お侍さん無双、しかし脳死ではない

『お侍さん』という言葉の含む柔らかさと武士道を往く者としての苛烈さ、剣呑さを併せ持つ主人公が何よりも魅力的。
設定も深くまで練り込まれ、また武士として生きてきた主人公の価値観と中世ヨーロッパ的な世界の間の差異も描かれているから、読んでいるこちらもよりリアルに、深くまで物語に入り込める。
戦闘描写は緻密ながら、同時に躍動感に溢れている。互いに打ち合い、鎬を削る。命を奪い合う光景がまざまざと見え、剣戟の音が耳朶を震わせるような、そんな心持ちになるのだ。
総じて素晴らしい作品であるので、是非とも現行の最後まで読んで欲しい。土下座してお頼み申す。グサッ(切腹)