これ以降のプロットを公開します

■作者からお知らせ


大変申し訳ないです。

今後の執筆時間が取れない見込みがあり、以降の話をプロットとしてまとめているものを公開しておきます。

プロットですので、文字が羅列されているだけで、推敲もされておらず、だいぶ読みづらいものです。申し訳ございません。

ただ、こちらの設定をいくつか使って『名探偵悪役令嬢』へとつなげていたり、思い出が深いものなので、このまま誰の目に触れられず消えてしまうよりは……と思い、公開させていただきます。



■2話から先のプロット


翌朝死んでたのをメイドが見つけた


葬儀の準備を…

しばらく隠しておきましょう。帝国との情勢が深刻です。落ち着くまでは。

そんな…

かわいそうですね、この人は。せっかく打ち解けてきたのに…

ファル姉が額に頭を置いて祈る

道を見失ったこの勇気ある者が、どうかやさしくあたたかい月へと導かれますように。

怪しすぎるだろ…



さて、このような事態になりまして申し訳ないのですが。

そろそろお引き取りを

そうですわね…

妹さんに…


窓がビリビリと震える

なんだ?


ラズモンド様! 帝国の空中戦艦が!

なに?

雷銃の音がする

バカな…村人を撃ってるのか?

降下兵!

取り囲まれる



ニルバス・ラグラーチは君?

私はラズモンド・ラグラーチです。ニルバスは私の父です。

そうか。


ニルバス・ラグラーチの歎願により、魔族討伐に我らが勇者が帝都アシュトラーゼンより急ぎ参られた

そんな…。父上は…。


ここは魔族が潜伏している恐れがある。

一体は封鎖、我らに敵対するは魔族とみなす。

バカな…


さあ、父上のもとに連れてってもらいましょうか。



ベットの前にいた

死人に口なしか

違います。父は病死したのです。

そんな顔で信じろとでも。



兵士が整列する

たくさんの兵士といっしょに女の子の勇者がやってくる

殿下、申し訳なく。

よい

恐れ多いぞ。勇者アールヴ・フォム・ファルトリッヒ様である。ひざまづけ。


だれも屈さない

抜刀する

不敬である!

皇国領事の邸宅に土足で上がり込んで何が不敬か!

まあ待て。


まず話しておこう。

余は不機嫌である。

頼まれて来たものの、魔族はいない。頼んだ本人は死んでいる。

プリンやらケーキやらたんまり食べてる最中に呼び出されたのだぞ。

まったく持って不機嫌だ。


誰が魔族を討伐した。

だーれーがーやっーたァァァ!


僕です。勇者ナオユキです。

ほう。勇者を語るか。証拠は?

それが…

印状をお持ちだったのでは?

妹さんに。…預けていて。

なんと…


どうした? 語れぬのか。この偽者が。

違う…


ふふ。

ドヴェルグよ。勇者とはなんであるか?

民の希望でございます。

抜刀する。そのままテーブルをぶち壊す。

勇者とは民の希望。ではこれを壊したのは民の望みだ。


今からお前は民の希望に殺される。呪うなら民を呪え。

…。

何も言わぬか。

ふふ。女のケツから眺めた魔族はさぞ愉快であったろう。

拳を握る

殴りつけたかった。でも、できなかった。

ネネがすばやく勇者の首を片手で握りしめる

黙れメスガキ。ナオユキを侮辱するのは許さない。死ね。

ダメだネネ。やめて!

みんなで引き剥がすがビクともしない

この子、いつのまに体にブーストを!



お待ちください!

妹登場

こ、皇国の印状はこちらにあります!

帝国の法によれば皇国の勇者には敬意を払うとあります。

皇国の法でも同じです。違えれば双方の勇者は死罪です!

ネネの手が離れる。

けほけほ

駆け寄る兵士


剣に手をかける

て、帝国の王族が皇国の勇者に手をかけるのであれば!

それ相応の報復が皇国から成されるかと!

ここはお引きを。

…ふん。


勇者ナオユキよ。お前に魔王は倒せない。そいつらに一生甘えてろ。…気色悪い。

アシュトラーゼンへ戻る。

はっ。



去っていく帝国軍

大丈夫でしたか?

はい…

お前は何てことを

それは…


僕が悪いんです。

きっと僕が本物の勇者じゃないから

カタカタと震えてる

ナオくん…

違います! ナオユキは…。


わ、私は! あなたは勇者だと思います…

私には勇者なんです。たったひとりの…

剣を返される

だから救ってください。みんなも。私と同じように…

手を握られる

…はい




ぷらぷらと屋敷の里を妹とネネが歩く

すみません…。ネネさんに言われたものは見つけられず…

いいよ。あんまり期待してなかったから。

そうですか…。

外はキラキラしてますね…

ゆっくりでいいよ。

仕方ないのはわかるし、焦るのもわかるよ。

でも外の世界はほらこんなに楽しいよ!

そのおかげでナオユキにも会えたしね。

広い世界に怯えないで。あなたにも泳げるところがあるよ、きっと。

私は役立たずですから…

役に立ったよ。さっき。

微笑む彼女

ありがとうね。ナオユキをかばってくれて。

いえ…。

ネネ、準備できたよー



見送るメイドと兄と妹。

すみません荷馬車まで…

いえ、道中長いでしょうから。お礼にこんなものしかなくて申し訳ないのですが。

そんなとんでもない…


そして青いひまわりの情報も。

スクロールの形にしてあります。細かい情報はありませんがネフィリアに記した書物があるそうです。

ネネが出てくる。

げ、ネフィリア…

いや、その、あはは…、ネフィリアにはアカデミーが…

里帰りするぅ?

いやですよ。でもまあ、ナオユキはすぐ道に迷っちゃいそうですし…。ついていきますよ

ありがとう、ネネ

顔を赤くするネネ


そういえばあなたからは硫黄の匂いがしますわ

はて…、このあたりでは硫黄は取れませんが…

そうですか。それではいずれ

ええ、いずれまた。よい旅を

勇者ナオユキ、ありがとう!


硫黄って?

私たちが嗅ぎなれた匂いよ



急ぎましょう。古都ネフィリアに答えはあります。




魔物サイド


さて、申し開きはあるかな。ギュネス・メイ

串刺しにされている魔族。帽子をかぶっている女。血が滴っている

なんのことでしょうか。メイド様?

いまの私をメイドと呼ぶな

参謀様とでも?魔王軍滅殺軍団謀略参謀クラノーシュ様

違うな。私は13氏族の一家門、クラノーシュ家の頭首としてここにいる。

本来ならお前のような下民と話すことすら我が家名に傷がつく。戦争と言うのはおかしなものだ。秩序を敵も味方も壊してくれる。


ぷふふ。それはそれは


魔物討伐を名目に帝国が軍を差し向けたというのに。

そのままこの地を橋頭保にして皇国へと進軍する手はずになっていたのを…。

あの領事一家も餌にするはずだったのに。領事め、勝手に死によって。まったくみんなうまくいかない。すべてがクソのようだ。


ぷふ。


この下衆が。ルフィカールを焚きつけた結果がこれだ。どうしてくれる。


ぷふふふ…。私のような低俗な魔族が差し出がましい真似をしました。すみませんでしたね、メイド様



ささってる槍をぐりぐりとする


ぐふっ

血を吐き出す

くふっ


謝罪などどうでもいい。お前の目的はなんだ。これは狂王のたくらみか。言えッ。

人が悪いですね。あなた様は我が君アルザシェーラ様に仕える身でありながら、事の顛末を大魔王様に報告するのでしょう?

狂王だぞあれは。あんなものを次の大魔王にでもしてみろ。魔界が滅んでしまうわ。

アルザシェーラ様にはアルザシェーラ様のお考えがあり…

たわごとだな。あれが焼いたエルフの森を見るがいい。何が芸術作品だ。魔界全体をああしてしまうぞ。

大魔王様にはお出来にならないことです

お前はなぜ狂王につく

私はアルザシェーラ様に拾っていただいた身ゆえ…

ははは。弱い生き物め。弱さが身に沁みついているか。私は力の強いほうにつく。それで我が家は安泰だ。

…ぷふふ。お考えは存分にお聞かせいただきました。それなら私もここに用はありませんね。

なんだと?

パチン

私は否定する。死にかけていることを。

槍が抜ける

な…

さて。どうしましょうか。ああ服が穴だらけですね。これは困りました。

貴様!

腕をつかむ。が、はばまれる。

だいぶなまっておられでは?

ぬう

パチン

私は否定する。クラノーシュの心臓が動いていることを


かはっ。はがあ


裏切者は苦しませてから殺すことにしてるんですよ

生きたまま心臓止めると案外つらいでしょう?


ぐふぁ

のたうちまわる


あー、話していませんでしたっけ。私の根源は強固な否定。だから私は生き、あなたは死ぬ

あ、そっか、知らせたら死んじゃうんだもん。誰も知らないか。ぷふふふ。


頭を踏みつける。


ああ、いいですね、その苦悶の表情。取り返しがつかない状態に焦っている気持ちが顔に出てますよ。これはなかなか、うっとりできますね…。

ああ、硫黄のいい匂い…。魔界が懐かしいですね…。

さあ、私の娯楽のために死んでくださいな。氏族様。

足をつかまれる

強く踏み抜く

早く死ね。


動かなくなる。


まったく。手間を取られた。けどまあ、一応網は張っておいたし…。

勇者御一行様。そしてクソ女め…。ぷふふふ。あははは

皆殺しにしてやる

書斎の机にどっかり座り、クラノーシュの灰が舞う中、不敵に笑う




■燃え続けるエルフの森


遺跡で目が覚める

ファル姉に起こされる

陽が高い

なんかやたら気持ちいい

メル姉がそれがエルフの子供の神様という

そわそわするメル姉

夢を見たと嘘を付く

行こうか

ありがとう…


落石で回り道

馬車を港町まで送る依頼を受けていた


木々が青く燃えている

最後まで燃えるとじわりと戻り、また燃え始める

燃え続けては再生するエルフの森

---


村に入る

家も燃えている

その先に石造りの家がある

寝かされているエルフの村の人たち

青白く燃えている

少しだけど楽にするから

ファル姉が祈祷する

顔が少しずつ和らぐ

やけども気にせず弟の手を握るメル姉

きっと助けるから…

ナオくんは背恰好が似ていることに気が付く


ファル姉が結界を強めに行くという

直すことはできないんですか…

かかっている魔力が強すぎて…。これをしのぐのは人には難しいかもしれません…

メル姉がうつむく

ネネが言う。

でもきっとなんとかします。人は不可能を可能にしてきたんですから!

そうですね、なんとかします

ありがとうな


魔法担当のふたりが結界を手分けして強くするという

瘴気を抑えることで多少火の勢いを和らげるらしい

いろいろ見せたいというメル姉についていく

実をたくさんつける木

川辺

ジロが外から出て、水でちゃぴちゃぴしてる

あーし、弟とよくここで遊んだなー

王宮でナオくん見かけたとき、あ、弟がいるとか思っちゃったんだ。そのままついてきちゃった。あはは。

僕に…僕に甘えてもいいんですよ。

あーしはお姉ちゃんだから。だから大丈夫。ありがとうな。



そうだな、お前はお姉ちゃんだからな。

誰?

魔王軍虐殺軍団魔導特務大隊長ギュネス・メイ

高位魔族…

剣に手がかかる

そんな頑張るお前にプレゼントをやろう。

なに?

この焼かれ続けている村人のひとりを生き返らせることができるとしたら?

ぴくっ

ぷふふ、信じてないな。まあ、それはそうかもね。私魔族だし。でも、最後のチャンスかもよ

あと何年そうしてるつもり?人より長く生きるお前には、苦しみがずっとつづくだけ。勇者だってお前を置いて早く死ぬんだよ?

だめだメル姉。

さあ、どうしたいかな?

…拒否したら?

そうね…、結界を壊す。

な…

お前たち人が作ったせせこましい結界など、容易に壊せる。こんなふうに

パチン。私は否定する。焼かれ続けるエルフの森の結界のひとつを

パンと弾ける音

瘴気が風のように流れ込むと炎の勢いが強くなる

どうする? お前の弟を生き返らせてやる。その代わり…

ファルラ・ファランドールを差し出せ

なに?

タダではあげないよ

プレゼントなんか贈り合ってこそのものでしょう?

そう子供の頃に教わらなかったかしら。

まあ卑しいダークエルフだものね…。わからないか。

お前たち魔族が私達を騙してこうしたくせに…

それが?

メル姉が切りかかる

それをすばやく避けていくギュネス

ぷふふ。いいなあその顔その表情。私を殺したくてたまらないんだよね。とっても最高な気分だよ。これってもう恋って奴じゃない?

でも、私を殺しちゃったらあの弟さんにもう二度と生きて会えなくなるよ?

動きを一瞬止める

ばぁか

蹴られて吹っ飛ぶ

次は君だよ。甘やかされ勇者くん。


人の心をもてあそぶお前ら魔族なんかがいるから!

ほう。お前たちがよくそんなことよく言えるね。

え…

我が君から手を出すなと言われているけど…

私、案外デザートを最初に食べるのに抵抗はないんだよね。

ギュネスが指を鳴らそうとする


オオカミの声がする

ヴォルザッパー!

ナオユキから離れなさい!

ヴォルザッパーを振り回す

相手の根源もわからずに必殺技を出すなんて、なかなか君は勇敢だね。ああ、どっちかというと無謀かな。

うるさい!

お前、何を食わしてる?

な…

ヴォルザッパーは生きている。生きるために命を食う。

人の魔力や魔族の命など腹の足しにすらなるまい。

動物?

それとも人かな?

違う!人は食わしていない!

そうかな?果たしてそうかな?

お前…!

もしそうなら。お前が食われるぞ。

私にはやることがあるんだ。あるんだから!

心臓の鼓動より早く運命が訪れるだろう。お前はじきに死ぬ。なすべきことをなせず、ただ死ぬ。

右頬が侵食される。

ナオユ、キ…。信じて…、私…殺して…ない…

放心して膝を落とすネネ

ネネ!

あはは。絶望こそヴォルザッパーの好物。そのまま食われてろ。


ネネの前に立ち塞がる勇者

お前…

いい目だ。いい目をしてる。その目が少しずつ光を失っていくのを見たいな。


で、いつまで隠れてるのかな

…ファル姉


やあ久しぶり。何年ぶりかな?

あら震えてるの?

あのときさんざん私をコケにしたくせに。

…お前なんか知らないわ


へえ。ツレないなあ。

もっと困った顔、見せてよ。ほら、あなたにつけられた傷を見せてあげるから…

服を脱ごうとする



バインド!

地面からつたが伸びる。が、焼き切れてしまう

シャラップ!

ぺろりとめくれてしまう

鈴を鳴らしても効き目がない

この地は我が君が我が君の力をもって焼いた地。お前たちの稚拙な魔法は効かないよ

震えだす。真っ青な顔をする。口から血が出る

魔力の消費が激しいだろう? そろそろ楽にさせてやろう

ぷふふ。ぶっ殺してやる

ファル姉…

ナオユキの頭をなでる

そんな顔しないように教えたはずですよ

ファル姉がバインドをかけまくる

焼かれ続けるのなら、私は何度でもかける

ぷふふ。楽しい…

お前の指を押さえる!

何重もツタがまかれる

ぷふふ

あのね。指を鳴らすのは、私の趣味なんだよ。ただのね

ニヤリと笑う

私は否定…

とっさに勇者がキスで口をふさぐ

ん? んんー!

口が離れる

糸が引く

な…

ごめんなさい

え?

ネネ、いまだっ!

侵食したまま使う

ヴォルザッパー!!

斬られるギュネス

右目を負傷

何を…何を噛み切った…

お前が否定する心を

くそが…

体が崩壊していく

自分の指を噛み切り、血を拭きださせると魔法陣が出る

覚えていろよ、おまいら。ぶっ殺してやる。そして勇者くん、また遊ぼうね。なかなかいいキスだったよ

そのまま去っていく

根源を破壊したから長くはもたないでしょう。それは魔族の命そのものですから。


メル姉大丈夫?

あはは。あばらいったっぽい

手っ取り早いのがいいですか?

うん

ほらナオくん

寄り添う

手をつなぐ

スーパー甘々タイム発動!

ほんわり包まれる

こうやってよく弟と連れ添ったなあ。

あの日の光景が幻視される

ありがとうな、ナオくん

いいんですよ。甘えてください

泣き出す

私、弱いなー 強くなりたいな…。強くなりたい…。


頬をさする。黒いものは消えていた

座り込んでるネネ

あの…私は…

あなたは私ね。いまヒールするから。

ええー。私もナオユキがいい

今日ぐらいは、ね

もう、あとでナオユキはお仕置きです。それで我慢します

はいはい。




■ネフィリアに渡る


海辺の街に到着

メル姉は空を見上げてる

ネネは頬をさする

みんないろいろあって気が滅入っていたけど、海で回復

飛行船。ドラゴン牽引してる

山脈を越えられない。皇国はそれで守られている

海は魔族がいるため空が主

ご飯食べる。海の幸づくし。炭火焼き最高。

ダークエルフが魚好きってどうなの? 

店の人に教会の話をされる

めいめい別れて行動

ネネは切符

メル姉は食料。

ファル姉とナオくんはギルドへ

宰相閣下の手紙とお金を受け取る

はぴはぴー、ナオくんとファルちゃんは元気にやってるかなー

ふざけた手紙。帝国の動静と艦隊準備の話をしている

勇者も同行するという

返答するファル姉

ギルドの人から教会への場所を教わる

教会へ。

教会には誰もいない

中でお祈りする

さまよいし小さな星にどうか月灯りを照らしたまえ。我らに月のお導きを。

えらいぞ、ナオくん、ちゃんとできて。

ファランドール様…

お世話になった僧侶と会う

いろいろあったのを助けていた

それでも中央には残れなかったのですね…

仕方がないことです。私はあまり悔いていません。こちらの方は良い方ばかりです。これも月のお導きなのでしょう。

そうでしたか…

あなた様はなぜ…

あそこに私の居場所はありませんから。

そうですか…

祭りがあると言う

でも…

ファル姉、行くのを遅らせよう。祭りはいましかないんだ

そうね…

ファル姉が知らせを飛ばす

船を夜行に変える

焚き火がでる

灰が雪のように降る

死者が月に導かれるように火を焚く

私はみんな無くしてしまったんです。父も母も友達も居場所も。みんな月に導かれるとよいですね…

ファル姉…

そんな顔しないでください。ナオくんと出会えたのですから、これもお導きというものです。私は案外いま幸せなんですよ。

でもきっと…。ナオくんもいなくなるんですよね…。

そうだ。みんな放り出しましょうか。魔王のことなんか知りません。一緒にナオくんは私と暮らすんです。この町に小さな家を借りましょう。ナオくんが大きな魚を釣ったって笑顔で私に言うんです。私が大騒ぎしながら料理して、ナオくんがそれを食べて美味しいっておかわりしてくれて…。それで私は…

ぎゅっとする

大丈夫だから、ファル姉。僕はファル姉より先に死なないから。いなくならないから。

そうですね…、きっと大丈夫ですよね…


何してるんですか!

ネネたちが来る

まあまあ。

みなさん用意できましたー

みんなで焚き火にあたる

いろいろ思うみんな

白いワンピースの子が飲み物をくれる

ニッと笑う

温かい飲みものを飲む

別れを告げる

勇者が短剣を寄進

僕には何もないのですが、せめてこれを…

めっそうもない

断るけど、ファル姉の口添えでもらう

あなたに月のお導きがありますように


塔の中。すごい賑わい。

お店も人もいっぱい。

大陸の拠点だからね。

遅れが出てる

あちゃー。もうちょっとゆっくりできたのに。

仕方ないですね。ちょっと待ちましょうか。

腹減らないか?

肩組みされてメル姉に連れていかれる。

不思議なラーメンぽいものを食わされる。

戻る。

外套を付け直すネネ。

あ、ナオユキ、もう受付始まりましたよ

メル姉がファル姉を見る。首を横に振る

どうしたんですか、行きますよ

古い籠で上へ上がる。

チケットを見せ、ゲートに行く

囲われた中を通る。忙しく行き交う子供達を見る

船に乗る

雑魚寝の3等寝室。みんなで場所取る

ジロがアクビしてたら、子供達に遊ばれる

動きだす

後ろに見に行く

風がある

街の灯りを見る

決意を新たにする

浸っていたら逃げ出した元勇者なお姉さんに出会う

----

街の灯りがきれいだね。

歌を歌い出す

街の灯りが綺麗ね。ヨコハマ、ブルーライトヨコハマー

日本にいたんですか?

うん、君も?

はい

じゃ君は勇者かな?

はい…。皇国の…

そっか…

元気ない

私は戦えないから逃げ出したんだ

元帝国の勇者。魔族殺しを強要され、それが嫌で逃げ出した。いまの勇者は、そのあとに選ばれた。

私は逃げることしかできなかった。でも後悔はしていない。世界を旅するのもいいもんだよ

寂しく笑う



なかなか痛々しい姿ではないか、ギュネスよ

顔の痛みより根源を切られたほうが痛いですね。カールナイゼン閣下。

それはまたかわいそうだな。憐れんでやろう。

ありがとうございます閣下。

閣下、配下のドラゴン騎兵をお貸しいただければ

ほう。いかほどか。

1万騎騎ほど

それは多すぎるな。そんなにいるのかね。たかが人の子供だぞ。聞けばまだレベル10にも満たないとか。

私が深手を負ったのが何よりの証拠…、と言っても聞きますまい。

そこで趣向を凝らしてみました

スケルトンドラゴンを召喚しました。あと1時間ほどで接触いたします。

ははは。それでは私が死んでしまうではないか

閣下もお好きでしょう?生を賭け死の縁をのぞき込むことを

ああ、大好きだとも。

見せてもらうぞギュネス


甲板で見守るネネが騒ぐ

空が割れる

3倍でかいスケルトンドラゴンがあらわれる

でかい…。

メルルク、船の操作を!

あざまる水産!


船の護衛が攻撃する

羽ばたきひとつで腐臭が舞う。

牽引してるドラゴンが暴れ出す

大きすぎて当たっても大したことない

ナオユキも弓で参戦


ヴォルザッパーに躊躇するネネ

ファル姉が頭をなでる

なんとかしますから

でも!

