夢だと思ったから欲望のままに幼馴染をめちゃくちゃにしてたら現実だった。責任取ることになった

赤茄子橄

本文

「パパ、ママ、キワくんパパ、キワくんママ。......ウチ............キワくんに襲われて子どもできた」











..................?



「はへ?」



え、なんて......?



「今まではキワくんに脅されてて相談できなかったんだけど、実は、キワくんにはかなり前から定期的に性交渉を強要されてたの」


ん?


「だけど、とうとう子どもができちゃって、もう黙っていられないと思って............」


ほぉ?





時刻は19時過ぎ。晩御飯が終わって、2家族のみんながテーブルから立ち上がって、いつものように団欒し始めようとしていた僕らの家のダイニング。


彼女だけは立ち上がらず俯きかげんに留まっていると思っていたら、突然に全く了解不可能なことを語り始めた。

決して大きい声でも小さい声でもないけど、しっかりと耳に届く芯のある声で放たれた爆弾発言。


そう言えばご飯を食べている最中も、いつも以上に静かだと思っていたけど......。

こんな爆弾を頭の中でせっせとこさえていたのかな。


僕の名前を使った悪質な戯言というか虚言というか。

ともかくその発言に、僕は動揺を隠せるはずもなかった。



僕の両親もユメの両親も、ポカンと口を開けて当惑している様子で、なにも言葉を発しない。


仕方なく、動揺する心を抑えつけて、素朴な疑問を投げかけてみる。




「ユ、ユメ......?な、なんの、冗談?」




僕のことをキワくんと呼ぶ彼女は、ユメこと中津夢なかつゆめ


ミディアムウルフカットの赤みがかった黒の綺麗な髪。

丸っこくて柔らかそうな印象を与える目。

その中には、髪の色とマッチした違和感のない、力強さを感じさせるような赤っぽい瞳。


身長は157cmと、それほど高いというわけではないけど、適度な肉付きで、一般に男好きする見た目をしていると言えると思う。

そこに普段の性格もポワポワとユルい感じで、男子を魅了しまくる性質をたくさん持っている。

そんなわけで、昔からよくモテていたけど、昨年から通っている大学ではさらに拍車がかかって、かなりのモテっぷりだと聞いている。



そんな彼女は僕の2つ年上の幼馴染。

というか、僕が生まれたときには既に側にいてくれたから、実質ほとんど姉のような人。




それで、キワくんと呼ばれてる僕は、葦原極あしはらきわみ。受験を控えた高校3年の流されやすい男子です。




とはいえ、この冗談に流されたりするわけにはいかない。

いくらユメが普段こんな悪質な冗談を言ったりしない上に、その顔が真剣そのものであったとしても、笑って認めることなんてできない。







だって、僕はユメを襲ったりしてないし、ましてや脅迫なんてした覚えは一度もない。




「冗談じゃないよ?ウチのお腹には今、キワくんの子どもがいるの」




ユメはなおもって真剣な面持ちでそう言うと、「ほらこれ」と言いながら手のひらサイズの白い棒状のナニカを胸の前で横向きに掲げてみせる。


僕は実物を見るのは初めてだけど、漫画とかで見たことのあるソレは、紛れもなく、妊娠検査薬。


その中央付近についている2つの小さな窓には、それぞれ「終了」と「判定」という文字とともに、どちらにもはっきりとした直線が記されている。




「......は?え?......なに、どういうこと?」


「キワくん、もうとぼけるのはやめて、ちゃんと責任とって」


「な、なんで......」


「なんでもなにも、そりゃそうだよ。ここのところ避妊もしてくれないし、遠慮なく出してたんだし、いつかはこうなるに決まってるよ」




愛しそうにお腹をさすりながら答えるユメ。


その声音には、怒りというよりも、僕に覚悟を問うような威圧感を含んでいる。







待て待てステイステイ慌てるなまだあわてるような時間じゃない。


整理するほどの情報量もないけど、この混乱をおさめるためにも、何かを整理させてくれ。






えーっと、ユメは僕に襲われて身ごもったと言った。

検査薬は陽性を示していて、身ごもっているのは一見事実っぽい。

そしてその事実(仮)を僕たちの両親の前で暴露したみたいな形になっている。


それすなわち............?







