書き換えられたメッセージ

坂西警護

デュパンへ

 テュパンって誰だよ……。俺は呆れながらLINEの通知を読む。


 ワナビーの大護だいごは、よくしょーもない短編モドキを俺に送りつける。


 何でも失われたプラトン書簡を探して、と言うモノだ。


 主人公デュパンが、さる好事家の公爵夫人の以来を受け書簡は毒であると決めつけたプラトンのを探す話だ。


 あいつギリシア文献学や考古学の知識ないのにどうやって書くつもりだ?


 『プラトンの毒杯』ね。


 俺はつらつらと読み進める。


「つまんね」


 俺はそう独りごちた。


夢夢夢夢夢夢夢


 俺はデュパンだ、奥ゆかしいフランス式の名前だと思わないか?


 今回の以来はさる公爵夫人の依頼か。最古のプラトン第七書簡はある修道院に隠されている。


 それを盗み見ろというわけだ。


 修道院とはある種のファシズム国家のごとくだ。そこには全てに意味がある。


 数学的明証性の果てはある種の全体主義だ、全てが照らされている。現にイタリアのファシストはマフィア社会の闇を全てが駆逐したのだからな。


 さて、シチリアの風を感じながら俺は日記をまとめる。


 ………………。


 朝目が覚め、LINEを見るとメッセージが消えていた。


 LINEでなんで消したの?と送ると


『俺のも消えた』


 と帰ってきた。


『不具合だからクレーム付けとけ』


 と送った。


 しばらく忘れた頃。


 また、『プラトンの毒杯』が戻っていたが主人公の名前がデュパンではなくテュパンになっていた。


 なんで、変わったんだ?


 俺は不思議に思いメッセージを送る。


『変わった?何が?』


 と帰ってきた。


 あのストーリーは夢にも出てきたから。印象に残っているんだ。


 記憶を探り改めてみるといろいろ変わっているところがある。


 はて、俺の勘違いか。


 END


 どうだったデュパン氏


 Dより。


 


 

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