私が…。なんとかします。

あなたは…

わかるのでしょう。司祭様。

真眼持ちのことを知ってるのですね

ええ。

あれだけ大きくても、所詮はアンデット。違いますか。

まあ、その通りですが…。大きすぎて清浄化は難しいですし…。何しろアンデットの死のうとする能力か強すぎて…

やりようはあります。

ファル姉、ネネ、大変だ、右舷が…

勇者ナオユキ。あなたにも協力してもらいます。

…はい!


ネネとファル姉が叫ぶ。

ホーリーランス!

首から背骨に刺さる。

巨大化!

膨らむ

でもすぐ腐る

やっぱり瘴気が強すぎる!

行きますよ!

スーパー甘々タイム!

勇者ふたりドラゴンの頭の上。

すごいナオくん!

キスする

ちょっとナオくん!

エンシェントヒール!

2人で叫ぶ

ホーリーランスが光る

たちまち緑が覆っていく

スケルトンドラゴンが震えて羽ばたく

骨とかぶつかって飛ばされる

大丈夫!私が支える!

お姉さん!血が…

ファイト!闘う君の歌を闘わない奴等が笑うだろう!

歌える?

はい、なんとなく

よし。充分!

ファイト!闘う君の歌を闘わない奴等が笑うだろう!

ファイト!冷たい水の中を震えながら登っていけー!

メル姉が口ずさむ。

ファル姉が微笑む

ネネが歌う!

ファイト!闘う君の歌を闘わない奴等が笑うだろう!

それはまるでお姉さんの応援歌のように聞こえた。

これは君の歌でもあるよ

さああとちょっと。

ファイト!闘う君の歌を闘わない奴等が笑うだろう!

ファイト!冷たい水の中を震えながら登っていけー!

ああ小魚達の群れきらきらと、海の中の国境を超えて行く。

諦めという名の鎖を身をよじってほどいていく。

みんなで合唱

ファイト!闘う君の歌を闘わない奴等が笑うだろう!

ファイト!冷たい水の中を震えながら登っていけー!

緑がたくさんぼこっとでる。

花に包まれる

がくんと高度を下げ、スケルトンドラゴンが海へ落ちていく

やったー!

船の中は大喜び

どうにか倒す


到着する

教えてください。どうしたら甘えなくて済むんですか…。今回だって僕は…。

私の師匠は、欠けてるところを探してそこを癒せ、と言われたわ

そんな、僕がいちばん欠けてて…

本当にそう?

みんなどこかが欠けてるの。

いつか仲間の誰が甘えたくなったら甘えさせてあげて。それができるようになってね。それが勇者だよ

勇者になれなかった私からのお願い

あなたは…あなたこそ…本当の勇者だと僕は思います。

キスする

これはみんなに内緒ね。

ネネが少し寂しそうに見てる


ギュネスよ。約束は守ろう

ありがとうございます

追って使者を向かわせる。待っていろ

わかりました。それではしばらくは身を隠したく。

ああ。良い旅を

勇者一行を眺めている。口から血を流す

必ず。お前たちの断末魔で酒を飲んでやる



■古都ネフィリア


到着

石造りの街並み

宿をとる

小さいけど路地裏にあって、わりと静か

すぐそばにはマーケットがある

部屋で予定を立てる

勇者割で安いけど

ファル姉出頭させられる

夜になったら迎えに来て

---


メル姉は飲んだくれ

全部の店で飲むらしい

2人で見てまわる

アカデミーに潜入

昔からの隠れ場所でうとうとするネネ

最近よく昼寝をしていることに気が付く

そこに友達が来る

あれ、アデリア…。もう午後の授業…?

何年寝ぼけてんだお前は

昔の友達の導きでこっそりライブラリに入る

本を探す

ネネがこっそりヴォルザッパーの文献見てる

それに気が付くナオくん

青いひまわりはないねー

魔族の撃退法を見る。みんなで見るとかご神体を投げつけるとか

全文検索する

それは洞窟の中でまれにみられるという

大技だったのでみんなにバレる

友達の手引きで抜け出す

いかがしますか学長

目を借りていた学長が言う

捕まえましょう。もう手遅れかもしれませんが。

あなたもつらいでしょうが…。

いえ、会えましたから。

アカデミーに追われる

先生方が手分けする

げ、リッケン先生!

ひさしぶりだな優等生。無茶してくれる。

逃げ回る

ローマの休日みたい

逃げおおせる

高台で夕日を見るふたり

最近のナオユキは人にキスしてばかりです。

それは…仕方なく…

なら、私にだって…、できるでしょう?

それは

目をつぶる

私は待ってるんですよ…

ほほをむにっとされる

な。

ねえネネ、隠してることあるでしょ?

あはは、なんのことでしょう。

この世界の人たちはローマの休日なんか知らないよ

そうですね…。仕方ないですね。本当は気づいてほしかったんですが…。

どういうこと?

小学校の裏手の駄菓子屋でよく帰りに買い食いしましたよね。ナオユキはおっぱいアイスが好きで…、私が赤ちゃんでちゅねとからかったら顔を真っ赤にして怒って。さすがに言い過ぎたと思ってお詫びにブタメンあげたら許してくれて…

…ハルカ?

正体をバラすネネ

久しぶりアマハラくん

どうして…

あの日君が死んだあと、とても悔やんだんだ。気が付いてたのに気が付かないふりをしていたことに。そうしてたらちょっと電車にひかれて、たまたま女神に出会って、泣いてお願いしたんだ。いっしょの世界に転生したいって。

そっか…

でも…。なんで女の子になってるの?

いやほらそれは!そう、女神が、こっちの担当の女神にそういう趣味があって!

そっか。

まあ、会えてうれしいよ。

うん。黙ってて悪かったけど。ごめんね。

うん…

帰りたくない?

え?

ヴォルザッパーは君を元の世界に戻すために契約したんだ。ここに転生している事実を、元の世界で君が死んだ出来事を噛み切ったらきっと戻れる。

お父さんは罰せられたし、私とふたりで今度こそちゃんと…

ありがとう、ネネ。でも、この世界には困ってる人がたくさんいるから…

助けたら元の世界へ戻ってくれる?

それは…

そっか。ナオユキは変わらないな…。そうやって私も助けてくれたんだね…

じゃあがんばって魔王をやっつけよう。あはは

少し泣いてるネネ

抱きしめる

もう。人のことを助ける前に自分を助けなさいよ、私の勇者さんめ



宿にもどる

学長がいた。ネネには姿が見えていない

適当なことを言ってネネを部屋に返す

学長が言う

このままではネネが危ないのです。どうか説得を。

はい…。

まあ世界も危ないのですが。ネネは良い子です。どうか。

わかりました。

去っていく学長

どうした?

いやなんでも…

まだ帰ってきてない

仕方ない。迎えに行くか

すごい宗教建築

僧侶が解説してる

聞いてみる

窓口に案内される

しばらく待つ

遅いですね…

探検始める

たぶんてっぺんだよ

トレーサーですか。

ファル姉と共有がまだ生きてるみたい

行ってみると大げんかしてた。

本物の勇者が来るので、そちらに仕えろと

ファル姉が怒る

帰ろう、ファル姉!

ナオくん!

偽物の勇者め

ネネが泣きながら怒り出す

血統がなんだって言うんですか!どうしてあなたたちはナオユキを見ないんですか!そんなのおかしいじゃないですか!

大司祭がくる。

皆のものひざまづきなさい

しかし

ニールダウン!

無理矢理膝をつかせられる

年寄りに術を使わせるでない

我ら一門、勇者様に忠節を尽くす所存であります。どうかお受けを。

大司祭の手を取る

あなた方に甘えるわけにはいきません。どうかお立ちください。

笑い出す大司祭

なんて面白い。

良い者に仕えたな、ファルラよ

はい。毎日が楽しいです。

よいよい。

大司祭様!

