美波

「れん...?」


悠と別れてから次の日、雨の中で私、綾瀬美波が買い物から帰る途中、衝撃の光景が目に入ってきた。

それは、私の彼氏...のはずの浅野蓮が知らない女性と歩いているのだった。


「れん!」


「あ?」


私は蓮に近づいて呼びとめる。


「だれ?この子?」


「...ああ、俺の知り合いだよ」


蓮は何食わぬ顔でそんなことを言う。


「知り...合い?」


おかしい...私は蓮と付き合ってたはずじゃ...


「わ、私たちって恋人じゃ..」


「恋人?笑わせんなよ、ただの遊び相手だろ?」


「そ、そんな...」


蓮はそう言って、笑いながら私の前から消えてしまった。



その翌日だ。悠にヨリを戻そうと言ったのは、私はそこから悠を裏切らないと心から誓った。

しかしそれは悠の作戦だったことを知り、私は深く絶望していた。

何故あの時、悠ではなく蓮を選んでしまったのだろうか。

悠には自分でも分かるくらい、大事にされていた。なのに私はそれを裏切り、あっさりと騙されてしまった。

これは私への当然の報いだろう。

失ってから気づく大事なもの、それは私にとっては大きすぎた。


その後、悠と朱莉さんは校内公認のカップルとなり、毎日のようにイチャイチャしていた。

その度に私は過去の行動を悔やみに悔やんだ。

そんな時、悠が1人で教室へ向かっている時があった。

私はそれを見つけると


「ゆ...朝川くん...」


もう私に彼を名前で呼ぶ権利は無い。

私に気づいた彼は少し驚いたような顔をした後


「えっと..どうかした?」


「その...本当にすみませんでした!!」


私は彼に向かって思いきり頭を下げた。


「え、えっと..」


「じゃあ!」


戸惑っている彼を放って私は教室へ一足先に戻った。


私では彼と幸せになることは出来ない。

いや、私が自分でそのチャンスを潰したんだ。

なら今出来ること...


それは彼の幸せを願うことだ。


私は誰にも気づかれないよう、そっとこぼれる涙を拭った。


(ごめん...大好き...)





あとがき

正直これは書くか迷いましたが、美波の方も見たいという声があったので書いてみました。

よかったら感想など書いて下さると嬉しいです!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

彼女が浮気したので復讐します 朝霧 紅魔 @SIROKA0329

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