幸せ
「ただいま」
俺は会社から帰り、玄関の扉を開く。
「おかえりなさい、あなた」
「ああ、ただいま」
美波に復讐してから、およそ10年ほどが経過した。
あれから俺と朱莉は無事結ばれ、夫婦となった。
「お風呂沸いてるから先入ってきてね」
「ああ、ありがとう」
朱莉は10年前と変わらず、とても美人でむしろ大人びて更に綺麗になっているくらいだ。
「あ!その前に...」
「?」
「ん!」
朱莉は俺の顔を見ると、目を閉じて唇を少し近づけてくる。
「あかり..」
そのまま俺たちは数秒だけだが、キスをした。
これは結婚してから俺が会社から帰ると毎回してくれている、お帰りのキスだった。
こうすると、会社での疲れなどが一気に楽になる気がするのだ。
「じゃあ、風呂入ってくるよ」
「うん、いってらっしゃい!」
「ふぅ...」
俺は風呂に入ると早速頭から洗おうとすると
「お邪魔しまーす!」
「ん?」
そこには、バスタオルを巻いて身体を隠しながら入ってきた朱莉の姿があった。
「あ、あかり..?」
「私が洗ってあげるよ!」
朱莉は得意げな顔で俺のところまでくる。
「じゃあ、お願いしようかな」
「喜んで!」
そのまま、俺の頭をワシャワシャと洗ってくれる。
「最近どうですか?お客さん」
「そうですね、僕の妻が可愛くて幸せですよ」
「うぇっ⁉︎そ、そうで..すか..」
意外な俺の返答に、朱莉は心底戸惑っている様子だ。
「...」
「...」
「はい...終わり..」
頭を洗い終わり、朱莉は頭から手を下ろす。
「ん、ありがとな」
「うん...ねぇゆう?」
「ん?どうした?」
朱莉は俺の背中から腕を回して、俺に抱きついてくる。
「私と居れて..幸せ?」
「ああ、もちろんだよ」
「..えへへ、そっかぁ〜」
朱莉はとても嬉しそうな声で、更に抱きついてくる。
すると、朱莉のその大きな胸が俺の背中にあたり、そっちに意識が向いてしまう。
「ねぇ、もうちょっとだけこのままでいいかな?」
「ん、わかった...」
その間、俺はずっと朱莉の胸が気になってしまっていた。
夕飯も食べ終わり、今は寝るところだった。
「おやすみなさい..あなた」
朱莉はそう言って、早々目を瞑ってしまうが、俺はさっきの事でまだ眠れなかった。
「あかり...」
俺は名前を呼ぶ。
「どうしたの?」
朱莉は少し体を動かし、俺の方を向く。
「その...したい」
「ふふ、したいんだ?」
俺の言葉の意味を理解した朱莉は、嬉しそうに笑い、そのまま俺の手を握る。
「じゃあ...して?」
「はぁはぁ...」
「はぁはぁ...」
30分ほどそれは行われた。
「ふふ、凄かったよ」
朱莉は俺の顔を抱きしめるように、自分の胸に埋める。
「あ、あかり..」
俺は朱莉を抱きしめ返す。
「好きだ..あかり...」
「私も大好きだよ..」
俺は幸せをしっかり噛み締め、朱莉の胸の中で眠りについた。
「おやすみなさい...ゆう」
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