まあよい。他の者から選ぶとしよう。

大司祭様、それはいけません!

帝国から多大な援助をうけてます。万が一それが崩れでもしたら

よいではないか。我らが信仰は闇の中にいる勇者を月明かりのように導くこと。成すべきことはそれだけよ。あっはっは。

いけません。多くのものが路頭に迷ってしまいます。どうかお考えを…

ファルラよ。どう考える。

はい。…。知ったこっちゃありません。

あっはっは

ファルラ様。どうかお考え直しを…

考え直さなかったらどうなるの?

それは…。大勢のものが悲観に暮れましょう

そうね。それじゃ考えてみます。

あ、ありがとうございます!

結論は!

考えた後で出します。よいですね。

はい…

それでは大司祭様。哀れな星屑はこれで引き下がります。

よい。明日、帝国の勇者がやってくる。見定めてまいれ。

はい、必ず。


引き下がる3人

ああでも言わないと帰れなかったわね

ファル姉…

そんな顔しなさんな。お腹すいたでしょ? なんかおいしいものでも食べようね。

飲んだくれてたメル姉を回収

ふりをしていた。

はい、演技、ご苦労様。

あはー、疲れたー。

え、ええ?

魔族の斥候がいる。かなり多い。ちょっとまずいかも。

ありがとう。メル。何とかしなくちゃね…

どういうこと?

わかんないけど、なんか起きるよ。ここ。




本物の勇者の凱旋

すごい…

10隻はいますね…。

帝国の威信というやつなのでしょう

表通りを閉鎖して兵士がやってくる

パレード

大きな獣の上のやぐらで仁王立ちしている

遠すぎて豆粒みたいですね

教会には入らないみたいですね…

向こうから来い、ということなのでしょう


夕方過ぎ

居留地となっているホールへ入る


めんどくさい手続きの上、控室に入る

司祭のみ会いたいというのをねじふせる


通される

ほう。あのときの司祭ではないか

どうした。余に寝返りたいのか

そうですね…それもいいかと思ったのですが…

ファル姉!

金輪際お断りしたく

兵が囲む


はっはっは。余を不愉快にさせに来たのか

ええ、それはもう。怒り狂わせたく。

ほう…

このような生意気な司祭はいらぬと教会宛にご一筆いただければ

なるほど…。それがお前の望みか

我が身を賭して仕えるは勇者ナオユキただひとりのみ。

誰が何を言おうと、あなたに仕える気はありません。

ふむ…。余の元に来れば、あらゆるものが自由に手に入るというのに。

それはどうでしょう。あなた方はかなり不自由に見えますが。

だん

…不愉快だな。一筆どころか剣をくれてやろうか。

いえ、あなたは一筆書くことになるでしょう

首元をさする

とたんにあきらめたように椅子に座る

よい。控えていろ。書いてやる

ありがとうございます。王女殿下。

ふっ。勇者ではないということか…

もうよい、下がれ。待っていろ


兵に連れられて控えの間に待たされる

首元?

ネネが絞めたあとがまだ残っているのでしょう。

そういや…、隠してる感じだったな…

勇者としてはただの魔導士に絞められたことは具合が悪いんです。魔族でもなく魔王でもなく、たったひとりの女の子に首を絞められて帝都へ戻ったことに。書かなければそれをバラす。そういう話です。

ファル姉、知ってて…

まあでたとこ勝負でしたけれど。

ネネ、ありがとうね。あなたのおかげでなんとかなるでしょう。

いえ…。私はただ…。



空中にいる

ドラゴンリーダーより各騎へ。これより「ミーティングナイトメア」作戦を開始する

3手に分かれて、低空から侵入後、3方向から可燃性スライムを投下する。城壁の各門は予定通り破壊して避難者を街に閉じ込めよ。その後はお楽しみの時間となる

下品な笑いがこだまする

最終目標は勇者ナオユキ。繰り返す。勇者ナオユキ。

ギュネス了解。これより殲滅を開始する

さあて、悲鳴と断末魔をたくさん聞かしてもらうよ。勇者のせいで君らは火あぶりになるんだ。ぷふふ。あはははは。

ギュネスが笑う



何の音?

控えの間から出る。兵士たちがあわただしく行きかっている。

なんだと?

魔族のドラゴン騎兵だと?

はい…。ネフィリアの三方から低空で侵入しています。その数不明です。

不明?

数が多すぎて計ることができず…。空の半分はドラゴンで埋まっていると先ほど報告が…

なぜだ。なぜそんな大軍が監視網をかいぐぐった。空中戦艦は何をしている!

先日ご命令通りに艦長が更迭され、艦内の士気が低く…

地上にいるものどもはどうした?

ネフィリアについて休暇を取るものが多く…

言い訳はいい。

お前が行け

しかし…

私をこれ以上不愉快にさせるな。

エ、エルドピラーが撃沈!

は?

ばかな、あれは殿下の座乗艦だぞ!

数百のドラゴン騎兵の一斉攻撃により、なすすべくもなく…

そんな…

私をふゆかいにさせるなーっっ

お前が行け

しかし…

い、いやだ…

待て、逃げるな。逃げる者は殺す

殺すなら殺せばいい。私はもう嫌だ!

毎日顔を伺って怯えてばかりの日々はもう…。

お前なんか勇者じゃない。魔族に殺されてしまえ。

なんだと!

兵士がばらばらと逃げたり硬直したり



ここから抜け出したほうがいい。

ここにいたら街の人を助けられない

ナオくんがそういう

そうね。

こっそり抜け出す



夕闇

ドラゴンの群れが見れる


何、この匂い…

上から何か振ってきてるぞ

ベタベタしたなにか

サンピラーが輝く

なんだあれ…

誘導しているんだわ。

急いで支度して。

どうするの

…セントラルカテドラルに向かうわ

苦しそうに言う


急ぐんだろ

ええ

よいしょっと。のりごごち悪いけど勘弁な

メル姉が2人を担いで走る

ばあ

なんでまた!

行くよ!

ぷふふ。無視しないでほしいな。ぶっ殺してやる!

走りざま襲撃

しつこい!

横向きにファイアーアローをながす

避けながらギュネスが火を吐かす

プロテクション

2人がかりでどうにか避ける


走り出す4人

焦げ付いた匂いがする

ダメ! 振り向かないで!

でも!

叫び声がする

燃え広がる街に火に包まれる人


ああ、最高…。うっとりしちゃう…

ってどこ行った! あいつら…

こちらドラゴンリーダー。目標発見。支援乞う


走り抜ける

門がふさがれている

ここまで落ちぶれたか

やっちゃって

いいのか?

ええ

門を切り裂く

唖然とする門徒たち

何だ貴様ら!

ゴンっ

押さえつけようとした門徒を殴り倒す

私の前に立ちふさがるものは、すべて殴ります!

行きましょう。上です。

そのあとに避難の人たちが入って騒然となる




追ってくる門徒を蹴りながら上に目指す


燃え盛る街

竜巻があがる

蹂躙するドラゴンたち

落とされる空中戦艦。地上に落ちて爆発して散る

なすすべがない

あーしの剣もせいぜい30頭ぐらいかなー

ヴォルザッパーでは…

このままじゃ…

対魔王用の切り札にしようと思ってたのだけど。仕方ないわね…。

私に命を預けられる?

うん、ファル姉なら

私もです

ふたりともいい子ね。あとでたくさん甘えさせてあげる。

手首を切る

ファル姉!

