第5話
ついにやってきた土曜日、俺は待ち合わせの時間よりも1時間以上早く来ていた。
「浩太さんおはようございます。待ちましたか?」
「おはよう、全然待ってないから大丈夫」
本当は早く来すぎてめちゃくちゃ待っていた俺だったが、佐藤さんに余計な気を使わせるような愚行はしない。
合流した俺達はさっそく映画館のチケット売り場へと向かう。
今回見る映画は今流行りの恋愛アニメ映画であり、佐藤さんが見たがっていたものだ。
この映画は男女の体が入れ替わるような内容らしく、見てきた友達の反応はかなり良かった。
チケットを購入し、ジュースとポップコーンを持って劇場へ入っていくと、中はカップルの姿が結構目立っている。
「周りは俺達とは違ってカップルが多いな」
「アニメとは言え、一応恋愛映画ですからね」
2人でそんな雑談をしているうちに上映開始時間がやってきて辺りが真っ暗になる。
映画が始まると俺達2人はスクリーンを食い入るように見つめ、気付けばあっという間に2時間が経過していた。
映画が終わり劇場内が明るくなると、佐藤さんは興奮気味に俺に話しかけてくる。
「まさかあんなストーリーだったなんて予想外でしたね」
「ああ、ただ2人が入れ替わってるだけじゃなくて実は過去と現代で入れ替わってたって設定はびっくりしたよ」
「最後に現代で再会した後、どうなったかめちゃくちゃ気になりますね」
俺と佐藤さんは映画の内容についての感想や個人的な考察などをお互いに話しながらゆっくりと映画館を後にした。
その後俺達は駅前のファミレスに寄ってメニューを見て注文した後、2人で話始める。
「今日は付き合っていただいてありがとうございました」
「いやいや、俺の方こそ誘って貰えて嬉しかったよ」
「……勇気を出して誘って良かったです」
佐藤さんは顔をやや赤色に染めながらそうつぶやいた。
昼食を食べた後、俺達は帰る前に景色の綺麗な公園に立ち寄る。
そしてしばらく公園を2人で歩いた後、噴水の前で立ち止まり口を開く。
「さと……」
「浩太さん、話したい事があるので聞いて貰ってもいいですか」
俺は噴水の前で告白しようと考えていたわけだが、佐藤さんから遮られてしまった。
真剣な眼差しに圧倒された俺は告白を後回しにして佐藤さんの話を聞く事にする。
「うん、いいよ」
「ありがとうございます……私はあの日痴漢から助けてくれた
なんと俺は人生で初めて女の子から告白されたようだ。
俺はあまりの衝撃にしばらく黙り込んでいると、佐藤さんの表情はどんどん暗くなる。
「……すみません、やっぱり私みたいな背の高い女じゃダメですよね。今のは忘れてください」
そう言って涙を流しながらその場から走り去ろうとする佐藤さんの右手を俺はすかさず掴む。
「待って、俺も佐藤彩さんのことが好きだ。付き合おう」
「えっ……!?」
「そもそも今日は俺から告白しようと思ってたんだよ」
その言葉に今度は佐藤さんが衝撃を受けたようで固まっている。
「嬉しいです」
俺の言葉の意味をようやく理解し始めた佐藤さんはしばらくの間嬉し涙を流していた。
それから落ち着いた佐藤さんは俺に対してとある決意を表明する。
「私は浩太さんと同じ大学で過ごしたいと思っているので平成大学に絶対合格しようと思います。だからまた時間がある時に勉強を教えて貰えませんか?」
「勿論だよ。佐藤さん、いや彩の事を応援してるから一緒に頑張ろう」
痴漢から助けた事がきっかけで始まった恋はこれからもまだまだ続きそうだ。
痴漢から助けて始まる恋 水島紗鳥@11/22コミカライズ開始 @Ash3104
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