あかん、よーわからんわ。堪忍してや。

思わず関西弁が出るくらい混乱してしまっている。関西に住んだことなんてないのにね。


......まずい、どうやら僕の脳は、どうでもいいことを考えて現実逃避しようとしているみたいだ。

思考を戻そう。






そもそも今は、いつも通りに・・・・・・家族団欒しようと・・・・・・・・していた場面・・・・・・だったといっても、ユメと僕は本当の家族ではない。

というか本当どころか全く家族ではない。


僕らの関係は、あえて言うなら幼馴染。敢えて言わなければ同居人。




うちの家庭環境は結構変わっていて、僕の両親とユメの両親同士の仲が過剰に良くて、ある種の二世帯住宅に住んでいる。


普通、二世帯住宅というと親と子それぞれの家族が共に生活するような家のことを言うものだけど、うちの場合は、親友家族同士が同居しているわけだ。


とはいっても、それ以上特別ななにかがあるわけではなく、あくまで2家族が同じ屋根の下で生活している、ということに過ぎない。

色々便利で都合がいいからそうしているだけとのことらしい。



僕にとっては、生まれたときには既にこの住環境が整っていたから、小さい頃は違和感すら感じたことがなかった。


それでもさすがに大きくなるにつれて、周りの友達から得られる情報によって、僕らの環境が異常だということには気づくようになった。





別にだからどうって話でもないけど、つまりは僕とユメ、血の繋がらない年頃の男女が同じ屋根の下で過ごしているわけで。

しかも僕らの両親は、どっちも夫婦ラブラブで、夫婦の営みも昼夜も僕らの人目もはばからずに見せつけてくる。


正直、自分の親のそういうことなんて見たくもないけど、さっきの御飯の時間も両夫婦ともに、母親が咀嚼したものを父親が口移しで食べるという、いつもの・・・・食事方法を採用していた。

なんというか、エロ本の世界であるような出来事な気もするけど、いうて日常の風景なのでいまさら物申したくなるということはない。


ただ、両夫婦が口移ししたあとの艶めかしい吐息を聞かせるのだけはちょっと止めてほしい。

家族のを見てなんかよくない気分になったりでもしたらどうしてくれるんだ。ならないけど。



ともかく、そんな乱れてるのか乱れてないのかわからないような住空間で18年間育ってきた僕らだ。

両親たちにとっては、僕が昔からユメを夜這いしてるっていう話も、全く信じられない話というわけでもないんじゃないだろうか。



いや、僕は別に好きな人がいるからそんなわけないんだけどね?


まったく、両親には僕が人格が歪まずにここまでまっとうに育ったことをありがたく思ってほしいよまったく。




「あらまぁ。きわみ。あなた、ヤっちゃったの?」





僕の母さん、葦原希あしはらのぞみが、ユメの言を信じる形で僕に問いかけてくる。

父さんやユメの両親も僕の方を凝視している。


うーむ、やっぱり僕のが悪い、か?





まずは両親たちの中で、変にこれが事実みたいに受け取られてしまう前に、ユメの発言は嘘であることを説明しておかないとね......。




「ままま、待ってよユメ!ほっ、本気で、な、何言ってるかわからないよ!僕がそんなことするわけないじゃん!」





焦りのせいで、噛みまくった上に、言葉尻の声が上ずってしまった。


まずい......、いまの客観的に聞いたらどう考えても図星をつかれてテンパってる人みたいに見えるんじゃ......。




「あちゃー、きわみく〜ん、レイプはだめだよレイプは」




危機感のない声で、なにげに僕の罪を確定させるような発言をするのは、ユメのお母さん、中津幸知火なかつさちかさん。


いきなり雷落とされたりしないだけましだけど、あなた母親ならもうちょっと心配してもいいのでは?




「んちょ、やややややや、やめてくださいよ幸知火さちかさん!ぼ、僕がほんとにそんなことしたみたいになるじゃないですか!やってませんから、え、冤罪ですから!」




相変わらず噛みまくってしまい、怪しさ満点になっちゃった。



両親たち4人の目がジトっと僕を見据える。

父さんたち男親は2人とも基本寡黙で、ことここに至っても無言を貫いている。それが逆に僕の背筋に冷や汗を流させる。



自分で自爆して嫌疑を濃くしてしまった。

このままだと、まじで突然訪れた謎の事態で、あらぬ容疑をかけられたあげく、冤罪で裁かれてしまいかねない。




改めてユメの意図を探ろうと、隣で俯いて座ったままのユメの横顔をチラっと見る。










ニヤッ。









............っ!?



