これぞ王道のファンタジー・勘違い物!きもちいい!

昨今の勘違い物のジャンルには無理のある勘違いが多すぎます。
自分と他人の価値観のすり合わせを行わない結果起こるものが殆どで、しかもすり合わせをしない理由がほぼ思い込み、組織や集団のなかで価値観のすり合わせをしないのは正直無理があり違和感がぬぐえません。

しかしこの小説は違います。
きちんと主人公の考えや思想が武士道というの形をなしており、また本人も異世界の常識と本人の常識や価値観が違うのが判っている上でなお自らの思想信条にのっとって行動します。

周りの異世界の住人たちは彼の武士道という思想信条が理解できなかったり異世界では当たり前の常識で彼の行動を判断してしまうために勘違いが起こる。

勘違いが起こる理由や状況がとても自然なのです。

また武士道という思想の潔さ、恐ろしさ、それができてしまう主人公の在り様は異世界という特異な環境の中でとても美しくも恐ろしく見えます。
ほかにも昨今の風潮のように描写や情景に擬音を極力使わない表現や言葉の使い方は読んでいてとても自然かつ丁寧でとても読みやすく重厚感があって好感がもてます。

非常に面白いです。

その他のおすすめレビュー

@gabanさんの他のおすすめレビュー1