騒がないで。時間がないから私の意志を持つ血で魔導回路を描きます。

血がざわざわとうごめく。苦痛に顔をゆがめるファル姉。ふたりの周りをぐるりととりかこむ

これは魔力をあなたたちに供給する魔導回路です。

私のすべてをあなたたちに託します。

簡単に言います。月の力で増幅した私の魔力をヴォルザッパーに一点収集させて巨大な剣を生み出します。それをナオくんに渡してドラゴン達を薙ぎ払ってもらいます。

やったことないよ!タダでさえヴォルザッパーは…

ってか、渡すって、そういうこと!心の準備が!

大丈夫だよネネ。ファル姉を信じよう

うん…

円の上に3人が立つ

エンゲージ!

ふたりが光に包まれる

ヴォルザッパーを!

来い!

あおーん

いくわ。魔力供給開始!

立てに延びる青い光が集約する

ひ、ぐ…、ひぎぃぃぃぃ

ネネ!

叫ばないと意識が持っていかれる!ちょっとうるさいけど…ごめん…ぎゃぁ

右側を黒い何かにぴきぴきと侵食されていく

ファル姉!

前を見て!


これが私の限界か。意識が薄れる。月はまだなの!

炎にあおられ雲が晴れる

月が出た


これでイケる!

転生者の可能性に私はかける。…だから、それはしまってくれる?

カチリ

わぁーったって。2人を殺そうとしているのかと勘違いしちゃった

わからないわよ。そうなったら私を殺してちょうだい

はいはい。じゃ、ちょっくら足止めしてくるねー

お願いするわ

メル姉がふわりと空へと飛びこむ

なんだきさまー

あいにくいまお取込み中なんでね。空気読んで消えてもらいたいかな!

はあ? クソ雑魚が。ぶっ殺してやる。内臓を巻き散らして死ねぇ!

雑魚? あはは。激おこムカ着火ファイアーだよ!

ふたりが消えていく

ファル姉、ネネが!

私は天才美少女魔導士なんだから!誰にも負けないんだから!そう望んで生まれ変わったんだから!

いまから最大級の魔力を送ります。こらえて!

ネネ!

うわあああああ

ネネ、ヴォルザッパーをナオくんに!

奥歯を噛みしめる

お願い、私たちの願いを受け取って

ああ、わかった。僕が受け取る。ちゃんとしっかり。

やさしく微笑む

キスする2人

暴れるヴォルザッパー。沸騰しているマグマのように爆ぜている

ナオくんが握ったとたん、黒いモノが剥げていき、あたたかい光に包まれた剣になる

よしよしいい子だ…。

さあ、終わらせよう。

足を踏みしめて剣を逆手に握る

剣がぶわっと広がる

お前たちに屈するもんか。決して! 受け取れ僕たちの想いを! うわあああああ!

剣が塔から一直線に伸びる。それが水平になぐ

わずかな間

夜の空に爆発の光が横一直線に飛ぶ

それから爆風が塔を揺らす

すごい…

おお…

勇者様…、勇者様ばんざーい!ばんざーい!

歓声が塔の下から響く

はあはあ…

片膝をつく勇者

小さくなって消えていくヴォルザッパー

それをぎゅっと包み込んで握りしめるナオ

ありがとう…ヴォルザッパー

ネネ…

やったね、ナオユキ。

大丈夫?

うん。でもちょっときつかったかな…。あはは。

ふたりでちょっと笑う

ひしっと抱き寄せるファル姉

がんばったね。ネネ、ナオ君くん

泣き出すファル姉、涙が2人に垂れてく

ちょっとファル姉、頬に垂れてるって。あれ…

ナオユキも泣いてるよ。

ネネだって

つられて泣き出す3人


光が一点をずっと差していた

稼働しましたね…。

あれは…。迷宮…


カタっ

そこに居たんだ。キモ。マブゲロ。うわ最悪

ひどいなあ。あの光に押し付けたりして。体の半分が溶けちゃったじゃないの。

半分消えた体から液体が漏れ、まだ煙が上がってる

ドラゴンは殲滅したよ。

らしいね。もう声が届かないや

いい加減、諦めてほしいな

あはは、やだね。さんざんコケにしてくれたんだ。絶対ぶっ殺してあげるよ。

そっか

うすうす気が付いてるのでしょう? あなたも。

さあ、なんのことかな。

あいつの真名を聴いたら、きっとお前らみんな狂い死ぬよ。あっははは。ふごっ

口をそいだらおとなしくなるかな?試してみよっか?

待ってくれないか、メルルク

おっちゃん…なんで…

お前も力を求めれば自ずとこうなる。強くなるということは人を人と思わなくなるということだ。

違う!!

甘えたことを。

私はそうはならない!

そうだな。そうであってほしい。お前の半分はエルフの血なのだから。

半分は私たちと同じ穢れた血のくせに。

行くぞギュネス。

ふん、おとなしくいなくなってやる。次はもう少し趣向を凝らしてあげるよ。ぷふふ

消えていく

剣を収める

このままじゃ、あーしも甘えていられないな…


半壊した塔を降りる

ネネ平気?

ちょっと疲れました

じゃ、ここらへんでいいかな

ファル姉とネネが言う

スーパー甘々タイム

さあ甘えて2人とも

あーずるい。あーしも!

瓦礫の中で笑う


帝国勇者は慌ててはいるがいい奴になった

復興に帝国軍を入れるという。

ネフィリアの再興を成さぬは、帝国の恥である。励め!

忙しそうにする帝国の転生勇者をあとに

離れる



アカデミーの人も教会の人も見送りに来る

必ずネネを助けます。

頼む。


ネフィリアを見届けて先に行く

すれ違う白いワンピースの女の子

手をつないでいるのはカールナイゼン




■ダンジョン前の街


永遠に続く商店街

装備整えながら楽しいショッピング

路地裏の水族館

---



白いワンピース姿の女の子が来る

たまにはファンクラブに出席しようと思ってな。

お前たち、私を殺したくて仕方がないのだろう?

ひっ

ファル姉が震えだす

私はどこにでもいて、そしてどんなときにもいる

ふむ…

このスクロールはだめだな…

ほら、装備品を整理して、質を上げてやったぞ

いつでも殺しに来い。いつでも相手になる。


なぜ、僕はあなたを殺さないといけないのですか!

ずいぶん甘い質問だな。こってりとしたはちみつのようだ

我が宿願は神殺し。あのふざけた女神どもを天界から一掃してやる。

神とは人が作り出し幻影。

ゆえに神殺しとは、人類の抹殺。





■ダンジョン


冷たく暗いダンジョン

サバイバルしながら奥へと進む


カールナイゼンと戦う


追いかけてくるギュネス



封印を解くと月皇教会の絵だった。

大きな聖人の絵

子供がふたりこちらを見ている絵

愛くるしくこちらを見ている

もうひとりは聖人の裾をひっぱって甘えている

それを照らす大きな月

信仰とはすばらしいですね





一面の青いひまわり畑

青いひまわりが淡い光を放って揺れている

ネネが微笑む

きれいですね!

ひまわりを束ねて持ちわらいかける

ナオくん赤面して見つめる

大好きですよ、ナオユキ!

パタリ

そのまま倒れる


ネネが侵食されて倒れる

ネネ!ネネ!!

