第15話 蠢くのは黒い思惑

「まぁまぁええやんけ、そんなちぃさいことはなぁ」


薄い目をふっと開けて切れ長の瞳孔を覗かせる。


「そうだな、はぁ....おかえりヴァンプ、母様にも後で挨拶をしておきなさい。報告は今聞こう仕事も一段落したからな」


ヘルミナは銀色の髪をサッとかきあげて、話を促す。


「はい、母さんには後で挨拶をしておきます

。今回の報告は早めにした方がいいと思っていたのでありがたいです。恐らく父さんも掴んでいると思いますが、楽園が再始動し始めました。その中で吸血鬼は、尖兵のような役割を担っています。そして、楽園の幹部も円卓を作っているようです。絶対的な王として、36席の1人であるウィリアム・ブラッドが君臨しているようです。もっと深いものは報告書の中に書き記します。」


深く溜息をつきながら報告を済ませる。隣で佇む黒いツノの青年、ファヴニールは笑みを崩さず話に耳を傾けている。


「なるほどな、あの老害共も出てきたわけか3分の1を殲滅されてなお俺らの前に幅を利かせてくるとはな」


目を赤く染めながら獰猛な笑みを浮かべ、ファヴニールに相談を持ちかける。


「この一件お前も関与するのか?円卓の真似事まで始められては、我々の信用にも関わり始める。お前も浅からずアイツらに因縁はあるはずだ、どうしたい?」


今までうかべていた笑顔を止め、寒気立つオーラを纏いニィっと口角を上げて黒い龍は、話し始める。


「そやなぁ、36席の子らには大事な財宝持っていかれたしなぁ〜関わらせてもらうわ、ウチやって慈善や誇示だけで財宝集めてる訳やないし、これ以上好き勝手されるのもあんまり好きやないからなぁ〜

うちの兵隊貸すからヘルミナか坊が指揮しなや」


言葉を発し終えると寒気立つオーラも嘘のように消えて、今まで通りの穏やかな笑みを浮かべている。


ダダダダダダっと廊下を走る音が執務室の前まで響き渡り、バンッと勢いよく扉が開かれた。


「あなた!またファヴニールさんと喧嘩でもする気ですか!?私はあれほど言ったのに何であなたは私の話を聞いてくれないんですか!

.........え?どういう状況ですか?」


重苦しかった雰囲気がルーシーの登場でフッと和やかなものになっていく。

が、何も理解出来ていないルーシーは状況を整理しようとこめかみを押えてグルグルしている。


「あらァ、奥さんやないの〜久しぶりやなぁ相も変わらず綺麗やねぇ今なぁ〜」


と、ファヴニールがこれまでの流れをサラッとまとめて伝える。


「報告を聞くなら私を呼んでください!あなたの妻なんですから...」


ルーシーは顔を赤く染めながらうつむき加減にこちらに歩いてくる。そして隣に立って言い放った。


「緊急円卓会議を開くことを具申します。できるだけ多くの長を呼んでください!」







作者のプリシラの旦那です。今回も見ていただいてありがとうございます!

投稿がだいぶ遅れてしまって申し訳ありません。いやぁ祖父の死を未だに受け入れきれていませんが、時間が解決してくれると思っています。リアルの方がかなり忙しくなってきまして、投稿頻度が週一ではキツくなってきました。書ける時にバーッと書いて2話くらい一気に出そうかなと考えています。少なくとも月一では投稿しますので、気長に待っていただけると幸いです。

投稿頻度も遅くなることになり申し訳ないですが、これからもワンダーランドはめまぐるしくをよろしくお願いします!

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