第6話 生徒会長のお誘い。

清水朱莉は第一学園の高等部Bクラスの生徒であった。俺のことを知っていたのは、先日の碓氷との模擬戦闘を見ていたからだ。それにしても清水さんは可愛いなぁと鼻の下を伸ばしていると、脇腹に激痛が走る。さくらが力一杯つまんでいる。鼻の下を伸ばすなということかな。

「それでは、清水さんは自分が襲われた理由に心当たりはありますか?」

「理由はわかりません」と答えたが、何かを知っているようだった。俺は続きを促した。

「実は………………」


 彼女は数日前から先ほどの男たちに絡まれていたそうだ。今日もいつも通り無視していると、男たちに強引に路地裏に連れていかれたようだ。

 とりあえず彼女に何もなくて一安心した。



 時刻は23時。外は完全に深い闇に閉ざされている。俺はある人に電話をしていた。

「夜遅くにすまん。早急に調べてほしいことがある」

「貴方様の依頼とあればすぐに調べていたしましょう」

 電話先の相手は、俺の執事である影浦一はじめだ。

 この老紳士は代々一条家に仕える使用人で、俺が幼いころに世話をしてくれていた使用人であり、今では俺の専属執事である。

「輪となった竜のタトゥーをシンボルとしている組織を調べてほしい。できればアジトの所在地もしらべてくれ」

「承知致しました。すぐに調べましょう」と言って電話を終えた。

 清水朱莉を襲った男たちには一つの共通点があった。それは輪となった竜のタトゥーが体の一部にあること。

 何かはわからないが嫌な予感がする。そして俺はベッドの中で目を閉じるのであった。

 

 翌日、学校に行くと俺へに対するクラスの雰囲気が明らかに違った。他クラスの生徒からの俺に対する対応はいつも通りだ。おそらく俺と碓氷の試合を見てない人たちだろう。

 教室に入室すると、一人の女の子が挨拶をしてくれた。俺も挨拶を返すと、ぞろぞろと他の女の子も挨拶してくれた。涙がちょちょぎれるほど嬉しかった。男子はまだ俺に警戒してるらしい。

 俺はいつも通り一番後ろの窓際の席に座る。ちなみに隣は水樹だ。


 しばらくして、水樹もやってくる。

「おはよう、悠。週末は何してたんだい?」

「おはようさん。妹とデート」

「詳しく聞かせてくれ」

 目がマジだった。俺はその日のことを話した。その他にも好きなタイプの女性などの話で盛り上がった。女子が聞き耳を立ててるとは知らずに……。水樹はどうやら巨乳の眼鏡女子が好きらしい。生徒会長が好きらしい。

 

 碓氷がやってきた。俺の目の前に来て、こう言った。

「あなたがよろしければ、私の連絡先を教えて差し上げてもよろしくってよ」

 一体この女は何を言っているのだ。

「いや、大丈夫です」と俺は断った。碓氷は驚いていた。水樹はケラケラ笑っていたが、碓氷が睨み静かになった。

「何が望みですの?なんでも差し上げますわよ」

「じゃあ、友達になってくれ。そしたら連絡先を教える」

 碓氷の目が一瞬点になったが、すぐに元に戻って答えた。

「ぜひ友達になりたいですわ。よろしくお願いします」

 こうして、碓氷と仲良くなった。二人目の友達ができて、素直に嬉しかった。

 

 喜んでいるところ、扉が開き生徒会長があらわれた。

「一条くんにお話があって来ました。少しだけ付き合ってもらえる?」

 水樹がこちらを羨ましそうに見ている。水樹すまん。


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高校デビューの俺は、圧倒的主人公。 男の底辺 @1noyu17

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