銀は灰白に滲んで

2024年冬、改題・改稿に寄せて

本作品は2021年9月に執筆して星新一賞に応募、その後カクヨムにて2021年の年末に公開したSF短編となります。

今回、カクヨム短編賞にて円城塔賞が新設されるとのことで、良いタイミングだと思い改題・改稿を行いました。

原題は「リアル・マトリョーシカ・レスリング」 でした。

友人が生み出した特に意味の無いワードでしたが、私の中にあったアイデアと反応して当初の構想以上のところまで本作を連れていってくれたように思います。

先に決まったタイトルに合わせて執筆した作品でしたが、今回改めて完成した作品内容に合わせたタイトルを考えようと思い、友人にも相談して改題を決断しました。

己を取り巻く現実の世界が, 視線の先にある銀幕と灰白質の中に溶け込んでいくような感覚を少しでも味わっていただけたなら, 私の試みは成功したと言えるのではないかと思います。

改めて読み返すと拙さの残る文章ですが、当時の私にしか出せなかったであろう凄みも出ているような気がしています。

改稿は細かい文章表現や用語の修正に留めました。

本作は初めて友人にも見せた作品でもあり、個人的にも思い入れの深い作品です。

人々が感情を自由に纏って生きている、そんなハートウェアの世界を下敷きにしたSF長編をいつか書きたいと思っています。

この度は読んで下さりありがとうございました。