計画通り
まったく。この理事長は頭が本当に堅い。
ちょっと試しただけだってのに説教はねぇじゃん。
「……話はしましたよね?」
「ええ、耳にタコが出来るぐらいには」
パキッと拭いていた眼鏡が割れた。
そんなに苛立つと血圧上がるよ~?
「あの子のトラウマは特殊だと言っていたでしょう?」
「ええ。しかし、どのように特殊なのかは聞かされていませんでした。ホールの暗礁深度にあるバグの塊に被弾してもなんもなかったとしか知りません」
そして、それに眉がピクッっと動いた。
それだけに意味がある。
覚悟はしている。しかし、数十人の命よりは軽い損失だ。
しかし、想像していた事よりも穏やかに事は進んでいった。
「それで、特殊性はわかった?」
「いえ、まったく。あの時、彼女は……」
7時間前……
選んだ席とは違う所に当てられ。口を開く前に体育館に移動したら同じ場所を選んだ人達がタイマンを始め、順番が回ってきた。
ヤバイ。最悪だ。
いや、え?マジでやるの?
相手ドSだよ?ヤバイよ?
「はい、では。よ~い、始め!!」
ウッソだろお前!?
そう思いながら1秒もたたずに攻撃が飛んでくる。
それに対しファイアーウォールで防ぐ。とにかく防ぐ。
しかし、対処が早い。攻撃が抜けて来るようになった。
「ほら、どうしたの?防御ばかりじゃ、こうなるわよ!!」
そして被弾して吹き飛ばされた。
痛い。腕が痛い。
それでも攻撃は止まない。
やめて。やめてよ。
そうじゃないと……
「…メテ…」
「ん?なによ、はっきり言いなさいよ!!」
そうじゃないと……本気になるだろ?
「……」
「チッ!はっきり言えって私が言ってるのよ!!」
「殺す」
「え?」
本当にわからない子だな?
やめないから、君が悪いんだよ?
本気で行くか……いや、せっかくだから痛め付けて!!
(やめて……)
……チッ。
しかたない……一瞬で片付ける。
いいか?ファイヤーウォールの対処の仕方は大きく分けて三つある。
一つ目。エネルギー切れを待つ。まあ、あんまりお勧めはしない。
二つ目。ファイヤーウォールが誤解するようなデータを含めた攻撃をする。定石。
三つ目。ファイヤーウォールが耐えきれない攻撃をする。超おすすめ!
で、今回は三つ目をするわけだ。
「ウソでしょ!?」
いまさら?遅いな~。
さて、耐えきれない攻撃といえば!ズバリ!近接攻撃でしょ!!
ってことで接近して真っ直ぐに突く!!
形成したナイフが彼女の腹に届く……はずだった。
「そこまで!納めて」
邪魔をしやがって。
まあ、これ以上したら怒られるからやめるか。
んじゃ、後は頼むわ。
7時間後……
「で、気絶したと」
「はい」
そこまで説明した自分は一息吐いてコーヒーを飲む。
そして、理事長は眼鏡を外して頭を抱える。
「彼女は……いや、彼はまだ封印可能だ。今回は彼女が止めてくれたのだろう。しかし、彼女がいつまで持つかはわからない」
「……」
なるほど。つまり、彼女は……
それは元男である事を証明せよ デルタイオン @min-0042
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