第4話 家族は所有物ではない


ワシは今一匹で暮らしている。団地そばの山の中に素敵な寝床がある。

これまで一緒に暮らした相手は3匹いる。

別れ方はいろいろあった。

他の良い猫のところへ行ったモノ、すぐそばで人間の車にひかれてしまったモノ。

老いて死期を悟り別れを述べて消えたモノ。

どの相手とも一緒にいる間は助け合って生きてきた。


人間は別れるというのが苦手なようだ。

同じ屋根の下に暮らしながら怒鳴りあい、殴り合い。

あるいは一方的に傷つける。暴力を受けた方も逃げ出さない。猫のワシからみれば理解不能だが。人間には人間の事情があるらしい。


家の外では静かな男が、

家族であるから、暴言をぶつける。

家族であるから、暴力をふるう。


「人の家庭に口を出すな!」


彼らはそんな言葉を使っていた。数年前までは、そこで終わっていたが、最近はそこから家の中へ踏み込んでいく人間を見ることが増えた。

家庭の中で、侵害される権利、失われる命が多くあった。

人間はそれを変えようとしている。


彼に伝えたい。家庭の外には暴力を黙認する人間だけでなく、暴力を拒絶する人間もいるのだ。









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