もう…

そんな…

2人で聞いていたんだよ。もう無理だろうって。そうなったらナオくんを頼むって…。

だめだよ、ネネ。そんなこと言っちゃ…。お願いだから目を開けてよ、また怒ってよ、また笑ってよ…

ナオくん。行こう。ネネの願いは魔王を倒すことなんだから…

はっとする

違う…違うんです…

ナオくんがネネを抱えて行こうとする

ナオくん…

地上に出られたら何か方法があるはず…

引きずりながら行こうとする

しょーがないなー

ひょいと持ち上げる。

最速で行くよー

ファル姉さんも本気出したら

そうね。

僧衣をはだける

腕の聖痕が光だす

前に出る。

行きましょう。そして生きましょう。

抱えて上に急いで戻る

モンスターを殴りつける

ひょいひょいかわす

うるさい!かまうな!

怒声でひるむ魔族

ひまわりが次々と枯れていく

ようやく地上にでる

やあ、待ってたよ、勇者くん


■ラスボス


1本残った花を取り上げられる

これが青いひまわりかー

ぽっと燃やす

まあ何の意味もなかったね


斬りかかる勇者

泣きながら


ふふ。そんな顔して。そそるなー

つまづいて倒れる


にんまりする魔王

駆け寄る姉たち


なんだポチじゃないか

ポチ?

おいでポチ

ネネに侵食していたヴォルザッパーが引いていく

ポチ?

知らない人についっていったらダメでしょうが。めっ

くうーん


ほどよく育ててくれたね。

これで人類を絶滅できる

人がいたという痕跡すべて噛み殺してくれる

ぶおん

さあポチ。いま首輪を外してあげる

ぶおん

巨大な黒い剣になる


あー、楽しー

我が宿願。いまこそ成されり!




兵士が前に出る

なんだお前らは

勇者様、後ろにお下がりください


多数の兵士が一斉に取り囲む


帝国の勇者が前に出る

なんだきさまらー


魔王アルザシェーラよ。帝国の勇者が、我ら軍団がお相手する!

あなたは!

倒れた仲間を連れて後ろに下がれ!

でも…。

帝国勇者

ナオユキくん。俺はたくさんの絶望の果てに希望を見つけられた!

だから下がれ。いまいいとこだろ。俺にも目立たせろよ

わかりました…。任せます! 勇者!

何言ってんだ。お前こそ、本当の勇者だよ…

さて、どうしたものかな…

ヴォルザッパーでなぎ倒される

邪魔だどけ。くそがっ

人に見られていたら空間移動ができない…

こいつら知ってて…

はは、ならば皆殺しにすればよいこと!

やっぱり僕が…

大丈夫だよ。私もいるから。

お姉さん!

戦いは知らない。されど戦い方は知っている!

兵士よ、傷つくことを恐れないで!私が絶対全部癒してあげる!

行きなさい勇者君、みんながあなたを支えるから!

ごめんなさい…

こっちこそ甘えてごめんね、勇者君


奥に引っ込む

こちらへ

教会とアカデミーの人がいた

おい頼むぞ。

はい…

その術式は…

なに3年ほど寿命が縮むだけです。

私はこの子に助けられましたから…

ネネに術式


私が話します

あなたは!

あれから私自身を変えたくて皇国に渡り、宰相閣下にお仕えしていました。

こちらの計画も私が進言させていただいたものです。

そうか…

宰相閣下もおいでです。

え、どこ?

上を指さす

あの豪快おばちゃん来てんの!


おばちゃん…。お姉さんなんですけど。あとでメルちゃんはお仕置きね…

宰相閣下、なかなか愉快ですね

お前が言うとどうしても裏があるように思えるな…

まあでも。お前の口添えであの娘を仕えさせたが、なかなか役に立つ。それで私の信任も得たようなものだ

それはうれしいことですね。しかし…

なんだ?

イブリーン山脈ひとつ吹き飛ばして艦隊を急行させるというのはなかなか…

よいではないか。お前の領地も中継地として潤うだろう?

それはそうですが…。いささか手荒かと…。

閣下。艦隊みな整いました

鉄扇をぱたりと閉める

よい。伝令せよ。

我ら皇国空中艦隊、これより魔王に一矢を放つ。これは人の歴史が始まって以来の快挙である。

これ以上の栄誉はこの世になし!

死してもなお奮戦せよ! すべては後に続く者のために! 我らが皇王陛下に栄光あれ!

我らが皇王陛下に栄光あれ!

オペレーターたちがざわめく。一斉に話始める

いけますかな?

いけないと困る。

確かに。

戦艦アークトゥルス攻撃準備完了。

戦艦ゲルドナ攻撃準備完了。

総旗艦アヴローラに全艦の魔術回路接続完了

すべて整いましてでございます。閣下。

よい。

目標魔王アルザシェーラ! 撃てっっっっ!



ええい。なんだ…

兵が退く

見上げると皇国の戦艦が壁のようになっている

こざかしい

障壁が何重にも張られる

人の技なぞ…

突破するだと!

こつん、

なんだこれ?

割れる

とたんに雷とか槍とか振ってくる

これは…御神体!


ほっほっほ。我がセントラルカテドラルで1000年祭りあげた砲弾よ。神なる力に罰せられるがよい!

大司祭様!


3人がそろう。アカデミー学長、大司祭、図書娘


発動条件は青いひまわりを地上に持ち帰ること

あれは最終安全装置なんじゃよ


この3人が集まって、お互いの話を持ち寄り、ようやく気づいたのじゃ


足止めは十分になされた。

もうすぐそれがわかる



3000人ぐらい集まってダンジョンコアを借りて

狂王を固定化していく眼を起動させる


起動するダンジョン

魔王を見つめる目ができる

魔王が一点に集まる

ヴォルザッパーで切るが他の目がでる

月にも目が

斬りかかる

半壊する月

くそがぁ!


月が壊れる…

それでもまだ!捕まえられている!

1000年かけて人はようやく魔王を押さえ込むことができた。

これこそが魔族には出来ぬ人の御業よ!


カールナイゼン

は!

人を…、この小賢しい者どもを殲滅せよ!

御心のままに!


手駒が足りないな…

ギュネスよ

は…はい…

手負いのギュネス

耐えよ

お腹に手を入れられる

ぶふぉ

切られた根源を今つなぐ

苦しむギュネス

やがて手を離す

ギュネス、我が命に応えよ

笑いまくる

あはは、さいこーっ!

すーーーっとしたー

さあ、やり合おうよ、転生勇者ちゃん!

メイドもアンデットで復活


カールナイゼンが指揮する

反逆する図書娘

押される魔物側


目を覚ますネネ

あれ、もう帰る時間ですか?

この子は…

ネネ

抱きしめる

ナオユキじゃないですか

ああ、私、生きてたんですね。そっか。

あったかいですね、ナオユキは…

空気読まずジロが間に入る

笑うふたり


パチン

否定する。地面が爆発しないことを

パチン

否定する。空気が燃えないことを

パチン

否定する。お前たちが爆発しないことを

甚大な被害

あはは、なんだこれ。気分爽快。最高すぎて、耳から汁がぷしゃーって吹きだしてきそう。


ネネが出る

ヴォルザッパーがなくたって!

私は敗北を知らないんだ!

お前の相手は私だ

メイドがでる。

皆殺しだ。ハダラス!

へい!

あーしもやっちゃうよ!

メル姉さん!

雑魚がっ!

させないぞ、ギュネス!

立ち塞がるふたり

はあーん?

ぶっ殺してやる!

私は否定する!勇者の剣を!

砕ける剣。

私は否定する!ファルラの左手を!

ファル姉が腕を押さえる

じわじわなぶり殺しにしてやる

魔術共有していたことで同じ技を使う

私は否定する!

僕は否定しない!

な…。発動しないだと…。

はっ、魔術共有…。あのとき…

私は否定する!お前たちを絆を!

僕は否定しない!

私は否定する!人間たちの生き様を!

