第3話 水のペンダントゲット!
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――【DANGER】罠を探知しました!
D8:宝箱(鎖縛りの罠) ☆
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「……よし、罠付きだ!」
ダンジョンの地下3階まで進んだミストは探索を進めていくと、小部屋で罠が仕掛けられた宝箱を発見した。
ミストは宝箱に【罠解除】を発動する。
ガチャン!
宝箱から何かが外れた音が鳴る。
「当たりでありますよーに!」
ミストは宝箱を開けると、中には蒼い水晶の首飾りが入っていた。
間違いなく水のペンダントその物だ。
「やった!」
ミストはガッツポーズをする。
水のペンダントは罠付きの宝箱からしか出てこない為、巡り合わせがとても良かった。
――『水のペンダントの獲得』
ミストは無事にクエストを完了した。
後はギルドへ帰って報告するだけだ、それで晴れてミストはソロ冒険者となる。
「せっかくだし、他のアイテムも取っていこうかな?」
宝箱から出るアイテムは紹介ギルドで換金して貰える。少額な物でも、量が集まればその金額は馬鹿にならない。こういったダンジョンには、許可が無ければ入ることは出来ないので、稼げるタイミングで稼いでおこうという訳だ。
ということで、ミストは探索を続行することにした。
しばらく進むと、モンスターと遭遇した。
低級モンスターの代表格、ゴブリンである。
冒険者なら、人生で必ず1度は戦うことになるモンスターだ。
「グララッ!」
ゴブリンは棍棒を振り回し、ミストに突進する!
説明するまでもないがミストの職は罠使い、戦闘職ではない。
それに彼は、はっきり言って腕っぷしも強くない。
「――【罠設置】起動!」
マス目が浮かび上がり、1つのマスが緑色に光る。
緑マスを動かし、それをゴブリンの手前に配置した。
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――【SET UP】罠を設置できます!
鎖縛りの罠 ☆
電磁網の罠 ☆
黒煙幕の罠 ☆
→トラバサミの罠 ☆
落とし穴の罠 ☆
etc.
―― トラバサミの罠を設置しました!
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ミストは数ある保存・・した罠の中から、トラバサミの罠を選んだ。
「――設置!」
宣言と共に、緑マスが赤いマスに変化。
ゴブリンがその上を踏むと、トラバサミが勢いよく飛び出した!
バキンッ!!
「グギャギャア!?」
ゴブリンは転倒し、足に挟まったトラバサミの痛みで悶え苦しむ。
ミストは自身のナイフで、隙だらけのゴブリンに斬りかかる。
「でぇい!」
危なげなくゴブリンを撃破。
彼のスキルの本領は、
罠を即座・・に設置する事で、モンスター相手でも有利に戦うことが出来る点だ。
「やっぱり、これ自体はすごく便利なスキルだよなぁ……」
追放前のクエストで、ショーワルはリザードマンに劣勢を強いられていた。
ミストは彼を助ける為に、リザードマンの足元に罠を設置して援護したのだ。
それがまさか、追放の引き金となるとは思いもしなかったが。
以前から、ショーワルに散々『本当なら俺に罠を仕掛けてみろ』と言われていたができなかった。
仮に罠を仕掛けて真実だと証明してても、間違いなくショーワルに傷を付けることになり、別の問題が起きてしまうのだ。
「面倒なことも考えなくていいんだ。これからは思う存分使っていこう」
ミストは肩が軽くなるのを感じた。
ゴブリンの魔石を拾い、更にダンジョンを進んでいく。
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「思いの外獲れたなぁ……」
ミストは戦利品がぎっしり詰まったバッグの重さを感じながら進む。
冒険者ギルドに入ってから、1人で自由にダンジョンを探索したことがなかった。
