序盤で人間関係のわずらわしさをたっぷり味わえる作品です!

本作はざっくり言うと清貧に過ぎる貴族令嬢に憑依?した主人公が、己の知識やチート能力を活かして生活を改善したり、学園に通いながら様々な分野で大活躍していく話です。
しかしその部分に至るまでの主人公の人付き合いにおいて、押しの強い目上の人間の話を断りきれず、便利な人材として都合よく利用される展開が頻出します。ひとつの話が短めですぐ場面が切り替わるためモヤモヤ感は長く続きませんが、序盤で同じ流れが何度も出てくるので、人によってはいいように使われてばかりな主人公に不満が溜まってしまい、話が面白くなる所まで読み続けるのが難しいかもしれません。
そうした展開が続くと、読み手としてはつい(もういっそのこと全部はっきり断っちゃえばいいのに!)と思ってしまいがちです。しかしなかなかNoと言えない主人公がいる一方で、これも序盤の不快感の主な原因と思われる『理想論や正論ばかり主張して、損得勘定からの忖度が全くできない人物』もいて、その後先を考えない人付き合いのあまりの拙さにも、大いに問題があることがわかります。
自分を利用する時ばかりすり寄ってくる相手に不信感が募ったり、頼まれ事をはっきり断りたくても、角が立ってその後に影響するので不本意ながら承諾したり。現実でもよくある人間関係のしがらみからくるわずらわしさについて、色々と考えさせられる内容です。

中盤の学園編が進むと、理解のある教師や興味関心のあることに熱心な癖の強い学生達が出てきて、主人公の世界が一気に広がります。優秀な頭脳で様々な分野の知識を学び、またそれらを存分に活かして周囲にとって利益になる行動を無意識にとります。このあたりまで読めれば、主人公が頻繁にやらかして目立つよくある知識・能力チートものとしてかなり楽しめると思います。
ちなみに自分は現在なんとか200話以上読みましたが、主人公の直接的な恋愛描写には更に先まで進まないと到達しないようです。

現時点で個人的な評価は星1・5位なのですが、台詞中に気になる表記が何度もあり星1にしました。
高位貴族や使用人など言葉づかいに特に気を付ける必要がある人物達が、会話中に断定口調ではなく「○○とか」という、現代の若者のようなぼかした口語表現を使うことに違和感が強いです。指示を出す側と出される側という立場の違いはありますが、両者ともあまり曖昧な物言いをすると指示系統に混乱をきたすと思われる人種だからかもしれません。
他作品ではまず目にしないですし、作中で複数人が口にしているのを見ると作者の癖なのでしょうか。書籍化されているならおそらく既に指摘されているかとは思いますが、「とか」表記は最新話の方では改善されていることを願います。

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