地に足をつけて行こう。マイペースに、自身を理解しながら。

 ゲーム的処理の無いソーズ・アンド・ソーサリーな世界でのんびり冒険者していくお話。
 展開はスローペースなれど文体が平易で読みやすく、主人公の価値観・倫理観が現代日本在住一般社会人のそれなので共感しやすい。世界最高峰の力と美貌を突然持たされた小市民おじさんの戸惑いとの慣熟、おいしいです。

 数値化された能力値やわかりやすいスキル制が存在しないため、とっつきやすさには難があるかも。やや古め(1990年代前後)のファンタジー小説やライトノベルの雰囲気が好きな方には向いてそう。
 キャッチーさという点では元おじさんな主人公がナイスバディダークエルフにTS転生(でもセクシャルな描写ほぼ無し)がメインの売りなのでわりと人を選ぶ。
 逆ハーレム展開とか無くて大変落ち着いた(というか枯れてる? むしろ育つ土壌が出来てない??)感じなので、色恋方面のそういった要素に疲れたり辟易してる方にそっと差し出してみても良いのでは。

 所々に血腥さを挟んで異世界倫理を学んでいく場面もあるものの、基本的には穏やかに歩んでいく物語。私は好きだよ。