その為、自分の罠スキルがここまで通用するとは思いもしなかった。
「もっと大きなバッグにした方がいいかも、でも運ぶのが大変だな……」
そんなことを考えていると――。
「――きゃあああ!」
女の子の悲鳴が聞こえた。
ミストは声の方向に駆け出す。
通路を進んだ先には、鎖で縛られた女の子が倒れており、2体のリザードマンが棍棒を持って今まさに襲い掛かろうとしていた。
恐らく、受付のお姉さんが言っていた女の子だ。
ダンジョンの罠を踏んだらしい。
あれでは攻撃も出来ないし、逃げることも不可能だ。
「先に罠を解除しても間に合わないな……」
ミストは【罠設置】を起動、
電磁網の罠を設置し、地面から電気を帯びた網がリザードマン2体を包む。
「「ギャギャア!?」」
自由を奪われ、その場で暴れ出すリザードマン2体。
「は、はへ?」
女の子は呆然とその様子を眺める。
よく見ると獣耳が生えており、獣人族だと分かる。
人間以上の筋力を活かして戦闘職に付く者が多く、女の子はショートソードを装備していた。
どうやら剣士のようだ。
ミストは倒れた女の子の側に膝をつく。
「大丈夫?」
「あ、ありがとうございます!」
身体を縛る鎖にはヒビが入っており、女の子の力の強さが分かる。
「今罠を外すから」
「でも、この罠凄く頑丈なんです、私はここで一生を終えちゃうんです……」
「絶対に助ける、大丈夫だよ」
ネガティブ発言を気にもせず、ミストは【罠解除】を発動。
女の子を縛り付けていた鎖は地面に引っ込んでいく。
「は、はへ、これは一体!?」
「怪我はない?」
「は、はい、ありがとうございます! でもどうやって……何かやったようには見えませんでした」
「俺はミスト、罠使いなんだ。これくらい罠の解除なら余裕だよ」
「す、すごい!」
女の子は目をぱちくりとさせる。
ミストにも最初から出来た訳ではなく、日頃の努力の賜物だ。
冒険者に成り立ての頃は解除に10分以上は必ず掛かった。それを少しずつ縮めていき、今では即座に出来るようになった。
「今のリザードマンの罠、さっきまで何度も踏んでいた場所だったんです。もしかしてそれも……?」
「たった今俺が仕掛けたんだ」
「ええええ!?」
更に女の子は驚く。
ミストは電磁網の中で暴れるリザードマン2体に止めを指す。
「よし、これでOK」
「すごい、こんな戦い方もあるなんて……私、アーシアって言います! この度は助けていただきありがとうございます!」
アーシアと名乗る獣耳の少女は、綺麗な土下座をした。
「全然いいって、顔上げてよ」
「いえ、そういう訳には!」
こんな所、誰かに見られたりしたら誤解される。
「ミストさんが来なかったら今頃どうなっていたか、さぞ有名な罠使いの方とお見受けします」
「はは、そんな事はないよ」
ミストのいたパーティーは、もっぱらリーダーのショーワルが目立っていた。
それに対し、ミストはあくまでサポート職。
活躍とは裏腹に名前は知られていなかった。
「貴方は命の恩人です、本当にありがとうございます!」
アーシアは涙声で言った。
感謝されたのは久しぶりだ。
冒険者ギルドに入った後も、ミストは自分のスキルを磨き続けた。
しかし、それを理解してくれる人は誰もおらず、挙げ句の果てに追い出された。
ミストは今までの努力が報われた気がして、胸が熱くなるのを感じた。
「どうかしましたか?」
「……なんでもないよ!」
キョトンとしたアーシアの顔で、ミストは我に帰る。
「ここは危険だから一旦出よう。受付のお姉さんも心配してたよ」
「分かりました、ミストさん!」
ミストはアーシアと共に、ダンジョンを後にするのだった。
Aランクパーティーの有能罠使い、サボり魔と言われ追放されたので獣耳少女と成り上がる〜罠の探知も解除も宝箱も開けられないから戻って来いと今更言われても遅い、こっちでスローライフを謳歌するって決めたので〜 針谷慶太 @hariya
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