alter end・そして物語は駆け巡り

──アマノムラクモ・艦橋部

 ロスヴァイゼの啜り泣く声が響く。

 彼女だけが感情を爆発させたのではない。

 皆、同じようにミサキが好きであり、ミサキとの別れが辛かった。

 自分たちの創造主、それを安全のためとはいえ危険に晒す可能性があることを、皆が熟知している。

 でも、ここに留まっていても、答えは出ない。

 それならば、己の感情が、意志が壊れようとも、ミサキのために尽くす。

 

『ピッ……作戦開始までのカウントダウンを始めます……』


 オクタ・ワンの無機質な声が、艦橋に響いた。

 でもさ。


──ガチャツ

「ちょっと待ったぁぁぁぁぁ!!」


 俺は艦橋のハッチを開いて飛び込んでいく。

 俺の姿を見て、ワルキューレたちは困惑している。

 そりゃそうだよ、つい今しがた、俺を送り出したばかりだからな。


『ピッ……ミサキさまに意見具申。私たちの計画が無駄になりましたが』


 まあ、そういうだろうと思うよ。

 でもオクタ・ワン。

 その認識は間違っている。

 俺は、やることをやって帰ってきたんだよ!!

 伊達に運命の女神の従属神だったんじゃない!!

 時間航行程度、俺の神威能力である『運命創世』の前には、塵芥に等しいからな。


「あ……あ……」

「そんな……」

「まさか……」

「神よ……」

「……信じていました」

「……さすがです」

「ふぁぁぁぁぁぁぁん!!」


 俺の姿を見て、ワルキューレたちが一斉に立ち上がるけれど、俺はそれを手で制した。


「はい、ストップ。カウントダウンの前に、魔導ジェネレーターの調節を行う。作戦内容の変更、虚無を固定じゃない。虚無中心核の存在を、世界から切り離す!!」

『ピッ……それはどうやって?』

「それはなぁ……こうするんだよ」


──パチーン

 俺が指を鳴らすと、前方の空間に亀裂が走る。

 そこから、巨大なドラゴンが姿を表す。

 全長にして125kmの、巨大なドラゴン型機動戦艦ユニット。

 正式名称は『アマノムラクモ・ドラグーン』。

 いくつもの世界を旅しながら作り上げた、紛れもない『新しい伝承宝具』。

 それを作りあげる事が、創造神に至るための最後の試練だったからね。

 

『ピッ……認識コード確認。搭載魔導頭脳は機動戦艦アマノハバキリと認識』

「ああ。その通りだよ。機動戦艦アマノハバキリ。それを改造した、『アマノムラクモ強化外装システム』、それがあれだ。俺が神に至るまで……コツコツと作ってきてんだからな」


 ドラゴン型機動戦艦の頭部に、アマノムラクモが綺麗に収まるドッキングエリアがある。

 そこ目掛けてアマノムラクモを進めていき、トラクタービームによってアマノムラクモを引き寄せ、そして接続する。


──ガッゴォォォォォン

『ピッ……アマノハバキリと連結。マスターシステムを継承しました』

「さて、泣き虫ロスヴァイゼも、みんなも配置についてくれ。まずは虚無中心核を破壊して、それから帰ることにしようか……」


 そう告げてけら、俺は頭を振る。

 違う、そうじゃない。

 ワルキューレたちは、俺の言葉を待っている。

 だから、笑顔でこう告げた。


「ただいま!!」

「イエス、マイロード!!」


 さあ、早く全てを終わらせるか。

 そしてそのあとは、俺が神に至るまで、どんなことをしてきたのか話してやるとするか。

 機動戦艦から始まる、現代の錬金術師の物語を。


──FIN

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【完結】機動戦艦から始まる、現代の錬金術師 呑兵衛和尚 @kjoeemon

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