「い、今の見ました!?ユメ、口元ニヤっとさせましたよ!嘘ですよ嘘!こんなのホントなわけないですよ!」


「何言ってるのきわみ。どう見ても真剣な表情をしてるじゃない。目元にも涙が浮かんでるのが見えないの!?」




ほぇ!?

何を言ってんの母さん!?




って......た、確かに!?

さっきニヤッとしてたのはほんの一瞬で、再度見返してみると、俯いたユメの頬に一筋の涙がキラリ。



う......わ......。

そんな表情されたら僕の冤罪が確定に近づいちゃうじゃないか。




「い、いやいやいやいや、ほんとに、本当に僕は何もやってないんだって!!!!!!!」




いい加減信じてもらえないことに苛立ちも感じ始めていた僕は、腹に力を入れて、近所迷惑にならない程度に叫ぶ。






しーん、と数秒間の静寂が我が家のダイニングを包む。










「ふぅん、キワくん。迫真の演技だね。でもそっか............キワくんは責任取るつもりがないんだね......。やっぱりウチはキワくんにとって、ただのおトイレだったんだ......」




静寂を打ち破る涙声での小さなつぶやき。


その威力は絶大だったようで、両親たちの視線がさらに強烈に突き刺さる。




「待ってよ......。本当なんだって......それでも僕は......やってない......」



奇しくも往年の名作映画、痴漢冤罪を取り上げた作品のタイトルと同じセリフが口をついてでる。





きわみくん。隠したいのはわかるけどね、男の子なら、ここで漢を見せるのがいいんじゃないかと、俺は思うんだよ」





ここで言葉を挟んできたのは、さっきまで押し黙って場を静観していたユメのお父さん、中津歌氷青なかつかいとさん。




「い、いや、ですから、僕はやってないんですって......」


「後でバレるより、自分で言ったほうが、いいんじゃない?」



完全に僕が犯人のていで詰められている......。

なんでこんなに信用ないの!?悲しくなっちゃうよ......。


いや確かにユメは、そのへんの男だったら襲ってしまいたい衝動に駆られてもおかしくはないくらいには美人でスタイルも良いけどさ。

僕は違うからね。


まぁ、妄想とか夢の中でなら、何度もヤっちゃってるんですけれどもね。



ともかく、リアルでユメを襲ったなんて事実はないはず!


冤罪ですよ冤罪。




「違うってば!そもそも僕は好きな人いるし!片思いだけど!」



「そっか、別の女の子が好きなのに、ウチにあんな乱暴してるんだね......」




い、いやいや、ここまで言ってまだ続けるのこれ!?

いい加減やめて、「ドッキリでした〜」とかってネタバラシしとかないと、ただの冗談じゃ済まされなくなるよ!?



あ、そうだ、証拠とか出させたら、さすがのユメもボロを出さざるを得ないでしょ!


ユメが何のつもりでこんな冗談を言ってきてるのかわからないけど、ないことの証拠は出せないはず。





「そ、そんなに言うなら証拠を出してみなよ、証拠を!出せるものならね!」




......ん?あれ?

なんかこのセリフ......。ものすごい犯人臭漂ってない?


推理小説なら、「殺人犯と同じ部屋にいられるか!」って言って1人になって殺されるやつと同じくらいメジャーなフラグ、「証拠を出せ証拠を」という人はだいたい犯人のやつ。









ニンマリ。






っ!?


い、いまやっぱりニヤってしたよ、ユメ!


涙を拭うような仕草で、テーブルの向かいに居る両親たちからは口元が見えないよう上手く隠してたから、多分見えたの僕だけだと思うけど!

めっちゃなんか企んでるよ!




そうして、ユメはポケットから携帯端末を取り出して机の上に置いた。





......え?まさか、なにかあるの......?証拠が?

僕がユメを襲ったっていう証拠が............?