僕は否定しない!

私は否定する!この世のすべてをォォォォォ!

僕は否定しない…

はあはあはあ

クソがっっ

魔術などなくても!

腰の剣を2本クロスさせて抜く

死ねぇぇー!

ナオくん!

メル姉が剣を一本投げて寄越す

手数で圧倒する

ナオくんが隙を狙う

ファル姉に手を出すことは許さない

ナオくんに手を出すことは許さない

雷撃2バージョン

2人で倒す


待て、お前ら…

ギュネス、私はお前が好きでしたよ

止めろ…私が否定した感情を言うのは…。止めろ…

腰が千切れたメイドが後ろから刺す

もう終わりなんだよ私たち… 道連れにしてやる。よくも殺してくれたな。

エクスプロージョン

爆発する


押される魔族

騎兵を失ったのが痛いな

これも私の無能なる証しか

かくなるうえは…

我が君、わたくしめも戦場へ…

ならぬ

しかし…


これさえなければ!

何度も破ろうとするが抜け出さない

この私が…


あなたは敗北するんです!

ネネが襲い掛かる

なんだと…

あの剣は返してもらいます。あれは私の物です

死にかけたくせに、生意気な!

勇者たちが次々加勢

カールナイゼンをメル姉が止める

久しぶりっすね、おっちゃん。打ち込みなんて。昔を思い出すね

ふん。強くなったな。

あーしはもっと強くなってみせる!

みんなが次々に

魔王アルザシェーラッッ!

勇者が一太刀浴びせる

顔から血を出しびっくりする魔王

この私が…。この私がだと…



警告音が鳴る

空の色が変わる

青く染めていく

青い手が月から伸びていく

手から逃れようとする魔族をみんな喰らっていく


すさまじい…

あれは別世界につながる

女神にしかできない異世界回廊を無理矢理あけたもの

魔王にはこの世界から退場してもらいます。

これこそが青いひまわり

紺碧の花

アズールフラワー



もはやこれまででございます。我が君、我がアルザシェーラ様。

ルフィカール…

そちらの世界ではすべてを否定されましたが、この転生勇者どもの巣くつとなっている世界にて生き延びております。なかなかによいとこにございます。人の命が腐るほどたくさんあるゆえ。

しかし…。我にはここでやることが残されているのだ…。くっ…

失敗したな、アルザシェーラ。

な…お兄ちゃん…

大魔王…、なのか…。

そうよ、あれが大魔王ガイアザール。

瓜二つだった。大魔王だけ目が赤い。

私はお兄ちゃんのために人を皆殺しにして、女神たちを根絶やしにしようとしたんだ。わかるだろ。女神の根源は人なんだ!私はだから…。

よい。責める気はない。

ありがとうお兄ちゃん…ぐほっ

これは…なぜ…

あちらの世界で暮らすがいい。復活に3000年ほどかかるがな。

くっ…

狂王に仕えしものよ。あとは任せる

ぽいっと、大魔王が狂王を押す。闇に沈んでいく

お兄ちゃん…。ああ…

ギュネスも闇に沈みながら言う

勇者たちよ。これからお前たちの生まれた世界を蹂躙してくれる。たくさんの悲鳴と血の匂いで世界が満たされることだろう。

そして…。必ず戻ってまいりますよ。大魔王様

閉じられる


空の色が元に戻る

風が吹く



右手の血を舐める。

愛い奴め…


やあ勇者よ。最愛の者を亡くしたのだ。もう少しひとりにさせてくれ


大魔王ガイアザールよ!なぜ人に害をなす!


我らは人の泥より産まれしもの。我らを勇者で殲滅しようとする女神の方が狂っている。それはもはや人の存在を否定することだ。


しかしだからと言って!


私は人を愛したいのだよ。綺麗なものを壊したくなる衝動も、気をひくために恋人に泣くずるさも。そんな泥から綺麗な花が咲くこともあるのだ。すべては愛すべき人の性。私は否定しない。

だから、私は人を皆殺しにはしない。弟とは違う方法で、ふざけた女神どもを一掃してやる。


でも…。


心に覚えがあるようだな。私もお前たちをずっと見ていたからな。


剣を下げる。

ふふ。


なあ、クローデシアよ。女神どもを一緒に砕こうではないか。

手を差し出す。

狂王を見捨て余に誓ったであろう。13氏族のひとつ、滅したお前のクローデシア家を再興すると。いま叶えてやるぞ。

ファル姉が歩きだす。

ファル姉、嘘でしょ…。

ひざまづく

震えている

お前の根源たる偽り。それに見合う働きをしてくれた。実に大義である。

大魔王様、申し上げます。

ご下命通り、勇者を甘やかしてレベルを引くく保ち、その間に狂王のたくらみを白日にさらせました。成すべきことを成したと存じております。

ならば我がもとに戻れ

…できません

ほう。お前は新しい魔王となり、我が片腕になるのだぞ。

できないのです。私が仕えるべきは勇者ナオユキただ一人と存じております

ふむ…

では、勇者を殺してしまえばよいな。お前を失うのはなかなかに惜しい

剣が抜かれる

お、お待ちください!

誰も身動きできない間に勇者の前に大魔王が立ちふさがる

さて… 2回死ぬのはどんな気分なんだろうな


時が止まる。

ジロが正体を出す

やあ大魔王。この時を待っていたよ

ぬう。女神…。お前特等席で見てたな。

当たり前だろう。私はこの子を気に入っているんだ。

このショタ好きビッチめ…

ふふ、人の性癖だけ我が女神は存在する。

お前も素直になりなよ。同じ泥同士、沼にずぶずぶと。

私はお前たちとは違う。断じて否だ。

ははは。そうかい。神よご覧あれ。これが素直になれぬ者の哀れな末路でございます

光が当てられる

いろいろなとこから

見るな。くそっくそっ!

哀れなる者よ。お前は見るだろう。人の尊さを。我らの想いを。新しい終わりを。

そのすまし顔がいつまで持つのか見ものだな。我ら魔族、ひとりたりとも女神を許しはしない。

ふふ

時間が戻る

みんなが立ち塞がる

その前に勇者がいた

僕はお前なんかに負けない! 絶対に! みんなのために!

ぬう…

大魔王が引く

クローデシアよ、失敗したな。勇者は存分に強いではないか。

大魔王様…。

我が命に応えられぬ者などそばにはいらぬ。

ニヤリと言う。

はっ!申し訳ございません。

よい。より熟しそのときを待つ。

我も甘くなったものだな。

待ってるぞ、勇者よ。アマハラナオユキよ。

消える


終わった…

歓喜に沸く

勝った。人が魔王を打ち破った!

大司祭が帰る

人に甘えてこそ本当の勇者よ。良いものを見せてもらった。


私たちがいた世界、あの魔王や高位魔族たちにめちゃくちゃにされちゃうんですかね。

わかんないよ、ネネ。

きっとあの世界にだって、勇者は現れるさ

そうですね…


崩れた回廊で、ファル姉に影が当たる。

悲しそうな顔をする

これで終わりですね。

だめだよファル姉!

誰も許さなくても僕が許す!

今度は僕がファル姉を甘やかすんだ

引き戻して逆に勇者の胸で泣かせる

あーしもぎゅーしたい

ダメです。ナオユキは私のものですから!

3人まとめてぎゅーする

いつのまにか姿が戻ったジロが足元をスリスリしてる

はい

スーパー甘々タイム、発動!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

転生勇者を甘やかしたい! ー 固有スキルスーパー甘々タイムでがんばり勇者様を愛情たっぷりトロトロにしちゃいます! 冬寂ましろ @toujakumasiro

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