第7話 完結
死闘から3日後、俺は両親と再び中華レストランに行った。
「なんとかなったわけだ」父の問いに曖昧に頷いた。
「うーん」
「なんともならなかったの?」不安げに眉を寄せ、母が問う。
「うーん」
「はっきりしてくれないか?」身体を揺すりながら父が身を乗り出してくる。
「まずは食おうぜ」
餃子を食べ終えてから、俺は少しずつ話し始めた。
「まず、俺達三人は無事だ。生きているし、身体的にもどこも問題はない」
「アスカさんとはどうだったの?」
母がからかうような視線を送ってきたが、慣れているので、流石に高校生のような反応にはならない。
「LINEを交換して、今度実家での修行を体験させてもらうことになったよ」
「良かったわね。あの人は高名な霊媒師の一人娘で、生まれを鼻にかけず、自立してお金も稼いでいるから、良い娘さんだと思うわ」
「母さん」
「あら、ごめんなさい」
母が気まずそうに目を伏せた。三十路間近の俺を心配しているのだ。
「それでどうだったんだ?平安レベルの霊とやらは退治できたのか?」
俺は首を振った。
「じゃあまだアパートにいるの?」
再び横に振った。
「どういうこと?はっきりしてちょうだいノブちゃん」
母は動揺のあまり、小学校の頃の呼び名が出ている。観念した。
「勝負にならなかった。だから、三人で分散して引き受けたんだ。さっきから、この店全体に彼の腕が置かれている」
そのせいで、客や店員や外装はすっかり霊気の皮膚に覆われていて、見えない。両親の呆然とした表情が見えるので、配置には気を遣ってもらってる。東アジアを滅ぼせるから悪い奴とは限らない。
アスカさんと修行して、このやばい負荷を軽減できるよう頑張ろう。LINE以外の交換もしたいしな。
霊感だけ強い俺と5体の地縛霊の戦い 太郎丸 @deadlydrive
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。霊感だけ強い俺と5体の地縛霊の戦いの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます