綺麗に忘れてた。
大事件、義妹ができるという家族の変化ーーそして家の改装という自分の住んでた家の変化。父親から託されたのは、妹を守って欲しいという純粋な願いだった。
父親が連れてきた母はとても清楚な人で優しいそうな人だった。この人なら父も惹かれるのもしかたないと中学に入ったばかりの少年は思った。
その母の背中に隠れるようにいたのが妹。最初は拒まれてたけれど、だんだんと少年の後ろを着いてくる可愛い少女へと変化した。
父親と少年しかいなかった我が家は、二人の家族によって暗い闇から明るい光へと変化したかのような凄まじいものだった。
妹も中学に上がる時、少年に銀色の腕輪を手渡した。聞くところによるとそれは父親の形見らしい。母も知ってる様子で意外そうな顔をしてた。お父さん娘だった少女がまさか兄にそれを渡すとは思いもしなかったようだ。
当然のようにわけをしってる少年は何回も断ったけれど、『お兄ちゃんがつけてほしい』と言われ結局そのまま身につけるようになった。
そのおかげで少年は銀色アクセが目立つ高校生となって日頃から注意されるようになった。
そしてーー運命は約束を確定させる。
1人の少女が転校生として少年の学校にやってきたのだ。そして1年生として妹も同じ学校にやってきた。
嬉しそうに一緒に通う妹と話す少年との間をその日から邪魔する少女がいた。それは約束の少女。少年が忘れてるあの少女だった。
憤慨する妹と、鬼の形相を浮かべる少女の仲介をするのがそれからの少年の日課となった。
平和だなと少年が二人の姿を見つめてると、少女のスクールバックにつけられたキーホルダーから目を離せられなくなった。
どこかでみたことのあるシルエット、忘れてるような錯覚。
ふと顔を少女に向けると、どこかで見たことのあるような胸の痛みを感じたが、妹に手を引っ張られ学校に入った時その痛みは飛んでいってしまった。
振り返った少年がみた少女の顔はとても悲しそうな顔をしていた。
約束 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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