第14話 龍と吸血鬼
「おたくの坊や連れてきたで~」
「いや、あんたはアポ取れよ!真祖でもやっていいことと悪いことがあるんだぞ!」
痴話喧嘩をしながら門をくぐる一行。青年の黒い角は夜の闇と同化しテラテラと闇を反射しているように見える。
「いや〜ヘルミナはいつでも許してくれるで?それを許さんのは坊だけや」
顎を撫で、炎をボッと空へ吐きながらそう言った。
「俺はあんたのそういうとこが嫌いなんだ仮にも真祖だろ!?しっかりしてくれよ!ほんとにさぁ、」
吸血鬼の男特有の輝く銀髪を揺らしながら怒号を飛ばしている。
「「「お帰りなさいませ!ヴァンプ様!」」」
屋敷の敷地を抜け扉を開けると屋敷のメイドたちが出迎えてくれる。
「あぁ、今戻った。父上はどこにいる?報告したいことがある。」
「お帰りなさいませヴァンプ様、わたくしがご案内致します。」
列の真ん中に居たメイドが名乗りを上げた。
パーマのかかった金髪が特徴的なメイドだ、何を隠そうこのメイドこそ真祖のご子息の専属メイドのカフカ様なのだ。
「真祖様はご自室でピアノを弾いていますのでそちらへ向かいましょう!ところで今回はどんな遠征だったんですか?」
「まぁ特段、変わったことはなかったが暗躍組織をいくつか見つけたんだがな....そのうちひとつが厄介そうでな、調べ回って有力情報を仕入れて帰って来たわけだ。聞けばあと数日で会議だそうだな、間に合って本当によかった」
そう言ってヴァンプは、綺麗な銀髪を揺らし歩きながら手を顎に触れて何かを考え始めた。
「そやけど坊、それメイドちゃんに話してもええんか?まだヘルミナにも言うてへんのになぁ、失礼な話やがその子がスパイやったらどうするんや?」
そう言いながら、黄色い眼球の威圧的な眼差しでカフカを睨む。
「あのなぁ、いつもあんたのタイミングが悪いから会う機会もほとんどなかったが、
カフカは俺の小さい頃から専属だし何なら幼馴染だぞ!」
そう言って、ヴァンプは感情をむき出しにしながら瞳を赤く染めていく....
「おい、うるさいぞ....帰ってきたと思ったらまた喧嘩しながらか、そして毎度の事ながらなんでお前はウチの息子に引っ付いて回ってんだ?ファヴニール...」
突然割って入ってきたヘルミナに一同は固まってしまったが、黒い角の青年は口角を上げて笑って続けた。
「「親友、久しぶりやなぁ〜」」
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