英雄、或いはデリカシー皆無のクソボケ

本作はやがてラスボスに至るとされている主人公ハンス・グリム・グッドフェロー大尉を中心に描かれる、ハードなロボット戦記である。

大尉は転生者でありながら特別な才能を持ち合わせず、ただ「あらゆる事態に備えている」ことを強みとし、誰よりも人を殺すことに長けた「首輪付き」なのだ。

それはそれとして、もう一つの見どころが私人としての大尉のクソボケっぷりにある。
この大尉、こと戦闘から離れると自己評価がどうしようもなくピンボケしているのだ。
そのため、素面で放った発言が乙女心にクリティカルヒットしては(なんで?)と真顔になるというすれ違い漫才が繰り返されることになる。

どうしてそんなお茶目なところもある大尉が「首切判事」「死神」と呼ばれるような極限の使い手になったのか、また大量虐殺に繋がる衛星落としを阻止しようとするヒロインの前にラスボスとして立ちはだかることになったのか。

一読者として、その謎が明かされるのを心待ちにしている。

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