最終章

「昴、弥琴がお前にカシマサマの説明をしたいらしい。空いてる日、あるか?」

 咲夜からの連絡は突然だった。俺はスケジュール表をチェックし、「明後日なら」と返した。これで一つまた謎が解けるのかと思う自分と、そういったものには関わりたくない自分がせめぎあう。

そのまま時は流れ、俺は気持ちの整理がつかぬまま咲夜の家にいた。何処かきまりがわるそうな弥琴の様子が気になるが、話を聞くのが先決だ。俺は「カシマサマって結局、何だったんだ?」と訊ねる。弥琴は、目を伏せこう言った。

「……カシマサマは、念だ。しかも、佐竹家の創始者。もしお前の友達に佐竹姓の人間が居たら、それも念だ。わかるか?」

 全く理解が追い付かなかった。つまり、光夜や光希は人間ではないということになる。しかし、それを言われたところで信じられるわけもない。だから。

「わからない、わかりたくない。調べて貰ったのは有難かったけど、知らない方が良いことも世の中にはあるもんだな……」

という俺の答えをぶつけた。咲夜は無言でこちらを見ていただけだが、弥琴の方は

「そう、だよなぁ……。すまない。今言ったことは忘れてくれ」

 と掠れた声で呟いた。


 宇宙の中で見れば、こんなことは些細な出来事に過ぎない。だが、俺には重すぎる事実だった。信用したわけではないが、一度わいた疑念が頭を支配する。次、佐竹家の人間に会う時どんな顔をしたらいいのかわからない。


 宇宙の片隅に居る俺には、どうすることも出来ない事実だけが残された。

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宇宙の片隅の俺達 景文日向 @naru39398

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