第12話 最速で家に帰るだけのお仕事 Work of only go home the fastest
思わぬ精神的な被害を受けつつも
さっきまで寝台にいたはずが… 周囲は蒸気機関の排煙でくすんだ緑の園、後追いしてきた彼の言う通り、夢遊病の可能性が否定できずに肩が震えた。
程度の差はあっても悪夢を見ながら睡眠時遊行していたなら、疲労が取れなかった事の説明も付く。
「ディー、私……」
「想像力の無駄
困ったものだと眉を
ぞぶりと
「ッ!?」
「メェエ~~ッ!!」
「上手く隠形していたが、
どこの世界に怪異を
芝生に落ちたそれは不協和音を鳴らして、体積を何倍にも膨らませ、巻き角を持った
「リズの魔力を喰ったか」
また突拍子もない発言をする彼を見れば、骨格が組み変わる音を響かせて、破れた衣服の代わりに影を
多少は予期していた事でも実際に
それは凄まじい速度で
「メ…ェエ…ッ……」
「うぅ……」
最後、短く鳴いて
溜息した彼は
(拒絶はしないけど、 どう掴めばいいの?)
無駄に大きい掌の端を握って起き上がった途端、膝裏に腕を廻されて持ち上げられる。
「な… 何するんですか!」
頬が熱くなって暴れるも、抱き締めてきた身体が強張っている気もして、徐々に抵抗を緩めた。
「すまないな、人に戻ると影の服は消えるんだ。このまま最速で家に帰るぞ」
「はあっ、他の選択肢はないんですね?」
「そうだな、この時間に独りで歩かせるなど論外だ」
お前は家族だからなと、自然な振る舞いで口にした彼に少しだけ心を動かされる。
幻想種なら私を残して先に死なないだろうとか、幾つかの理由を
いつか本当に家族のような関係を築けるよう、努力はしてみようと――
☘ 蒸気機関都市の没落令嬢 ~ 2000㍀で人狼医師に身請けされる ~ shiba @shiba764
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