第14話 報告

息子が再び帰省した。

仕事が片付いたとか言っていたが、本心はそうでは無い事はお見通しだ。


「そろそろだな、親父。」

「落ち着かないな。発表見に行ったのかな、アイツ。」


その時、玄関のチャイムが鳴り、藤井君が立っていた。


「おはようございます。」

「お、おう…。」

「と…兎に角入れよ。小部屋に先に入れ。」


息子も私も完全に顔を強張らせていた。


「お義父さん、お兄さん、報告があってきました。」

「お…、おう…。」

「そ…、そうだろうね…。」


すると藤井君は天井を指差し、目を真っ赤にして、こう叫んだ。


「帰って来ました〜!!」


俺たちは3人で大はしゃぎした。

妻はそっと涙を流し、恵は泣き崩れた。


その後、藤井君は超一流の国立大学へと進学し、俺が学費を出すと言ったのに奨学金で大学6年間を終えた。

無事国家試験に合格し、娘にプロポーズした。


暫くし、チャイムが鳴った。

インターフォンに映る藤井は満面の笑みでこう言った。


「今日から一緒に働かせて頂く 藤井卓郎と申します!!」


〈完〉


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

学びの部屋  mash @mashmaro

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