スキルを一つ貰えるとしたら何にしますか?
喰寝丸太
俺が貰ったのはこれだ
「スキルを一つくれてやろう。如何する」
トラックに跳ねられ気づいたら、そう神に問われていた。
これは選択を間違ったら死ぬ奴だ。
良く考えるんだ、俺。
「制約は?」
「代償に魔力が要る場合がほとんどだ。即死とて魔力がなければ話にならん。不老不死もな。それに詠唱している間は隙になる事も多い。パッシブにするとタイミングを選べん」
「敵は誰ですか?」
「邪神じゃ」
手強いな。
「俺が初めてじゃないんでしょう。過去のデータを下さい」
「良いだろう。思いついたスキルを言ってみろ。そやつがどうなったか教えてやろう」
「即死はどうですか?」
「そと言った瞬間に殺された」
「即死パッシブスキルはどうですか」
「邪神は幾つも命があるのじゃ。魔力が切れて殺された」
うわっ、厳しいな。
「ステータスMAXはどうですか?」
「邪神がステータスなどという枠に収まる訳がなかろう」
ですよね。
「邪神を無害な物に変身させるのはどうですか?」
「変身させても能力は変わらんし、邪神には変身能力がある」
「能力強奪はどうですか?」
「人間の体で耐えられる訳なかろう」
「能力を捨て去るのはどうですか?」
「邪神の能力を削り切る前に魔力が尽きた」
「神化はどうですか?」
「持久戦になって魔力切れで殺された」
うん、なるほどね。
結局のところ回数制限みたいな物があるという訳だ。
「憑依は?」
「憑依は出来たが、邪神が死ぬ前に魔力切れじゃ」
そうか、俺が邪神で、邪神が俺でと。
考えた末に俺はある答えを口に出した。
「よかろう。健闘を祈る」
俺はいきなり邪神の前に現れた。
俺は自分の頭を床に全力で打ちつけようとしたところ、頭の中を探られそして一瞬で消された。
そして、邪神は滅び、俺は復活した。
目論見通りだ。
俺が神に要求したのは、『身代わり(パッシブスキル)身代わり対象、邪神限定』だ。
なぜ自分の頭を打ちつけようとしたかというと、俺が死ねば邪神が死ぬ。
邪神は俺の考えを見抜こうと頭を探ったが、身代わりが発動。
邪神は自分の考えを読んだ。
たぶんこいつを神の力で殺そうとでも考えていたはずだ。
それで、俺の能力を神化だと勘違いした。
そして、持久戦にでも持ち込もうと考えたんだろ。
いきなり全力で攻撃した。
考えが読めないのに敵を助けるなんて思考を邪神はしないはずと、踏んだ俺が勝った。
「見事じゃ」
神から言葉を頂いた。
「ところでレベルアップの音が鳴りやまないのですが」
「褒美じゃ」
さいですか。
――――――――――――――――――――――――
このネタは悪役の能力で考えました。
主人公を身代わりに指定して自殺しようとするんです。
それを主人公が「お前にも死んだら悲しむ奴がいるだろう」と言って必死に止めて、悪役が魔力切れになるんです。
それで優しさに打たれた悪役が仲間になるという設定を考えたんですが、不殺の主人公ってのは書きにくいのでボツにしました。
今回はその逆を書いてみました。
スキルを一つ貰えるとしたら何にしますか? 喰寝丸太 @455834
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます