冒険者として絶対大成してみせる!

奏紅葉

「お父様、僕は冒険者になろうと思います。」

 僕がそう発言した時

「「「「……」」」」

 先程まで楽しげだった空間が一気に静まりかえった。


 そんな中僕の父、カウル・ヘルロンが口を開く。

「オリン、お前は自分で何を言っているのか分かっておるのか?」

「はい、理解しています。」

「……好きにするがいい。だが、冒険者になるならば今後ヘルロンの家名を名乗る事は許さん!今すぐ出て行け!」


 ◇


「はっ!?ゆ、夢だったのか。」

 しかし、あんなにも怒ったお父様を見たのは初めてだったな。今の夢は昨日の夕食で起こった事である。あまりにも衝撃的だったためか、夢にまで出てくるようになってしまったようだ。

 僕の名前は、オリン。もうただのオリン16歳である。僕は公爵家の三男に生まれ、剣の天才の長男アルト兄様と魔法の天才である次男のシリル兄様を持ったただの三男だ。貴族が通う学校ではトップではないにしろ上位の方だったのだが、なんというか兄様達が凄すぎなのだ。別に嫌われていたわけでは無いのだが、少し煙たがられていた(お父様や一部の使用人、周りの貴族などに)。

 お母様は、唯一自分似の僕をよく可愛がってくれていた。お母様も悲しそうな顔をしていたしどうにかして謝らないとな。兄様たちは……アルト兄様はまだしもシリル兄様の方は少し怖い、だって僕が小さい頃に言った「シリル兄様大好き!」という言葉を声を保存する魔法を作ってまでして保存して、今でも聞いている。昨日家を出た時にもこっそりと僕にお金を渡し、今泊まっている宿も教えてくれた。別れるときには、ごめんな、とずっと言いながら泣きじゃくっていた。

 それにだ、昨日お父様が怒ってしまったのには僕にも責任がある。そこについては反省している。家名を捨てて貴族を辞める覚悟はしていた。それほどまでに冒険者という職業に憧れていたからだ、ただ基本的に冒険者は貴族に嫌われていると知りながら、突然夕食中にあんな事を言い出してしまったのは失敗だった。

 なぜ冒険者が嫌われているのかというと、冒険者にはそれぞれ強さの段階があり上から、王級、公爵級、侯爵級、伯爵級、子爵級、男爵級、とそれぞれ貴族の階級を物差しに使っているからだ。だが、いくらプライドの高い貴族といえどこのくらいで怒っていては、貴族は務まらない。よくなかったのはその後で、冒険者たちは人間に害をなす生物通称魔物にまでこれを取り入れてしまったのだ。それにより貴族が「魔物にまで私たちの爵位をつけるとは、何のつもりなんだ馬鹿にしているのか!」となりそれ以降貴族が貴族を嫌っていると言われている。※貴族学校の教材より

 ひとまず、僕はこれから冒険者になるために冒険者ギルドに向かおう。

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