第3話「六壁坂を探しに 山道編」
木々が生い茂り、太陽も微かにしか入って来ないその山道はまさしく「岸辺露伴は動かない」の六壁坂の雰囲気とマッチしておりました。
スマートフォンで写真を撮りつつ、下っていったのですが、慣れていない山道に片手に何か持ったままは危険すぎました。
安全の為に左右に手すり代わりのロープが張られた場所に来ると、流石に身の危険を感じ、スマホを仕舞い、本気の下山を試みます。
これは絶対全身筋肉痛になるなと思いながら、降りて行くと、はい。見事に足を滑らせました。
年末にも階段から落ちたばかりなのに、またかっ! と思ったのですが、幸い両手で掴んでいたロープのおかげでどこにも体をぶつけることなく、ただ一段落ちただけですみました。超アグレッシブな階段降りです。
そんなこんなで少し降りると、ドラマで使われていたような場所へ出ました。
とりあえず、妖怪に憑かれたいので、わざわざ持って行っていたアメを袋から出して捨ててきました。
さすがに環境に悪いものは捨てられないですからね。そのうち溶けてなくなるアメを選択。
これが普通の妖怪でしたら、私も取り憑かれたいなんて思わないのですが、熱烈に好きな作品となると話は別です!
たとえ憑かれたらデメリットしかなかろうと、作中と同じ体験が出来ることがすでに最大のメリットなのです!
ついでに、さらに下山すると、なぜか1円玉が投げ置かれていた場所があり、これ幸いと5円玉を捨ててきました。
なぜ、お金が大量に置かれていると、自分も置きたくなるんですかね? トレビの泉でも投げましたし。賽銭箱があると、なんの神様か知らなくても入れちゃいますよね。
そしてさらに下山していくと、どんどん良い雰囲気になっていきました。
何枚も写真を撮り、なんだったら、持って行った「岸辺露伴」のフィギュアも一緒に撮りました。
山道で地面がたいらではなかったので、自立しなかったのが悔やまれます。
あっ、もちろん、周りに誰もいないことを確認してから撮ってますよ。
…………冷静に文章で書くと、薄暗い山道で周囲を警戒しながらフィギュアを取り出すヤバイ奴になってますね。
まぁ、過ぎた過去ですし、反省も後悔もしていないので、たぶん、また同じことを繰り返しますね。
情報によると、こちらの山道の石階段は、途中にある休憩所から上しかないようで、たぶん休憩所であるベンチを見つけ、そこで引き返しました。
本当でしたら、もっと早くに引き返しても良かったのですが、テンションがあがり、自分の体力の無さを考慮せず、どんどん下ってしまいました。
そして、帰り道、膝がガックガク笑うという怪現象が!
もう大爆笑です! M-1なら優勝間違いなしの!!
「こ、これは妖怪の仕業っ!?」
ウソです。ただの体力不足です。
インドア男子からすると、聖地巡礼というドーピングでなんとかなっていたのが、終わった瞬間一気に疲れが。
急に足が上がらなくなり、震え始め、でも階段だから足を上げないといけないという。
逆に下りで怖かったロープのある場所は両手の力で上がれたので楽でした。
そして、なんとか鋸山の日本寺に戻って来たのですが、本当は体力があれば、鋸山の名物の大仏とか地獄のぞきとか見てもいいかなと思っていたのですが、そんなものを見ている余裕は皆無でしたね。
そのまま帰宅することにしたのですが、なぜか途中が全く思い出せないんですよね。
運転中、急に見知った場所に出て、そこまでの道のりが全く分からないという。
たぶん、本当はめちゃくちゃ近かったのに、行きのナビでぐるぐる回されたから、体感と実際の時間が違い過ぎて脳がバグったのだと思います。
さて、実はこの話もう少しだけ続きます。
家に戻ってから、撮った写真と、ドラマのシーンを見比べることにしたのですが、雰囲気はかなり近いものがあったのですが、石階段の形が違うんですよ。
これは無駄足だったかなと、憑かれにいったはずが、疲れただけという、笑えない結果になってしまったかなと思ったのですが、諦めきれなくて、別の人が行った鋸山の写真を見ていると、立入禁止の方の山道の入り口を撮った写真が出て来まして、その石階段の形がそっくりなんですよね。
「立入禁止でロケもなかったと言われたのに……」
もちろん職員さんがロケ地を秘匿した可能性もあります。
危険な山道なので、聖地巡礼で危険を冒す人を避けるためという名目もあるのは分かりますが、でも、それでしたら、撮影自体、そこではやらない気がするのですよね。
役者さんに危険が及ぶ可能性もありますし。
まさかの、六壁坂、見つけたような見つけていないような。
まるで煙に巻かれたような、なんとも後味の悪い結果になってしまいました。
そのうち再度挑戦してみたいとは思っていますが、今回はここまでです。
ついでに、アメと5円玉を捨ててから数日経ちましたが、特に妖怪に憑かれたというような怪奇現象は――、あれ? そういえば、筋肉痛がないですね。
えっ、この膝もしかして、本当に――。
妖怪を探しに行こうっ!! タカナシ @takanashi30
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