新春書き初め三題噺2022【漫才】
緒賀けゐす
漫才「紅白」
「「どうもーーーー!!!!」」
「増川シリンダーです!」
「室町ピペットです!」
「「二人合わせて、肉まんじゅうですー!!」」
(まばらな拍手)
「えー、あけましておめでとうございます」
「おめでとうございます、いやね、今年も頑張っていきましょ」
「シリンダールーレット!!!」
「おわっびっくりしたぁ、増川くん今年もやるんかそれ」
「例によって、回した俺の腕が止まったところのアイテムが今年のラッキーアイテムだ」
「不安やなぁ」
「ルーレットスタート!」
「手頃なやつ頼む……」
「テレレレレ――たわし、パジェロ、たわし、パジェロ、たわし、パジェロ」
「ん~偏りのある東京フレンドパーク」
「たわし、パジェロ、ボブ、たわし、パジェロ、ボブ」
「ボブ混ざり始めた」
「たわし、ボブ、たわし、ボブ……」
「たわしとボブならたわしがええなぁ、頼む、たわし頼む……!」
「テレレレレ、テン! 『たわしボブ』!」
「いや結局両方かい!」
「違うよ室町くん」
「何が違いますの」
「『たわしボブ』は、両手と頭髪をたわしに改造されたボブ」
「"両手と頭髪をたわしに改造されたボブ"」
「彼がいれば、洗い物や掃除が捗ること間違いなしだよ」
「非人道的にもほどがあるで」
「まー、ボブに限らずですけれども。室町くん俺ね、今年は色んなところで縁起良くいきたいなと思ってるのよ」
「ボブが縁起いいのかは知らんけど。紅白って、具体的には何すんの?」
「良い案がある。『身の回りを全部紅白にする』」
「全部紅白? めでたい色やけど。例えば」
「衣装とかね、赤いジャケットにしてみたり」
「ほう」
「家の内装を紅白に統一したり」
「はぁはぁ」
「あとはあれだね、紅白饅頭しか食べない」
「紅白にしても流石に極端すぎん?」
「いやぁ、紅白生活は難しい」
「もっと紅白の食い物あるんちゃう? 野菜もとらな」
「大根と……トマト?」
「まぁぎりぎり栄養は取れるか。じゃあ飲み物は」
「カルピスと……ペプシコーラ」
「2つしか選べないシステム?」
「かもしれんなぁ」
「……」
「……」
「――いやコーラ選ぶならコカコーラのほうやろがい!」
「うわ、間を空けてキレた。いいでしょペプシでも」
「赤ならコカや! ペプシはあれほぼ青やで!」
「それはラベルの話、今してるのは中味の話」
「あれは茶色やろがああああ!」
「おぉ……キレるな(笑)」
「笑うなあああああ!」
「室町くんがそんなコーラ好きとは知らなかった」
「ハァ……ハァ……怒りすぎて顔真っ赤なったで」
「お、それなら俺は白くなればいいな」
「白くなるって何をすんねん」
「テンテケ、テン、テン、テテン、テテンテン」
「……」
「カズレーザーに挨拶するため楽屋に向かったら~」
「……」
「NON STYLEの石田で~し~た~」
「「チクショー(やないねん)!!!!」」
「コウメ太夫パクって紅白カラーの芸人出すな!」
(ゴニョゴニョ)
「そんで耳打ちで『コンビ名も肉まんじゅうから紅白まんじゅうにしようか』言うな! ちゃんとお客さんに聞こえるように言いなさいボケるなら」
「あとは……ペットだけか」
「話聞いてる?」
「白は、とりあえずダイオウグソクムシだとして」
「増川くん第一候補にダイオウグソクムシ来るタイプの人間やったん?」
「問題は赤だな」
「そこはほな、甲殻類で合わせたらどうや?」
「例えば」
「だいたい赤いやろ甲殻類。エビとかカニとかよりどりみどりや」
「赤いのに
「決まった! みたいな顔すんな。ってか、ダイオウグソクムシだけでええやん」
「どうして?」
「いや、ダイオウグソクムシって脱皮したてやと赤っぽいやん」
「へー」
「……」
「……」
「「ただの知識やないかい!」」
「想像以上の気まずい空気が流れたわ」
「駄目だな今日は、帰ろう」
「せやな」
「帰って、紅白たわしボブに風呂掃除してもらうわ」
「たわしボブを紅白に染めるな!」
「いい加減にしろ!」
「キレ気味にセリフ奪うな! いい加減にしろ」
「どうも」
「「ありがとうございましたー」」
新春書き初め三題噺2022【漫才】 緒賀けゐす @oga-keisu
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