第4話
美佳子は美樹に詰め寄ってきた。
美樹は少し笑って話しを続けた。
「そしたら女の子は水の入ったコップをもち」
「持って・・・・・・男にぶちかた!」
美佳子は身をのりだして言った。
美樹は首を左右に振った。
「そっと横の鉢植えの花にあげました」
「へっ!」
美佳子は気抜けした声を上げた。
美樹は一瞬目を伏せてから話しを続けた。
「そしてこう言いました。『もし、あなたがこの鉢の水をきれいにコップに戻すことができるのなら”はい”と返事をしましょう』男の子は驚きました。でも、女の子は続けてこう言いました。『私、人の立場を考えられない人は好きになれません。もし、私が”はい”と返事をすれば、あの女の子の立場はどうなるのですか』・・・・・・これでおしまいよ」
美樹が話し終わっても美佳子はボーとしたままであった。目はなにを考えてるのか焦点が定まっていなかった。
美樹はそんな美佳子を見ながらゆっくりと言った。
「美佳子さん、あなたがこのお話をどう思うかはわかりません。しかし、大切なのはあなたがはたしてこのような男性に魅力を感じるかということ」
美樹の問いかけに美佳子は我に返った。
美樹はそれを見て取ると、ニコリとして席を立った。
「あとは焦らないでゆっくりと考えてみるといいわ。あっ、今日は話しを聞いてくれたから私のおごりね」
そう言うと美樹は店を出た。
「あっ、美樹先輩」
美佳子が慌てて席を立とうとしたその瞬間、不意にいままで美樹のいた席が目に入った。
(コップ・・・・・・鉢・・・・・・?)
美佳子の目はそばにあった水のないコップそして鉢植えの花へと移った。そして、美佳子が鉢の受け皿へと目をおとしたとき、そこには鉢から漏れた水が少しずつにじみ出ているところであった。
はい、真由美です。いや~どうでした。このお話、別にまあ、恋の問題に正解の答はないことだから・・・・・・それにしても美樹先輩、どうしてオレンジジュースが好きなんでしょうね~。
おや、もう時間のようで。またこれもいつかお話しすることもあるでしょう。
あっ、そうそう最後にこれを読んでいる男性諸君がいたら一言!女の子を舐めているとイッタイ目にあうぞ~。
恋の色はオレンジジュース 水野 文 @ein4611
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