第14話

「できましたよ」

「ありがとう、じゃあ、もう運んじゃうね」

「はい」

黒の肩越しに白と目があった。

さっきの事があったから少し気まずい。

「ありがとう、こつぶちゃん。じゃあ、いただくわね」

初仕事は思ったよりしっかりとできて、一安心だ。

「こつぶちゃん、もう休んでいいわよ」

「ありがとうございます」

エプロンを外して、空き部屋の椅子に腰を掛けた。

体はあまり動かしていないのに疲れた、

きっと、さぼりを見られた精神的疲れもあるだろう。

「あぁ、さっきの本が気になるな」

気を抜いたらパッと本が浮かんでしまった。

必死に頭から追い払おうとしても、さっきの

感動は容易く忘れることのできるものではなかった。

「あとで、あとで少し読んじゃおうかな」

こんなに疲れるまで頑張ったのだ、少し

だけ読んでしまおう。

ささやかな自分へのご褒美だ。

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森林館の文学メイド 宙月 霙 @Mizore_Sora

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