エピローグ 関係者のその後~リゼットSide~ リゼット視点
※プロローグから1年以上が経過しているため、リゼットの性格が(一人称の文章が)若干変化しています。
「シルヴィ様、ラファエル様。ご結婚、おめでとうございます」
「兄さん、義姉さん。結婚、おめでとうございます」
「ありがとうございます。とても、幸せですわ」
「ありがとう。今日は、忘れられない日になったよ」
あの日から3か月後。私とリアム様は教会にいて、お二人に薔薇の花束をお渡ししていました。
今日は、結婚式。この国では新郎新婦と最も親しい二名がピンク色の薔薇を贈る風習があり、私達は祭壇の前で『締めの儀式』を行いました。
そして――。それが終わると私達は揃って一歩下がり、
「リゼット様、リアム様。ご結婚、おめでとうございます」
「リアム、リゼット様。結婚、おめでとうございます」
「ありがとう、ございます。頬が緩みっぱなしで、戻らなくなってしまいそうです」
「ありがとうございます。俺もだよ、リゼット。幸せだ」
今度は私達が、シルヴィ様とラファエル様から花束をいただきました。
実は今日の結婚式は、前代未聞の結婚式。シルヴィ様とラファエル様、リアム様と私、一か所で2組の挙式が同時に行われていたのです。
『シルヴィ君、リゼット君。ラファエル、リアム。4人の式は、同日同時刻に行ってはどうかな?』
切っ掛けは、当主様――ライアックお義父様の、そんなお声でした。
私達はシルヴィ様とラファエル様がご縁で知り合って、私はその後もシルヴィ様達と親しくさせていただいていました――とてもよい関係を築けていました。そこでその姿を見たお義父様がそう提案され、シルヴィ様とラファエル様は歓迎されて。リアム様と私も素敵なことだと思い、こうして珍しい挙式が実現したのです。
「まさか、リゼットさま――もう妹なのだから、リゼットちゃんにしましょうか。リゼットちゃんと、こんな関係になれると思っていなかったわ」
式が終われば来場者のもとへゆき、夫婦となったご挨拶を行うようになっています。なのでその準備をしていたら、シルヴィ様が――シルヴィお姉様が、くすりと微笑まれました。
「こんなことって、あるのね」
「私も、驚いています。今でもまだ少し、夢を見ているような感覚があります」
かつての婚約が切っ掛けで知り合い、親切にしてくださった方。そのような人と姉妹になるだなんて。あの頃は想像もしていませんでした。
そして――
((リアム様。リアム様との出逢いも、想像もしていませんでしたね))
あのような形でご縁が生まれて、夫婦になれるだなんて。こんなにも大好きになる方と出逢えるなんて、あの頃は思ってもみませんでした。
「シルヴィお姉様。あの日私を案じてくださり、ありがとうございました」
「こちらこそ、ありがとうございました。あんな風に謝ってもらえなければ、罪悪感が消えることはなかったわ」
私達はお互いに腰を折り曲げ、顔を上げると――どうしても行いたくなってしまいましたので。まるで示し合わせていたかのように、そっと抱き合います。
そうして感謝と喜びを伝えあっていると、
「あ~あ。夫婦になって初めてのハグは、結婚相手とするものなのに。ショックだなぁ」
「そうだな、リアム。だから、その分まで抱き締めさせてもらうとしようじゃないか」
「だな、兄さん。たっぷり、させてもらおうぜ」
いつの間にか傍にはリアム様とラファエル様がいらっしゃっていて、
「シルヴィ。愛してるよ」
「リゼット。愛してる」
私達はそれぞれしっかりと、優しく抱き締められたのでした――。
幼馴染と結婚するために、私との婚約を一方的に解消してきた元婚約者様へ。貴方の幼馴染には、好きな人がいるみたいですよ? 柚木ゆず @yuzukiyuzu
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