クリスマスプレゼント



しゅう、ぼーっとしてないで飾り付け手伝って!」


次に目を開けた時、見慣れた部屋に戻ってきたと思ったら、つい先程まで隣にいた彼女によく似たそれより少し老けた女性がにこにこして俺を見ていた。


「え…」

「だから、飾り付けしてってば」


はい、と色とりどりの星のオーナメントを渡される。そんなことよりどうして、


「かあさん……?」


俺の声にその人はん?と反応した。そしていまだに動かない俺に「え、どうした!?もしかして体調悪いの?」と急におろおろと心配した様子で近づいてきて、俺の頬をペチペチと叩いた。


思わずその手を掴む。


さわれる」

「えーさっきから何?しゅう、大丈夫?」


温かい手に涙が溢れた。母さんが目の前にいて、れることができて、生きている。幻なんじゃないかとこの手を離せば消えてしまうんじゃないかと怖くて、居なくならないようにギュッと抱きしめた。


「母さん」

「本当にどうした!?ん?」


どうやらこれは夢じゃないらしい。2021年12月25日に母が亡くならなかったから、今ここにいるのだろうか。


しゅうの好きなケーキ買ってあるから!ほら、食べよ!」


それで元気だして、と母に手を取られテーブルに連れていかれる。


「…守れてよかった」

「何か言った?」


振り返った母にかぶりを振りながら、サンタさんありがとうと柄にもないことを思ってみたりした。


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ミラクル・クリスマス 吉祥 昊 @soi_03

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