は、ははは。バカバカしい。

そんなのあるわけないじゃないか。

だって僕はやってないんだから。




「証拠なんていっぱいあるよ。だってキワくんがウチに送りつけてきたんじゃない」



などと証拠があると宣うユメ。


いや、ないでしょ。ってか僕が送りつけたってなにをだよ。

あ、ここでなんかのネタバラシがくるのかな?端末の画面に「ドッキリでした〜」って表示されるとか?


なんて手の混んだ嫌がらせなんだ。

でもま、終わるならとりあえずいっか。


最後くらい、この茶番に付き合ってあげよう。




「僕が送ったって、何をさ」


「それもウチに言わせるの?」


「だからなにを?」



そんなに引っ張る!?

もういいから先に進もうよ!



「......動画だよ」



動画......?

まさか、行為の動画ってこと?



「そんなの............あるわけない」



「そっか、ここまできてもキワくんは反省しないんだね。ここで素直に謝って、責任取るって言ってくれたらって思ったんだけど......。ウチがママたちには見せないって思ってた?見せるよ」


「う、うん。よくわからないけど、わかった」



言葉の通り、本当によくわからない。けど、とりあえず話を先に進めるために、わかったと言っておいた。







僕の答えを受けて、ユメは手慣れた手付きで端末を操作すると、1つの動画ファイルを開いて再生した。


そこには見覚えのある2人が、身に覚えのない行為にふけっている様子がしっかりと映し出されていた。




==========


はぁっ......はぁっ......ふーっ......ふーっ......。むぐっ!?


ちゅう〜〜〜〜〜じゅるるるるるるる〜〜〜〜〜〜〜ずぞっ、っぷはぁ〜。



動画は長く深いキスの水音から始まっていた。


携帯端末のカメラで撮影したと思しき横長の動画。

カメラの中央に映っているのは、どう見ても僕の部屋のベッド。


角度的に、部屋のテーブルに携帯端末を横向きにしておいて、撮影したのだと思われる構図だった。



ベッドの上には、一糸まとわぬ姿でうつ伏せに寝かされ、僕と思しき男に上からのしかかられて涙を流す、ユメ。


うつ伏せになった状態で、上半身を軽く反らさせられ、上にのしかかって後ろにいる男の方に首をねじって振り向かせられるような体勢で、激しく唇を奪われていた。




「ははは、ユメの唇うめぇ〜!これ無限に唾液飲めるよ。あ、僕の唾液も飲ませてあげるね〜」


「ま、待ってキワくん......んむっ!?」



なにかアホなことをほざいた僕らしき男は、ユメが何か言おうとするのを遮るように、再度口づけし、自分の唾液をユメの口の中に流し込んでいく。


ユメの喉がごきゅっごきゅっと音を鳴らして液体を嚥下していく様は、あまりにいやらしかった。



それからも僕(仮)の追撃は止むことはない。



「ふふっ、ユメってば、身体はもう準備万端じゃん。じゃあもういただいちゃうね?」


「や、やめて。キワくん、お願いだから、やめて......?ウチ、まだシたことないの......。こんなのがハジメテなんて、やだよ......」


「あはは〜、いただきま〜す!」



ポロポロと涙を流しながら訴えるユメの言葉も無視して、僕(仮)は楽しそうに笑って無遠慮に、気持ちよさそうにユメを貪った。



==========



それから動画は30分ほど続き、動画の下のシークバーが右いっぱいまで来たところで、再生が終了した。




「「「「「「......................................................」」」」」」



動画が終わって、部屋に静寂が戻っても、誰も口を開けない。



いや、今は場の状況分析をしているような精神的余裕は僕にはない。









待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て。

え?は?待ってよ、え、何で?どういうこと?


今の動画の男、見た目も声も、どこをどう見ても僕だ。

僕には似た姿を持った双子の兄弟とかがいるわけでもないし、見間違えなはずはない。


あ、これは夢か?幻かな?

そうだよね、こんなわけわからない状況、夢じゃなきゃおかしいもんね。





心の中では、ここが現実だとわかっていたけど、夢の中だから痛みを感じない可能性に賭けて頬をつねってみる。

......地味に痛い。



だけど、夢の中で痛いって錯覚してるだけかもしれないからな。そういうことあるじゃん。

そうだよ、頬をつねるだけじゃわからないよ。



バキィッ!


自分の右頬を全力で殴ってみた。

あまりに痛い。


これが現実でなくて何だというのか。






僕が急に自分の顔面を殴りだしたからか、動画が表示されていた端末から目を離せないまま固まっていた両親たち4人と、ユメがびっくりした表情で僕の方を向く。



「どっ、どうしたのキワくん!?」


「い、いや......夢なんじゃないかと思って......」


「なんだ......。自分の罪を認めて、後悔したから自分に制裁を加えたりしだしたのかと思っちゃった」


「そんなんじゃ、ないけど。いや待って。え、なんでなのどういうことなのこれ。ユメが創ったの?」



作り物には思えない映像だった。

だからユメが創ったものじゃないだろうことは聞くまでもなくわかっていた。


でも、聞くのを辞めることはできなかった。

それくらい、混乱のモヤが頭を支配していた。



「何言ってるのキワくん。これは、キワくんがウチを・・・・・・・・脅迫するために・・・・・・・撮った動画・・・・・でしょ。『これをバラ撒かれたくなかったら、これから僕が呼んだらいつでも性処理させてよね』とか言って脅してきたのはキワくんでしょ」



いや、言ったことないよ!?



「そんなこと、言ったことない!」


「こうやって証拠があるのに、まだそんなこと言うの......?別に動画はこれだけじゃないじゃない。キワくんってば、えっちするたびにそれを撮影してさ。どんどん弱みが増えていくウチをいっつも好き放題ハメてたじゃない」


「してないってば!!!!!」












きわみ。嘘はもういい。なんでこんなことしたんだ」



混乱が最高潮に達して叫んだ僕に、珍しく父さん、葦原幻あしはらまぼろが微量の怒気を含んだ声で尋ねる。





「そ、そんなこと言っても......。僕はこんなことした記憶なんてないんだよ......。僕が好きなのは、同級生の華昏かぐらさんで......。だから、ユメをレイプして脅迫なんてするはずないのに......」



そう、僕の片思い相手は、クラスメイトの華昏妃香里かぐらひかりさんなんだ......。

なんで僕が、姉としか思ってないユメを無理やり襲うなんてことしなきゃいけないんだよ......。





......と、思いつつも、さっき見せられた映像に映っていたのは紛れもなく僕自身。


嫌がるユメを無理やり押さえつけて強制的に純潔を奪い取っていた。

股の間からシーツに垂れた鮮血が、行為の愚劣さを助長していた。





でも............ほんとに記憶がないんだ......。








..............................いや、待てよ。さっきからなんだか引っかかるものがある......。

ほんの僅かだけど、さっきの動画の光景に、どこか既視感を覚える気がした。






ま、まさか僕が解離性障害、多重人格にでもなって、別人格の僕がやった、とか、なのか......?




......違うな。


あっ、そうだ!

シチュエーション的には、僕が持ってる、年上もののえっち本の1場面と一緒だ。


あーっ、それで思い出した!

なんか夢でこういう場面みた気がする!



......まさか、夢だと思ってヤッてたけど、実は現実だった、ってこと、なのか?



あれ、ってか最近ユメとヤる夢ばっかりみるような気がしてたけど......え、もしかして、そういうこと!?


通りで夢なのに結構はっきり覚えてわけだよ!



いやさ?いくら姉としか思ってなくて好きなわけじゃないって言ってもさ?年頃で抜群のプロポーションの女の子、しかも別に血は繋がってない子が毎日近くにいたら、そりゃあ妄想の1つや2つしてもおかしくないでしょ!?





......けど、もしそうだとしても、まさか「夢だと思ってたからレイプしたのも許して」なんて言い訳が通用するはずがない......。


ソッチのほうがむしろ病院送りにされるような案件まであるよ。








考えがまとまらないうちに、ユメがさらに追い打ちをかけてくる。




「キワくんは証拠隠滅のために、自分の端末からは消してるかもしれないけど、ウチのCHAINチェインには、当然、キワくんがウチを脅してきたときのメッセージも残ってるから」



ユメはそう言って、メッセージアプリCHAINチェインを立ち上げて、僕のアカウントとのやり取り画面を見せる。



そこには......。




==========


きわ「この動画まじえろいね」


ゆめ「おねがいだから消して!」


きわ「嫌に決まってるじゃん。こんな上等なおかず、早々手に入らないからね」


きわ「それより、これ、バラ撒かれたくなかったら、これからいつでも僕の性欲処理に付き合ってね」


ゆめ「そ、そんな」


ゆめ「今日だって避妊もしてくれなかったのに」


ゆめ「このままじゃいつか赤ちゃんできちゃうよ」


きわ「うーん、それじゃ、気が向いたらゴムつけるからさ」


==========



という感じのやり取りが展開されていた。


恐る恐る自分の端末でも確認してみる。


そこには同じやり取りはなかった。

ただ、それと同じ時間に、メッセージを削除した痕跡がある。


このCHAINというメッセージアプリ、片方がメッセージを削除しても相手の方の画面では削除されないままになる、という仕様なんだ。


おそらく、ユメに送られてたメッセージがここにあったんだと思われる。










........................僕が犯人なんじゃないか。


虚言でもドッキリでもなく、僕はただのレイパーで、脅迫してた犯罪者で......。



「う..................うわあああああああああああああああああ!!!!!!!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」



謝るしかない。他にできることがなにもない。

未だにわけがわからないけど、見せられた映像がすべてを物語っていたから認めるしかない。



僕はさっきまで座っていたダイニングテーブルの椅子から飛び降りて、ゴンゴンと床に頭を打ち付けながら土下座して謝る。



「うんうん、よかった。これを見せてもキワくんが自分の間違いを認めてくれなかったらどうしようかと思っちゃったよ」



そんな僕を見下ろすような形でユメが優しく声をかけてくる。

その声の優しさも、今の僕にとっては、得体のしれないこの状況に対する恐怖を増幅させる舞台装置にしかならない。


両親たちは口をつぐんだまま静観を続ける。



「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」



「ふふ、いっぱい反省できた?」


「はい、反省しています」




ここまできて、ようやく両親側に動きが出る。



「ユメちゃん。うちのきわみがごめんなさい。それで......ユメちゃんは、どうしたい?」



僕の母さんだ。

母さんが尋ねた「どうしたい?」とは、僕の処遇についてだろう。



「ウチはキワくんが好き。レイプされて脅された今でも、変わらず大好き。キワくんは華昏かぐらさんって子が好きなのか知らないけど、別にお付き合いとかしてないんだよね?だったら......キワくんがウチのお婿さんになって、一緒にこの子を育ててくれたら、許してあげてもいいかなって」



驚くべきことに、ユメは、こんな最低な性欲男らしい僕なんかに、これほど寛大な処置で許してもらえるという。


僕の両親も涙を流してお礼を言っている。




ユメが僕のことが好きだったなんて......。

全然気づかなかった。



自分のことを好いてくれていた人を無理やり襲って、信頼を裏切って、それなのに、こんなふうに言わせるなんて、どれだけ最低なんだ、僕は。


こんな僕が、自分のために好きな人を追いかけていいわけない。


それに僕のことをこんなに好きでいてくれる人がそばにいるんだ。

こんなの、ユメの手を取る以外の選択肢なんて、無いようなものじゃないか。





















「ねぇ、キワくん。責任、とってくれるよね?レイプ魔さん?♡」



*****



あれからユメが持っていた婚姻届に記入した。

両親たちも、僕がちゃんと責任取るなら、子育ても手伝うし応援すると、びっくりするくらいかなり前向きで、同意も得られ、父さんたちが証人欄にサインしてくれた。


僕は高校3年生だけど、すでに誕生日が来てるからもう18歳。

ユメは2つ上なので年齢の障壁はクリアしている。



そんなわけで、記入したそばから市役所に赴いた。


19時過ぎから始まったこの騒動。

時刻はすでに23時を回っているけど、婚姻届は、市役所の夜間窓口で手続きできるらしく、驚くほどすんなり書類が通ってしまった。








僕はユメのお婿さんになった。

それと、実感は一切ないけど、1児のパパになったらしい。



まぁ、幸いにして僕らの家はかなり裕福だし、両親たちのサポートも期待できるみたいだから、なんとか子育ても、できる、かな?



*****









ふぅ〜、ようやくキワくんを堕とせたよ〜。


いやぁ〜、余計なことをいろいろ考えさせる前にさっさと婚姻届書かせて市役所に持っていって正解だったな〜。


じっくり考えられて、破綻してるところ見つけられちゃっりしたら面倒だしね。




ほんのちょっとだけ・・・・・・・・・強引な感じになっちゃたけど、キワくんの赤ちゃんできたのも本当だし、キワくんのこと大好きなのも本当だから、ちょっとくらい騙しちゃってもいいよね。


レイプなんて・・・・・・されてない・・・・・けど、あの動画だって本物・・だし。


じっくり考えれば、キワくんがあんな最低なこと、シラフでするはずなんてないってわかりそうなものだけど、そこはテクニックで乗り切りました!ドヤッ!


たくさんの情報を一気に畳み掛けて、混乱してるうちに契約させるなんて簡単な方法だけど、詐欺の常套手段になるくらいだし効果絶大だった!




おかげでキワくんはウチのお婿さんになってくれたし、これから一生、ウチをレイプした罪悪感を抱えて、ウチに尽くしてくれるんだろうなぁ〜♫

あー、これからの生活が楽しみ〜♡




まぁ、こんなに急に作戦を強行することになったのは全部、キワくんが悪いんだよ。

本当はキワくんが高校を卒業してから実行しようと思ってたのにっ!



数ヶ月前の夜、急にキワくんがウチの部屋に来た。

とうとうウチのことを襲いに来てくれたのかと思ったらガッカリ、いや、ウチにとっては泣きたくなるほど悲しい話だった。


言うに事欠いてキワくんは、「華昏かぐらちゃんっていう女の子が好きだから告白しようと思うんだけどどうしたら良いか」なんて恋愛相談をしに来よった。


とりあえず時間をかせぐために、「いきなりグイグイ言っちゃだめ。じっくり遠くから覗いてその子の好きなものとかを探るようにしなきゃだめよ?絶対話しかけちゃだめ。無視したりしたら気を引けるかも」とか、アンチパターンをこれでもかってくらい教えておいた。


おかげで今日まで進展はなにもなかったというのだから、ほっと一安心♡



キワくんから、ウチ以外との恋愛相談を持ちかけられたときは、ウチというものがありながら、そんなどこの馬の骨ともわからない女になびいてるなんて信じられない、って危うくウチがキワくんを襲っちゃうところだったよ。

うん、あのときのウチはよく耐えた。偉い!



あのとき耐えたおかげで、ほとんど当初の計画通り、「キワくんに一生ものの罪悪感を抱かせてウチから離れられなくする作戦」を決行できたんだよね。





まったく、キワくんは昔から女たらしなんだから。


ウチのアピールには気づかないくせに、他の女にはたくさん愛想を振りまくんだから。

まぁキワくんにそのつもりはないんだろうけど。


かっこよくて明るくて、運動も勉強もできて、芸術とかの才能もあって、男の子にも女の子にも平等に優しくて、それを全然鼻にかけなくて。

女の子のリードの仕方もなぜかばっちりで。


そんなのモテないわけないじゃんね。





キワくんがウチのお婿さんになるのは決定事項だったけど、万が一結婚した後にでも、他の女の子がキワくんに近づいて、キワくんも一時の気の迷いでその子と関係を持ったりしたら許せないからね。


そんなことにならないように、なんとかしてキワくんに一生消えないウチへの罪の意識を植え付けて縛り付ける作戦を練り練りしてきたってわけ。

どれもこれも、無事に成功してよかったぁ〜。




それにしても、あの動画も、メッセージも、仕込みが完璧に機能しすぎてて怖いくらい!



動画のときだって、強姦なんかじゃなく、ほんとは完全に和姦だったよ。


あのときはキワくんは最初は躊躇してたなぁ〜。







あの日、ウチは作戦を始めるためにキワくんのご飯に、意識が混濁するおクスリと感覚が鈍くなるおクスリと発情するおクスリを混ぜて食べさせておいた。

あくまで混濁するだけで、寝ちゃったりされたら、キワくんに襲ってもらうっていう作戦が失敗になるから分量には注意して。


ご飯からちょっと時間をおいて、キワくんがベッドに入って夢と現実の区別がつかなくなったであろう頃。

ウチは全裸でキワくんのお部屋に突撃した。



そのウチの姿をみたキワくんってば、意識もはっきりしてないだろうに、「な、なにやってるのユメ!」なんて焦ってたっけな〜。

うふふ、今思い出しても可愛かったな〜♡


それからすぐ、えっちしよって誘ったんだよね。


もちろん、普通にヤッちゃったらキワくんに罪悪感を植え付けるのは無理だから、あの動画の状況を作った。



キワくんが、年上の女の人を無理やり手篭めにして赤ちゃん産ませる系のえっち本を重点的にお勉強する傾向にあることはわかってたし、読んでる本の内容もちゃんと確認してたから、その中でも特に女の人が嫌がるのに無理やりする描写があるものを参考にした。



「ふふふ。ね、キワくん。キワくんが今見てるのは・・・・・・ユメなんだよ・・・・・

普通、ウチが全裸でキワくんのお部屋にくると思う?

だから、さ?我慢する必要なんてないんだよ?キワくんがシたいプレイ、なんでもできるんだよ?

例えば......キワくんが持ってる、あのえっちな本と同じように、泣き叫ぶウチの言葉を無視して無理やりスる、とかね?」



なんて言って、ちゃんと、間違って理性が働いちゃわないように夢だって誤解させてあげて、キワくんが心の底でヤりたいと思ってるはずのプレイを紹介してあげて。



今日もキワくん、自分でほっぺつねったり自分を殴ったりしてたけど、あの日も同じようなことしてたなぁ〜。



まぁ、感覚が鈍くなるおクスリのおかげで全く痛くなかったみたいで、完全に夢だって信じてたけど。


プークスクス。

キワくんってば、あんな方法じゃ夢か現実かなんて区別つかないのに、おバカ可愛いんだから♫



そこからはすぐだったな〜。



「ウチは全力で嫌がる演技・・・・・をするけど、やめなくていいからね?好きなだけ気持ちよくなってね?」



って伝えてあげたら、興奮するおクスリが効いてたのか、それともキワくんの本能なのかわからないけど、あとは動画の通りの状況が出来上がったってわけですよ!


さすがに最初は痛かったけどね。キワくんってば本当に遠慮なくほじくるんだもん。

けど背に腹は変えられませんでしたっ。




それからも週に2、3回は同じように夢と見せかけて襲ってもらって、この度めでたく妊娠。

最近は襲ってもらうたびに最高に気持ちよくて幸せ♡



いやー長かった!華昏かぐらさんなる人と進展する前に間に合ってよかったぁ〜!






それで、それからCHAINチェインのメッセージも、キワくんが携帯端末を置いてるすきに、ウチを脅迫する文面をウチのアカウント宛に送って、キワくんの端末からは消しておいた。


これのおかげで、キワくんは「キワくんのアカウントでウチを脅迫した文面が送られてる」ってことに気づかなかったし、ウチのアカウントにはしっかり脅迫された痕跡が残るって寸法だ。


だいたい、ウチら一緒に住んでるんだから、普通に考えたらそんな危険な内容のメッセージは、アプリで送るんじゃなく、直接伝えればいいだけだからね。

ここはじっくり時間かけて考えられたら、特にボロが出そうだったから、さっさと流してしまおうと思ってたんだぁ。


実際上手くいった。

婚姻届出した後、ウチが「あんなメッセージ2度と見たくないから、お互いCHAINのアカウント消して作り直さない?」って提案したら、罪悪感からなのか、二つ返事でOKしてくれた。


優しいキワくんも大好きだゾ♡


なんにしても、これで証拠も隠滅できたし、下地は盤石!




うーん、どれもこれも、あまりにも上手く行き過ぎて怖いくらいだー!














さて、そろそろキワくんの唾液を飲ませてもらいにでも行きましょうかね!


この子が生まれるまでに、パパやママみたいに、いっぱいイチャイチャしておきたいしね♡

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夢だと思ったから欲望のままに幼馴染をめちゃくちゃにしてたら現実だった。責任取ることになった 赤茄子橄 @olivie_pomodoro

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