あとがき〜出せない手紙〜

お茶

あとがき

少し伸びた髪をいじりながら


詩を書いていた茶露は手を止めて、あくびをした。



ねぇ、ちゃとら。


スマートフォンを眺める時間が増えて


視力も少し下がった気がするけど、


まだ眼鏡はかけなくていいかな。


ギターはもう少しお年玉を貯めて買うつもり。


もちろんYANAHA CS40J狙い。


私は形から入るタイプだから。



ねぇ、ちゃとら。


あと十何年?あなたに近づいているのかな。


あれから、ちゃとらのアカウントは消えてしまった。


でもね。


ちゃとらは私とずっと一緒にいるような気がするの。


物理的にはいないし、声も耳から聞こえるわけではないのだけど、


時々(こっちだよ)と私を連れ出して


きれいな夕暮れの空の色を見せてくれたりするの。



時々ね、不思議なことが起きるの。


いちいち覚えていないから、ここでは言わないけど。

(思い出したら言うね。)


なんだろう。他の人は神様とか言うのかな?


私はそんな時に(ちゃとらのいたずらだなぁ。)と思うの。



私は相変わらずひとりでいるし、教室では透明人間だけど。


嫌なことがあっても、嬉しいことがあっても、


いつもひとりじゃない気がしている。



もう自分のことをしねばいいのにとか、なるべく思わないようにしようと思う。

(二度と、絶対に、とは言えないけど…。)


ちゃとらが私のことを好きだと言ってくれたから。


私はあの時何も言えなかったけど…。

私も好きだと言えるように。


いつか、きっと。たぶん。

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