最終章
終戦してからもうかなり経った。
捕虜から解放されてからは、私はいろいろな所に出向き自分の体験について語り継いでいる。戦争を知っている人たちが少なくなる中、どれだけ多くの人に知ってもらうかが大切である。戦争は人の命を弄ぶとんでもないものだといまだに思っている。あの時、和子とした約束は今でも私の中では大きな存在である。私は自分の命が尽きるまで和子との約束は全うし続けようと思う。
ひめゆり学徒隊も解散命令が出る前までの死亡者数は20人を下回っていたと言う。それが解散命令が降りてからの死者は100名以上だと言われている。原因としては、戦地へ逃げて亡くなってしまうケースや、壕の中から出れず、亡くなってしまうケース、そして今回あまり、触れてこなかったが捕虜になりたくないと集団自殺というのもあった。ひめゆり学徒隊だけでも合計の犠牲者が200人を上回る。
まさしく6月の悲劇である。
戦争は罪なき多くの人間を死に追いやるのだ。
それだけではない。生き残った大半は今もなお傷を抱えて苦しみ続けている。友人の死に際を目にした人もいるであろう。私もその一人だ。「お国のためだ」とか「お国万歳」などと言って亡くなっていった。戦争は国の自己満足である。
それを決して許してはいけない。
私は、あの時自分は生きる選択をして後悔していない。
知らなかったらまた同じことが起きるかもしれない。
和子には感謝しかない。
今でも毎月月命日の日には訪れて手を合わせている。
ありがとう。和子。
決して忘れないからね。
〜終わり〜
6月の悲劇 鈴木茉由 @harye_12222
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます