NEW人間バスタークラウドプレミアムスーパーEXマキシマムサポート
ちびまるフォイ
この商品を買うような人は、こちらも買っています
「お客様、なにかお探しでしょうか?」
「ええ、人間バスタークラウドがほしいのよ。
うちの子もうすぐ小学校に入学するから人間関係が心配で……」
「ああ、でしたらこちらにございますよ」
「あらほんと。こんな近くにあったのに。やだわぁ恥ずかしい」
「それでどのバージョンにします?」
「バージョン?」
「どれだけ有害な人間関係をバスターできるかで値段が違うんですよ」
「ええっと……でも基本的なところは同じなのよね」
「もちろん。悪い人間や借金取りはこの人間バスタークラウドでブロックできます」
「それじゃ一番安いのにしようかしら」
「……"人間バスタークラウドプレミアム"にしなくてよろしいんですか?」
「こっちの少し高いやつ? どうして?」
「実はですね、このプレミアムでなら"やたら指図する人間"を近づけないようにバスターできるんですよ」
「あらそうなの?」
「奥様の学校にもいませんでした? ああしろ、こうしろをやたら指図する人間。
ちょっとでも自分のものさしに合わないとケチつけてくる有害人間。
これはもうお子さんの成長を阻害するウイルスそのものですよ」
「そうねぇ……たしかに、子供の頃にいたかもしれないわ。
子供って世界を知らないから小さな変化でも許せないのよね。
かばんの色が他の人とちがうだけでからかわれたりしてたわ」
「でしょう。そんないじめのターゲットにならないためにも、
やっぱり人間バスターは通常版ではなく、プレミアムがおすすめなんです!」
「そうね。娘の健全な成長のためには必要な出費よね!」
「そうでしょう! そうでしょう!!」
「人間バスタークラウドプレミアムにするわ!!」
「……あ、ちなみに。本当にプレミアムでいいんですよね?」
「え?」
「今ならこっちの"人間バスタークラウドプレミアムスーパーDX"もお手頃価格で購入できますよ」
「でも……これ以上の人間バスターは不要なんじゃないかしら?」
「そう思うでしょう。でもこのDXでは"ネガティブかまってちゃん"をもバスターできるんです!」
「ね、ネガティブ……なに?」
「思い出してください。学生時代にひとりはいたでしょう。
ちょっと自分に嫌なことがあったら友だちの前で「私なんて……」と愚痴って
友達に"そんなことないよ"フォローを待っている人間」
「いた……ような気がするわ」
「一緒にいると疲れるし、ネガティブだから他の人も近寄らない。
そうしてどんどんネガティブかまってちゃんの保護者同然となって
まっとうな人間関係から離れて友達も少なくなってしまうんですよ!」
「た、大変だわ!! そんなことになったら娘の将来にかかわる!」
「そうでしょう? 学校での友達は一生の友だちになる場合が多い。
そのチャンスの芽を積んでしまう人間はまさにウイルス同然。そうは思いませんか?」
「思います!! 今から"人間バスタークラウドプレミアムスーパーDX"にしてもいいかしら!?」
「もちろんです!! ただ……」
「ただ?」
「"NEW人間バスタークラウドプレミアムスーパーEXマキシマムサポート"もあるのですが……」
「買うわ! そっちにするわ!!」
「本当ですか!?」
「もちろん。バージョンアップ版よね? 選ばない選択はないもの!
でもどの点がバージョンアップしたのか教えて?」
「このNEW版では、さらにさらに過干渉する人間をもバスターできちゃうんです。
自分の距離感で接したいのにグイグイ来る人いたでしょう?
そのような有害な人間を近づけないようにバスターできるんです!」
「なんてすばらしい機能なの!? これで娘に有害な人間は近づけないわね!」
「ええそうです! 奥様はいい買い物をしましたね! これでお子様も健やかな成長を保証できますよ!」
「ありがとう! 私も娘の成長が楽しみだわ!!」
「毎度ありがとうございましたーー」
・
・
・
・
「ああ、奥様いらっしゃいませ。昨日ぶりですね。どうしました?」
「実は娘に人間バスターを入れたら不具合が出てしまって……」
「ふ、不具合!? 失礼しました! すぐに取り替えさせてもらいます! いったいどんな不具合ですか!?」
「娘にこの服が似合うからと全部決めてあげたり、
心配だから勝手に娘の部屋に入ったりすることができなくなったのよ。
無理に言うことをきかせようとすると私がふっとばされるの!? これは不具合よ!」
「なるほど……。でしたら奥様におすすめの商品がございます」
店員は奥にある新商品を取り出した。
「"毒親更生パッチスーパーDX"です。これを使えばバスターされなくなりますよ!」
NEW人間バスタークラウドプレミアムスーパーEXマキシマムサポート ちびまるフォイ @firestorage
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます