第55話 最終章 死地のその先――最終話 (完)

「ハハ。そう簡単にわたくしはくたばりませぬぞ。ささ、エブゲンと呼んでくだされ」


「なぬ」そう言って、ぎょろりとにらむ。


「これから、あと何度、エブゲンと呼んでくださるか? それを楽しみにまだまだ生きて行きますぞ」


 あるじと駒を並べるはクナン。傷がまだ痛むのか、時に顔をしかめる。


 ウルゲンチ陥落後、チンギスの征討の命を受け、北上する軍隊。ジョチ率いる2万人隊であった。


 その目指す先は、ヴォルガ川流域におるブルガール勢。


 漠たる草原に風が吹き渡る。


 往古よりそれは変わらぬ。


 変わるは人の世のみ。


 なればこそ、語らん。


 その時々を。



      (完)



 後書きです。

 ここまでお読み下さりありがとうございました。『小説家になろう』さんでは、2021年3月31日より始めてますので、何と、およそ2年弱、(カクヨムさんでも同年12月30日よりなので1年余かかってます)。ようやく、最終話に至ったのかと、作者の私としても、まさに感無量であります。

 また、皆様には、この長い小説を最後まで読んでいただき、本当に感謝しかありません。本当にありがとうございました。

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チンギス・カンとスルターン ひとしずくの鯨 @hitoshizukunokon

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