私が書く理由

面白い作品だけど、ちょっと違う展開のストーリーだったら、私の好みだったなと思ってからが、きっかけだった。

書き始めて、私の好みの話で楽しかった。

だけど、小説を楽しく書く上で過ちを犯す。それは『欲』だ。

私の作品をもっと読んで欲しい。

作品は性癖だ。

面白いと認められば、自分自身が認められたと錯覚してしまった。

読者が望む方向でなければ、読者は離れてしまうと考えた私は、読者の意見に寄り添うつもりで、読者に私の小説を委ねてしまった。

そんなものは、私の好みの小説ではなくなってしまった。

ただ、烏合の衆の纏め役のようなもの。

好みの作品を読みたくて書いてたのに、好みでなくなったら苦痛で仕方ない。それは、仕方ない事なのに、何故気づかなかったのだろうか?

欲に目が眩むとは、こういう事なのかもしれない。


私は、いつもの時間で携帯で物語を打ち込んでいた。


今まで、流された部分からの文章を消して、自分の物語へと変化させていた。


苦痛に思っていた時間が遠い彼方かのように、枯れた大地に水が含まれたかのように、次々へと文字が脳内で溢れ、それを打ち込んでいく。


意見に流されないように一気に書き上げ、完結させた。

それを私は読み返した。


「そう。こういう話を読みたかった」


この時、今までに抱いたことの無い達成感を感じた。


それを公開させた。

これで、ブクマが減って文句を言われても、後悔は無い程の達成感。


翌日、コメント欄をみると予想していた通り、受け入れられなかった。

それはそれで良い。

だって、私とその人達の好みが違うんだもん。

ふと、目にしたコメント。


「このような愛もあるんですね。新たな可能性に気付かされました。私はこの終わり方が好きです」


身体中に寒気が駆け巡った。いや、これが『ゾクゾク』するってことなのか...?


私の好みに賛同してくれた。

この人に新たな好みを刻み付けた。

なんて、快感だろうか。


私は、まだまだ読みたいと思う作品がある。

全員に認められなくても、私が認める。この人みたいに、刻み付けられたら_______。


あぁ、また私は携帯に物語を打ち込む。

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私が書く理由 千夜すう @chiyasu_

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