星降る秘湯として人気があるその地域では、昔からひとつの掟がある。
曰く――「夜道で誰かに呼び掛けられても返事をしてはならない」
この地域ではひと昔前まで土葬の風習が残っていた。だが《猿》が墓を荒らし、埋葬された死者の服や皮を剥ぎ取って被り、なりすますのだという――そんな地元のひとの話を聞きながら温泉にむかう旅行者は……
何処が伏線なんだろうと思いながらひとつひとつ、たどっておりましたが、なるほどそれは思いにもよらなかったです。こんなに気味の悪い「異種婚譚」があったとは……
真冬にこそ、ぞくりとしたい読者様はぜひ!